第十四話 依頼達成
自衛隊の方
石油会社の方
全国チェーンの方
毎日新聞でいち早く私の住んでいる地域を記事にしてくれたお兄さん(確定)
全国の支援物資を送ってくれた方々
ボランティアの方々
ありがとうございます。
外に出た俺たちはまっすぐ病院に向かおうとした。
しかしお爺さんたちは俺たちとは逆方向に向かう。
「どこに行くのですか?」
「今街中は渋滞で移動は困難だ。だから特別に許可をとってヘリをチャーターした。」
凄いなこのお爺さん。
確かにアイテムボックス持ってるくらいだからお金持ちなんだろうけど。
しかし俺たちはヘリを辞退し走って向かうことを伝える。
「俺たちは走って向かいます。」
「大丈夫かね?」
お爺さんは聞いてくる。
「いつものことですから病院までは10分くらいです。」
「あの距離を10分かね。それは凄い。それでは病院で落ち合おう。」
俺たちは別れた後にそれぞれ病院に向かって移動を開始した。
そして俺たちの移動には10分かからなかった
(そういえばレベルが大幅に上がってたんだった)
待つこと数分
パラパラパラ
ヘリの音が聞こえはじめ段々と近づいてくる。
しかし考えてみればここら辺にはヘリの下りられる所はない。
そう思っているとヘリは俺たちの上でホバーリングを行い二本のロープを下す。
(おいおいまじか。)
そしてそのロープを使い降りてきたのはなんと先ほどの老人。
(この人たちはいったい?まあ、ステータスのある世界なんだからありかな。)
そして全員がそろい病院へ入っていく。
入るといつもの医師が駆けつけてくる。
「これが万能薬、こっちが中級ポーションだ」
「わかった。これで助けられる。足の切断もしなくて大丈夫だろう。」
そういうと医師は走り去っていった。
そして次の医師が近づいてくる。なんだか年季を感じるたたずまいだ。
「ようこそおいでくださいました。」
「うむ、リンネの様子はどうだ。」
「いまだに予断を許さない状態です。」
間に合ったようなので俺は近づき中級ポーションを渡す。
「???これは」
「中級ポーションです。」
医師は老人たちを見る。
「この状況でもう手に入ったのですか?」
「そうだが運がよかっただけだ。」
「すぐ処置に入ります。」
「頼んだ。」
この医師も急いで向かっていく。
そして俺たちも奥へと向かう勝手知ったるなんとやら。
この動物病院はかなりの広さがあるが処置する場所は決まっている。
俺たちは迷うことなくそこにたどり着き中を覗き込んだ。
ちょうどリーフに万能薬を与えているところのようだ。
リーフの横には冬花ちゃんが心配そうな顔でリーフが回復するのを待っている。
そして万能薬が終わり次は中級ポーションだ。
医師はポーションをチューブで胃に流し込んでいく。そしてしばらくしてリーフは目を覚ました。
そして何かをしきりに探している。
そして冬花ちゃんを見つけ飛びつき顔を舐め始める。
冬花ちゃんは泣いているが幸せそうだ。
俺たちは依頼の一つを完遂した。
そして隣の部屋には子猫のリンネが寝かされ処置を待っていた。
溺れたということだが外傷は見当たらない。
だが呼吸は不規則で早く子猫の命が消えかけていることをこちらに伝えてくる。
そしてリンネへの投薬の瞬間事件は起きた。
それは本当に偶然の事故であった。
看護師がポーションの瓶を医師渡そうとした瞬間。
瓶は滑り落ちそれを受け止めようとした医師の手に当たり蓋が開き中身を周りに飛散させた。
老人二人は時間が止まり当然誰も動かない。
そう俺たち以外は。
俺は老人に話しかける。
「あのー」
「・・・・」
反応を返さないおじいさんの肩をゆすりもう一度話しかける。
「あのー」
「な、なんだね?」
二人は今にも崩れ落ちそうだ。
俺はもう一つの中級ポーションを渡す。
「これを使ってください。」
「これは?」
「中級ポーションです。」
彼らにかすかな希望と生気が戻る。
「いいのかね?」
「ポーション1つにあの報酬はもらいすぎですよ。」
「感謝する。」
お爺さんは慣れた手つきでポーションの瓶を開け、今回は自分の手で子猫にポーションを与える。
そしてしばらくし呼吸が落ち着いてくると子猫は目を覚ましお爺さんとお婆さんを見て軽い足取りで近づきその手にジャレ付いた。
二人は嬉しそうに子猫の相手をし子猫が気が済んだところで医師は検査のため子猫を連れて行った。
これで二つ目の依頼も完遂かな
そして
「ホントに助かった。この礼はいつか必ず。」
「いえいえ、いいですよ。」
俺たちはお礼を辞退しようとしたがどうしても引いてくれない。
しかたなくいつか困った時には助けてくれるということで話はついた。
彼らは子猫とともに幸せそうに去っていく。
そして俺たちの後ろにはもう1つの家族がいた。
「リーフのことありがとう。」
「いいんだよ。犬友じゃないか。」
互いに笑いあう。
「スノーとまた遊んであげてね」
「うん」
そして彼女たちもリーフを連れて帰っていくのであった。
「さて、もう一つのハ・ナ・シ・ア・イをしに行こうかな。」
サトルはいつもの医師のもとへ向かった。
こんこん
「い~ま~す~か~」
「い~ま~せ~ん~」
「早く開けないと扉なくなりますよ~」
「・・・・・・」
(ガチャ)
「どうぞ」
「その様子だと何を言われるか分かっているようですね。」
「まあ、あの老人の件ですね。」
「その通り。・・・・・話すことが悪いとは言わない。」
「はい・・・」
「しかし、次回からはもっとしっかり伝えてほしい。」
「いいんですか?」
「当然リスクはある。それでも命には代えられない。」
「そちらも必要なアイテムがある時は言ってくれて構わない。可能な限り集める。」
「分かりました。今のところはあなた達の持ち込んでくれた物で十分足りています。ライフラインの再開も始まり物資も入るようになってきています。」
「確かユ〇タウ〇は船を自分たちでチャーターして被災地にいち早く物資を供給してくれているらしいですね。」
「はい」
「それに自衛隊もエ〇オスの給油車を運んでくれてるとか。」
「そうです。あれでガソリンの枯渇が回復しました。」
「それにこの間ある新聞社がこの地域を記事にしてましたよ。」
「どこも記事にはしてると思ってましたが。」
「実はこの地域が陸の孤島になっていると記事にしている所がなくて支援物資がほとんど来てなかったようです。最近になってやっとこの地域にも届くようになりました。」
「それで物資の枯渇が続いていたんですね」
「はい、今はそれも解消されつつあります。」
「それなら私生活が元に戻るのももう少しですか」
「大体は恐らくそうでしょう。」
「そこで実は皆さんにお願いがあります。」
「と言うよりも水木さんとスノーにですが。」
「どうかされましたか。」
「実は災害救助犬が足りていません。九頭竜さんたちから聞きましたがスノーの鼻はとてもいいらしいですね。」
「おそらくはこの辺では一番では?」
「そうでしょうね。今現在復旧は急ピッチで進んでいますが土砂崩れなどの被害者捜索にかなり手間取っています。それを手伝ってもらえませんか?」
水木さんの目つきが鋭くなる。
医師は冷や汗をかきながら説明を続ける。
「勘違いしないでください。掘り当てろと言っているのではありません。掘るのは周りの自衛官などが行います。場所の特定だけで構わないそうです。」
水木さんの目つきが少し戻る。
「サトルさんどうですか。」
「数日だけならば」
「それなら私もそれぐらいで」
「分かりました。先方にはそう伝えておきます。」
「いつからですか?」
「出来れば明日から」
「場所は?」
「ここから都市部に向かい北上した山間部です。何年か前に一度大雨と土石流で大きな被害が出た場所の近くです。ここから車では2時間くらいかかりますがまだ道は寸断されています。大丈夫ですか?」
「ええ、おそらく大丈夫でしょう」
「実はこの活動はあなた達のためでもあります。」
「と、言うと?」
「まあ愛犬家にはわからないでしょうが。スノーは大きすぎます。周りの一般人には危険で恐ろしい存在に映ってしまうこともあるでしょう。今回のことでイメージアップをはかるのです。現場には報道陣がたくさんいますから。」
「そういうことなら頑張らないとな、スノー」
「そうね頑張ってねスノー」
「ワウ」
「それではよろしくお願いします。」
俺たちは部屋を出て家路につく。
「それじゃ明日また」
「はい、よろしくお願いします」
俺たちは別れをすませ。互いの家に向かう。
(明日は初めての経験か。大変そうだな。)
読んでいただきありがとうございます。




