第四十話 ホロの入社と初仕事
ホロがパーティーに入ったのでイクスにも聞いてみることにした。
「俺はパパさんとママさんに付いていくよ。」
「そうか、二人を頼んだぞ。」
「おう、サトルさんも気を付けてな。」
二人は拳を合わせ頷きあう
「リーンはどうするの?」
「今の私だと足手まといになりますからサトルさんの両親にお願いしてまた鍛えてもらいます。」
「そう、リーンも進化したばかりだから気を付けるのよ。」
「はい。」
そしてサトルたちはまず会社に行き龍斗にホロの事を話し、会社に入れるかどうか確認に向かった。
受付で確認すると龍斗は社長室にいるそうだ。
彼らは確認を取ってから社長室に向かい扉を叩いた。
「入ってくれ。」
「おはようございます。急ですみません。あ、今日は奥さんも一緒なんですね。」
「ああ、これからの事でちょっとした話し合いをな」
そして龍斗はホロに目を向ける。
「それでその子がホロちゃんかね。」
「はい、ホロ、ご挨拶して。」
「はい。私がこの度獣人に進化しサトルさんのパーティーに加えていただいたホロです。犬の時ですがこの間は構っていただきありがとうございます。」
「おお、もうしっかり話せるようになっておるな。その調子なら大丈夫だろう。わが社へようこそ、歓迎しよう。」
「ありがとうございます。」
「あっさり入れていただけて助かります。」
サトルは少しの疑問を口にする。
「なに、これからも獣人は増えていくじゃろうからな。それに保護の観点もあるからな。気にするな。」
「それと、イクスと舞さんの所のリーンですがこちらも獣人になりました。でも、しばらくはうちの両親について特訓するそうです。」
サトルはイクスとリーンについても説明をした。
「そうか、入社したくなったら言ってくれ。すぐに手配する。サトルの両親は入社せんのかの?」
「もう年ですからね。年金ももらってますし。」
「そうか、やはりあの計画を早めに実行した方がいいかもしれんな。」
「あの計画?」
「まあ、後のお楽しみじゃ。」
そう言って龍斗は話をはぐらかした。
「それではこれから仕事に向かいます。」
「そうか頼んだぞ。」
そう言ってサトルたちは部屋から出て行った。
そして全員が出て行ったところで美雪は龍斗へ確認の言葉をかける。
「龍斗さん、あそこに行くの?」
「そうじゃな、我が社はまだ出来たばかり。これからがいい所なのにこのままじゃと体の衰えでリタイアするものが何人か出るかもしれん。それにサトルや何人かは年齢が微妙じゃからな。いろいろな意味で手を打ってやりたい。」
「あら、お優しいのね。」
「それにおそらく最初にリタイアしそうなのは儂らじゃしな。」
「そうね、あの子たちをもっと見ていたいわ。それにリンネの成長もね。」
「そうじゃな。」
そして二人は優しく微笑みあう。
その後、龍斗は黒田を部屋に呼びある計画を進めるように伝えた。
その計画とは龍斗が個人所有する島への社員旅行である。
ただし、社員は強制参加。
そして龍斗の指定した人々も参加させるための根回しを指示した。
「さて、みんなどんな顔するか楽しみじゃ。」
「あらあら、なんだか悪い顔になってますよ。」
こんな話し合いがされているとも知らず、サトルたちは仕事を受けるため受付へ向かっていた。
「おはようございます。何かいい仕事はありますか?」
「おはようございます。そうですね。これはどうですか?」
受付の人が仕事内容が書かれているタブレットを見せてくれる。
仕事内容
熊の捜索と捕獲
この度の災害で町の近くに餌お求めて熊が出没していると地域住民から通報があった。
作業の安全のため熊を捕獲してほしい。
「これを俺たちにですか?」
「はい、あなた達のレベルならば熊よりも強いと思います。それに獣人のスノーさんとホロさんがいれば発見はたやすいでしょう。」
「分かりました。みんなはこれでもいい?」
みんな異論はないようだ。
一行は5人で現場に向かった。
現場は確かに山が近くにあり民家が近くにあった。
そして被災した人達が今だ片付けに追われている。
しかしほとんどの土砂はすでに取り除かれており住民の人々には余裕の表情が浮かんでいた。
俺たちは役場に行き依頼の確認に向かう。
「こちらの依頼を受けてきたのですが。確認してもらえますか?」
「はいはいちょっと待ってね。」
そう言って人の好さげなおばちゃんが出てきた。
「そうそう、これね。夜になると山から下りてくるみたいで危ないの。来てくれたってことはどうにかしてもらえるの?」
「はい、早ければ今日中には捕獲出来ます。」
「捕獲できるの。凄いのね。それじゃお願いしますね。」
そういって俺たちは山へ入っていく。
そして、スノーがみんなに提案する。
「ここはホロに任せてみませんか?ホロは獣人になったばかりですがいい慣らしになるのではと思います。」
「どうだホロ、出来そうか。」
「まだ自信はないですが頑張ってみます。」
「分かった。山中は足場が悪いから気を付けてな。」
「あ、あのサトルさん・・・慣れるまで手を繋いでもらってもいいですか?」
(!)
(!)
「ああいいよ。転ばないようにね。」
「は、はい。」(尻尾パタパタ)
女性二人は新たな伏兵に戦慄を思える。
そして、ホロは匂いに集中し始めた。
「強い獣臭をこちらから感じられます。」
そう言って山を進んでいく。
少し行くとそこには鹿がおりハズレであった。
ホロは失敗を気にしてか少し暗い顔になる。
「初めてだから気にするな、どんどん頼むぞ。」
「はい、鹿の匂いは覚えたので次は別の匂いを追ってみます。」
そうしてさらに山を歩いていく。
次にであったのはイノシシであった。
ホロはそれにめげず、さらに探索を続ける。
そして山に入り3時間ほどで洞穴にたどり着いた。
中は暗く見通しが悪い。
そこでホロは魔法を使い手のひらサイズの炎を一つ作りだし中を照らした。
そして、そこには黒い熊が眠っていた。
「どうしますか?私は探索は出来ますがお話は出来ません。」
「ホロの仕事はいったんここまでだね。よく頑張ったな。」
そう言ってサトルはホロの頭を撫でた。
((羨ましいことを・・・))
「サトルさん。ここは私の出番ですね。」
そう言って彩が前に出る。
「それならお願いします。」
「任せてください。」
そして彩は熊に話しかけた。
すると熊は起き上がり洞穴から出てきた。
どうやら交渉はうまくいっているようだ。
しかしそこで彩が想定外の事を熊から聞き出した。
「サトルさん、どうやらこの熊は母熊で子熊とはぐれてしまって今探しているそうです。それと足を怪我してしまって餌が取れず人里に下りたようです。どうしますか?」
「そうだな、ホロはこの熊の怪我を治せそうか?」
「初めてなので分かりませんがやってみます。」
ホロは熊に向けてエリアヒールるをかけた。
「スノー悪いけど子熊を探してきてくれないか?」
「大丈夫です。すでに匂いのめぼしは付いています。」
「お、さすが先輩だな。」
「ちょっと行ってきますが遠いので少し時間がかかります。」
「それなら一応この中級ポーションを持って行ってくれ。」
「分かりました。それでは行ってきます。」
そう言ってスノーは素早く動き出した。
そして何もしてない舞が目で訴えてきていたのでサトルは声をかけた。
「舞さん、あのダンジョンで手に入れた固い肉を持ってますか?」
「ありますあります。ここにたくさん。」
「一時しのぎですがそれをこの熊にあげていいですか?」
「まあ、それほど遠いダンジョンではないのでこんどリーンを連れてまた取りに行きます。」
「その時は俺も行きますから誘ってください。」
「それなら私も行きたいです。」
「私もお肉が欲しい」
(1人食いしん坊キャラが混じったな。)
そして、どうやら熊の怪我はホロのスキルで問題なく治ったようだ。
その後、しばらくしてスノーが子熊を連れて戻ってきた。
「かなり弱っていたのでポーションを使いました。」
「それは構わない。後はこの二頭をどうするかだな。」
「まあ、怪我も治って暴れないならこのまま役場にいって相談だな。」
そして役場前まで熊と向かった。
町はちょっとした騒ぎにはなたが多くの人は作業が忙しいためそれほどの人は集まっていない。
「驚いたよ。まさか連れてくるとわね。」
「まあ、こちらの彼女が動物と意思疎通できるので穏便に済みました。それで、捕獲後はどうしますか?」
「大人しいなら動物園とかで引き取り手がいると思うけど。ちょっと待っといで。知り合いに動物園の園長がいるから聞いてみるよ。」
そして、奥に行ったおばちゃんがしばらくして戻ってきた。
「どうやら子熊も一緒に引き取ってくれるそうだよ。子熊はお客さんに人気が出るかっらってね。」
「そうですか。彩さん熊たちに伝えてもらっていいですか?」
「ええ、今伝えました。飢えなくていいなら大歓迎だそうです。」
「そうかい。一応、安全のために檻には入ってもらうけど明日には引き取りに来てくれるそうだからね。」
そして俺たちは熊を檻にいれて依頼を終了した。
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