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第三十一話 目覚めぬ愛犬

14日まで一日5話投稿します。

俺たちは今9階層を進んでいる。

先頭をスノーに任せ中央に彩さん、舞さん、轟さん。

最後尾に俺がいる。

これは皆で話し合った末の隊列だ。

轟さんたちがオーガに奇襲を受け挟み撃ちにあった事を考慮してだ。


(しかし、話には聞いていたが本当に何も出てこないな。)


かれこれ30分は進んでいるがまったくモンスターが出てこない。


(これなら確かにどんどん奥に進んでいってしまうな。)


「ところ轟さん、気になったことがあるのですが」

「何ですか?」

「轟さんはレベルから見てそれなりの経験者ですよね。フェイトはこの階層に何も反応しなかったのですか?」

「当然していました。この階層に下りた途端にかなり警戒をし始めました。」

「戻ろうとは思わなかったのですか?」

「私は二人にいったん戻った方がいいと言ったのですが。モンスターが出ないことから二人がどんどん先に進んでしまって。」

「そうだったんですね。あの二人とはいつもパーティーを?」

「いいえ、彼らは政府からの派遣員で今回たまたま組む事になりました。」


その時先頭にいたスノーが何かを発見したようだ


「ここが私たちが奇襲を受けた場所です。」

「ここからどちらに逃げたかはわかりますか?」

「途中まではわかりますがそのあと私は気を失ってしまって・・・。」

「わかりました途中まででいいのでまずそちらに向かいましょう。」

「はい。」


そしてサトルたちは彼女が気を失ったあたりまで進んだ。


「血の匂いが強くなってきました。これは人の者ではないですね。おそらくフェイトの物です。」


轟さんは急ぎたいようだが奇襲の可能性がある以上急げない。


そしてしばらくすると広い部屋に出た。

そして壁際でオーガが2匹何かを弄んでいる。


それを見て轟さんが飛び出しオーガに向かっていく。


「フェイト!」


それを見て俺たちも動く。

ステータス的には俺たちの方が上だ。

彼女がオーガにとびかかる前に俺たちがオーガに攻撃を仕掛ける


「轟さんはフェイトを優先するんだ。」

「ありがとうございます。」


轟さんは一目散にフェイトへ向かう。


それを見た一方のオーガが轟さんに攻撃を仕掛けようとした。


「させません」


すかさず舞さんが弓を放ちオーガの攻撃を妨害した。

しかしオーガの防御力は高いため大きなダメージにはなっていない。


その隙に俺とスノーはそれぞれのオーガに攻撃を加える


「かなり固いな」


大きさも脅威だがこの防御力もかなりのものだ。


「彩さんスノーのフォローを、舞さんは弓で隙を作ってください。」

「分かりました。スノー、一気に行くわよ。{強化}」


そのとたんスノーの攻撃力が跳ね上がりその一撃で足に深い傷を刻む。

そして相手が膝をついた瞬間、胴体に渾身の一撃を加え大ダメージを与えた。


さらに彩さんは防御力の落ちた傷部分の急所を深く突き刺し止めを刺した。


俺も出し惜しみは出来ないと判断し剣に魔力を込める。そして放つのではなく剣に衝撃波を纏わせオーガの足に切りつけた。

その威力は大きく足を半ばまで切り裂くことができた。

オーガは倒れたがこちらに顔を向け睨みつけてくる。


しかし、その隙を狙って舞さんがオーガの眼球を射抜き止めを刺した。


戦闘を終えた俺たちは轟さんの所へ向かう。


「フェイトはどうですか。」


俺たちはフェイトの状態を確認する。


フェイトは四肢が折れ毛は血まみれだ。生きているのかが疑わしい。おそらく死なないようにオーガがいたぶっていたのだろう。

轟さんはカバンから中級ポーションを出しフェイトにかける。


飲ますことができればいいのだが意識がないのか全く反応しない。わずかに呼吸はしているようだが・・・。


何本もの中級ポーションを使い傷が完全に消える。

しかし、呼吸はしているのに意識が戻らない。


「もしかして、脳にダメージをうけたのではないですか?」


舞さんがそういった途端、それを聞いた轟さんは泣きそうな顔をする

サトルは理由を知らないため舞に質問する。


「脳へのダメージですか?」

「はい、かなり傷がひどかったのでその可能性が大きいです。もしそうなら遠からず・・・フェイトは死んでしまいます。」

「それはポーションで治らないのですか?」

「脳へのダメージには上級ポーション以上が必要です。今ある中級では治せません。」

「うぅ・・・どうしよう上級なんて持ってない。手に入れるのも大変なのに。」


彼女は泣き出してしまう。

その気持ちは分かる。俺もホロの時に経験した。

しかし俺は諦めなかった。だからホロは今も元気に生きている。


「諦めるな」


俺は叫んだ。


「まだ望みはあるはずだ。舞さん何か方法はありませんか?」


舞さんはこのダンジョンで受付をしており、ここについては俺たちの中では一番詳しい。

その知識に俺はかけた。


「あります。このダンジョンは回復系特化ダンジョン10階層のボスが上級ポーションをドロップします。」

「でも誰が倒すのよ。」


轟は俯いたまま叫ぶ。


「俺たちが倒す。」


轟は驚きで顔を上げる。


そしてサトルは中級ポーションを数本、轟に渡す。


「今から10階層に移動する。その間にフェイトの様態が悪くなったらこれを使うんだ。」


「これからはかなりの強行軍になるみんな覚悟してくれ。」


「何とか間に合ったようじゃな。」

「助っ人に来たぞ、スノー」


その時、通路から声が聞こえた。


現れたのは銀二とクロの二人。

どうやらクロがスノーの匂いを追ってここまでたどり着いたようだ。


「どうしてここに?」

「いやなに、ここの支部長が龍斗に連絡してきてな。それで急いで儂らが来たんじゃ。」

「助かります。事情は進みながら話します。」

「分かった。時間がないようじゃしな。」


そしてサトルはフェイトの容態と今から10階層の階層ボスに挑むことを告げた。


「そうか、それならこれが役に立つな。」

「この紙は?」

「支部長が念のためにと持たせてくれた10階層までの地図じゃ。地形は変わってないようじゃし、役に立つはずじゃ。」

「助かります。」

「急ぐぞ。実際10階層で何が待っておるか分らんからな。」

「はい。」


轟さんはフェイトを毛布に包んで大事に抱えている。


フェイトは必ず救ってみせる。


皆思いを一つにして10階層を目指す。

読んでいただきありがとうございます

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