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いいなとおもえること
春は薫だと思う
目に見える程の濃厚な空気
光まで匂い立つかのようで
それがどうにもういういしくて
なぜかああ生まれたんだなあと感じられる
春は薫だと思う
夏は音だと思う
訪れは遠雷のさきにあって
命の鼓動が辺り一帯に木霊して
それがけしていやじゃなくって
むしろああ心地いいなって感じられる
夏は音だと思う
秋は色だと思う
花は実をつけ彩り装いあって
風も時間でさえ柔らかく輝いて
それがとてもやさしくって
だからああ人生っていいなって感じられる
秋は色だと思う
冬は夢だと思う
命が凍り付かないよう寄り添い合って
明日を待って心の灯を点し続けて
それがみょうになまなましくて
やはりああ生きてるんだなあと感じられる
冬は夢だと思う




