第三十二話 オーガロードとの闘い
14日まで一日5話投稿します。
サトル達は9階層を時折現れるオーガを倒しながら進んでいた。
オーガは隠し部屋のような所から奇襲を仕掛けてくるがスノーとクロの耳と鼻はあざむけず、逆に狙いを定めて待ち構えている銀二に先制攻撃を食らい呆気なく狩られていく。
「舞さんオーガとはこんなに知恵があるモンスターなのですか?統率も取れているような気もするのですが。」
舞は首を横に振り否定の意を示す。
「いいえ、オーガとはそれほど頭のいいモンスターではありません。こんな待ち伏せや連携は基本不可能です。同じ種族ですら平気で殺しあいます。」
「なら、10階層に行く前にまだ一つ障害があるかもしれませんね。」
「はい、ただこれだけの統率力を発揮しているので予想はつきます。」
舞は自分の知識の中である可能性に行きついていた。
「おそらくオーガロードがいるかもしれません。」
「オーガロードですか?」
「はい。戦闘力は通常のオーガよりも1ランク強い程度なので倒すことには問題がありません。しかし、今のように他のオーガを従えて攻撃を仕掛けてきます。」
「俺達にはスノーとクロがいるので奇襲は回避できていますが通常のパーティーにはきつい相手ですね。」
「そうなります。ダンジョン関係者としてはこの機会に倒しておきたい相手ですが現状を考えれば避けたい相手ですね。」
そこで銀二が話に入ってくる。
「もし、出会ってもこのメンバーならそれほど時間はかからんじゃろう。」
「そう願いたいですね。」
しかし舞には懸念があるようだ。
「でも、オーガの出現が少ない気がします。これが偶然であればいいのですが。」
そして俺たちは10階層に下りる階段前にある大部屋へと踏み込もうとした。
しかしそこで先頭を進んでいたスノーがストップをかけた。
「皆さん止まってください。この先にオーガがいるようですが。」
「どうしたのスノー。あまり時間がないのよ。」
「いえ、それがオーガが群れで待ち構えているみたいです。」
そういわれた彩は部屋を慎重に覗き込んだ。
そしてその光景を見た途端に絶句する。
そして後ろにいる全員に状況を話した。
「オーガが10匹いるわ。おそらく一番後ろの一回り大きいオーガがロードだと思います。」
轟はそれを聞いて膝をついてしまう。目にはすでに涙が溜まっている。
「皆さん集まってください。」
轟は撤退の話をするのだろうと考えフェイトを見やる。
「今からそこのオーガを蹴散らして10階層に進みたいと思います。異論のある人は言ってください。」
そこで轟は顔を上げ否定の言葉を言ってしまう。
「無理よ。出来っこない。」
「出来ます。そのために皆には全力を出してもらいます。」
全員が頷き大部屋に入っていく。
「まって、私も・・・」
「轟さんはフェイトを離さずここにいてください。相手は知恵の回るオーガロード。戦えないあなた達を見て何をするかわかりません。大丈夫です。すぐに戻ります。」
そして部屋に入った途端に前衛であるサトル、スノー、クロはオーガの群れへ向かって走り出す。
その際にサトルはスノーとクロに{守りの左手}を発動し二人の防御力を上げる。
さらに{守護者}{決意}を同時発動する。
彩もスノーに{強化}をかける。
そして銀二も{強化}を持っていたのでクロもステータスを大幅に上げる。
そして三人がオーガに接触する寸前に舞と銀二は援護射撃を行う。
三人に気を取られていたオーガたちは防ぐ事も躱すこともできないまま眼球に攻撃を受ける。
二人の正確な遠距離攻撃によりまず2匹のオーガが光の粒子となり消える。
そしてその攻撃に混乱したオーガたちにサトルが切りかかった。
「道を開けてもらう」
そう言って魔力を込めた剣を振りぬく。
その攻撃はステータスの上昇のおかげで一撃でオーガを横に両断した。
そして一歩遅れスノーとクロも攻撃を加えた。
スノーは剣で、クロは拳で攻撃を加える。
スノーは持ち前のスピードでオーガの足をそいで膝をつかせていく。
それに合わせクロはオーガに素早く接近し頭部を破壊して光の粒子へかえていく。
二人とも息の合った攻撃で効率よくオーガを倒している。
この時点ですでに5匹のオーガが消えていた。
それを見たオーガロードは一歩下がった。
おそらく万全の態勢で待ち構えていたのだろうがサトル達はそれを覆すほどの力を持っていた。
そして、オーガロードは突然首筋にちくりと何かが刺さる感覚がした。
見れば首筋にナイフが刺さっている。
もちろん彩の仕業である。
しかもただのナイフではない。
ナイフの中央が管のようになっている。
そこには猛毒が充填されており刺さると同時にオーガロードの体内に大量の猛毒を注入した。
直接注入された毒によりそれほど時間をおかずオーガロードは膝をついた。
オーガロードにとっては初めての体験である。
混乱により指示を出すどころではない。
その間にもサトルはさらに1匹切り捨てる。
銀二や舞にとっては混乱したオーガを狙い撃ちにし相手に反撃の猶予を与えない。
そしてスノーが最後のオーガの足を削ぎクロが止めを刺した。
残るはオーガロードのみ、そのオーガロードもすでに虫の息となっている。
そこへ悟が近づき首をはねて止めを刺した。
戦闘はわずか10分ほどと短時間だ。
サトルたちはスキルを解き小休止を取る。
その間に戦闘の後遺症が無い彩、舞、銀二はドロップしたアイテムを拾っている。
そして、フェイトを抱いた轟が大部屋に入ってきた。
「辛そうだけど大丈夫?」
「ああ、でも少し休ましてくれ。すぐ動けるようになる。」
「どうしてそこまでしてくれるの?」
「君にとってはその子は家族なんだろ。なら助けて当然じゃないか。」
そしてサトルは自分の事を話す。
「俺はこの災害の時に愛犬のホロが倒れてしまってね。でもこの災害の中、誰も助けてくれなかった。俺にとってホロは家族で絶対に失いたくなかったんっだ。今の轟さんのようにね。だからホロを救うために初めてダンジョンにポーションを取りに行った。」
「災害の時って、まだついこの間じゃない。」
「そうだね。それで色々あってここにいる人達と出会って、今ここにいる。」
「お人よしなの?」
「そうだね。ただの自己満足だよ。でもそれで助かる者がいる。」
「・・・・ありがとう。」
「そろそろ動けるようになった。まずは階層ボスを確認しに行こう。」
「そうね。さっきドロップしたポーションも中級ばかりだったわ。」
「そうか、それじゃあ必ず階層ボスを倒さないとね。」
そして全員で階段を下り階層ボスを確認しに向かう。
(いったい何が待っているのやら。)
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