第二十七話 ギルド
「お連れいたしました。」
「入ってもらえ。」
「かしこまりました。こちらえどうぞ。」
「お邪魔します。」
「よく来てくれた。まずは名乗ろうかの。儂は草薙 龍斗まあ犬猫大好き爺さんじゃ。それでさっそく確認じゃが、失業したというのは本当か?」
「はい、工場が潰れ社長から直々にみんなに説明がありました。社長はみんなの退職金などを保証するために工場の再建を諦めるそうです。」
「そうか。」
(その社長は見所がありそうじゃな。少し調べてみるか。)
「それで、俺は身の振り方を考えているところです。しばらくは彩さんやもう一人舞さんという人がいてそのメンバーでパーティーを組みながら探索者をしようと思います。」
「それで、お前さんは実際何がしたい。どんな事でもいい希望を言ってみなさい。昔の夢でも構わん。」
「ちょっと恥ずかしいですけど、昔は誰かを助けられる仕事に就きたかったですね。でも漠然とした夢ではどう叶えればいいのかイメージがわかず、結局工場で作業員をずっとしていた感じです。」
「そうか、それならわしが少しアドバイスをやろう。はっきり言おう。サトルよ。お前はすでに人を救うことが出来る能力を持っておる。しかも、多くの人々を救っている。儂もその一人じゃ。お前がポーションを持ってきてくれなければ儂も妻も、今も悲しみに沈み人の話など聞く余裕などなかった。そこで今回の話の重要な所じゃ。」
「サトルよ儂は今ある企業をたち上げようと動いておる。」
「会社を作るのですか?」
「そうじゃ、そしてその会社にはお前のような人材が必要じゃ。」
「そう言ってくれるのは嬉しいのですが、どのような会社ですか。」
「おうそうじゃった。興奮して話を急ぎすぎてしまった。」
そう言って説明を始める
「そうじゃな簡単に言えばギルドのようなものかの。」
「ギルド?物語に出てくるようなですか?」
「そうじゃな、しかしあれよりはかなり現実的じゃ。仕事は政府を通してこちらに発注される。それをうちの会社で解決可能な人材を派遣し解決する。先日お前たちが受けた仕事がいい例じゃな。政府では対応出来んためその場に適した人材を派遣する。」
「もしかしてあの仕事は貴方の口利きですか?」
「そうじゃ。そのでかい犬のスノーの事もあったが。報道陣に情報をリークしたのもわしじゃ。協力的な者ばかりじゃったろ。」
「はい、それについてはありがとうございます。」
「気にするな。それに、お前たちは儂の予想以上の働きをしてくれた。感謝しておる。あとは一般からの仕事じゃな。政府はダンジョン関係しか請け負っておらん。そこからこぼれた仕事。すなわちダンジョン外でのレベル又は天職を生かした仕事を斡旋する。」
「それでどうじゃこの話は受けてくれるか?」
「災害前なら悩んだかもしれませんが、今なら喜んで受けさせてもらいます。」
「そうか、それはよかった。それで、彩さんはどうするかね?」
「私も今は探査以外はの仕事はしていないのでお願いできますか?」
「それは助かる。人材を探すのがなかなかに大変でな。他にはお前たちの知っている人間だと銀二とクロがおるぞ。」
「それではスノーの事もご存じで?」
「話は聞いておる。あの堅物のクロに恋人ができるとはいいことじゃ。」
そう言ってスノーをみる。
「それと、先日一緒に行っていた娘の舞といったかな。あの子もスカウトする予定じゃな。」
「ところで、採用の基準はどんなものですか?」
「そうじゃな、現地に赴いてもらうため信用のおけるものじゃな。後はダンジョンにも入ることがあるじゃろうから探索者としての実力もなるべくほしい。事務方も不足しておる。それと重要なことは動物が好きな事かの。」
「わかりました。何人か心当たりがあるので俺の方でも当たって見てもいいですか?」
「面接はするがの。」
「それで構いません。お願いします。」
「それでは話がまとまったところでそろそろ時間じゃから儂は失礼する。」
「はい。今日はありがとうございました。」
「私まで誘っていただきありがとうございます。」
「気にするな。わしがお前たちを気に入っただけじゃ。」
ともに部屋を出て廊下を歩きながら龍斗は二人に話しかけた。
「ああ、それと少しボランティアをしてみる気はないか?」
「今は時間はあるので構いませんが。」
「そうか、なら明日ここに書いてある寺に来てくれんか。」
「ここに何かあるのですか?」
「実はここには古い砂防提がある。だがこの間の豪雨で限界まで土砂がたまってしもうてな。次の大雨でおそらく溢れるじゃろう。そのためかき出す作業をせんといけんのじゃがへんぴなところで重機が入らん。しかも何年も前から申請しても行政は全く動かんらしい。ここはよく世話になる寺でな。どうにかしてやりたい。」
「わかりました。でも俺たちだけだと厳しいので何人か手の空いている人を探して連れて行っても大丈夫ですか?」
「もちろんじゃ。人数は多いに限る。昔はそこの寺にも人が多くおっての。その者らで整備していたらしいからの。それじゃまた明日現地で会おう。」
そう言って病院の前で別れた。
「彩さんはこれからどうしますか?」
「前までパーティーをよく組んでいた人たちに話をしてみます。」
「俺も前の職場の人で心当たりを当たってみます。」
「わかりました。スノー帰りましょ。」
そして急ぎ帰宅し連絡を取り始める。
そしてサトルは3人の元同僚を行きつけの飲み屋に呼んで話をし始めた。
「松さん、山さん、北さん来てくれてありがとうございます。」
「気にするな、それて就活はうまくいっているか?」
北さんは余裕があるため気楽に聞いてくる。
「ええ、ある人が新しく立ち上げる会社に誘われまして。もう決まりました。」
「なに、こんな状況でもう決まったのか。」
松さんは仕事を探し始めているがいい仕事がないらしい。
「ええ、タイミングが良くて。」
「運のいいやつめ。」
山さんは子供が生まれたばかりだから少し焦っているようだ
「でも、もう少し先になりそうなのでそれまでボランティアでもしようと思います。どうですか明日にでも一緒に行きませんか?」
「今のこの状況では急いでもしょうがないだろうな。気晴らしに行ってみるか。」
「そうだな焦ってもしょうがないか。」
「俺もいいぞ。どっちみち何処かのボランティアに参加するつもりでいたからな。」
「それなら明日の朝8時にここに来てください。」
そう言って地図とメモを渡し食事をして解散となった。
「いい方向に転がればいいけどな。」
その頃、彩もメンバーを集めて食事をしていた。
彩以外のメンバーは二人
二人とも女性で一人は葛城 神無 (カツラギ カンナ)
前衛をしており気は強いが面倒見のいい姉御タイプ。
もう1人は木之下 鈴 (キノシタ スズ)
こちらは中衛の槍使いをしており頭がよく資格を取るのが趣味らしい。
2人ともまだレベルは5で前の彩なら組めたが今では差が空きすぎておそらくパーティは組めないだろう。
「どうしたの急に?」
「まあ、しばらく道が切れてて会えなかったからちょうどいいけど」
3人は食事をしながら近況を話していく。そして彩が話をきりだす。
「実は私就職する事にしたの。働き始めるのはもう少し先だけど。」
「そう、それはよかったわね。おめでとう。」
カンナは素直に喜んでくれた。
「困った事があったら相談に乗るからね。」
「新しくできる会社だからまだ正確なところはわからないけどたぶん大丈夫だと思う。」
「そう。」
スズは少し心配そうだ。
「それでね、明日ちょっとボランティアに行くんだけど一緒に行ってくれない。」
「私はいいわよ。」
「私もこの災害で資格試験が中止になっちゃったからいいわよ。」
「ありがと。それじゃここに明日朝8時、汚れてもいい服装で集合ね。それと他にも何人か来るからケンカしないでね。」
そして彩は地図とメモを渡した
「ええ大丈夫よ。」
そう言ってしばらく食事を楽しんだ後、彩たちは解散した。
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