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テーマ《喫茶店》
彼女とよく通う喫茶店の名前は〖チェリーブロッサム〗。
僕は改まった装いで、その彼女を呼び出した。
桜色のワンピースを着た彼女がやって来たのは十分後。
「どうしたの?」
彼女は不安そうに桜色のリップを塗った唇を開く。
僕は心臓が今にも破裂しそうな気分だ。
鼓動がどくどく言っている。
「すごい汗だよ。大丈夫?」
桜色のハンカチを手に僕の額の汗を拭いてくれた。
その手を掴む。
びくっとする彼女。
「さ、さくらさん!」
僕の声は完璧に裏返っていた。
が、そんな事を気にしている余裕はない。
ポケットから小さな箱を取り出して開く。
「僕と結婚してください!」
箱の中には、小さな指輪。
輝くのはピンクダイヤモンド。
彼女の、さくらさんの好きなピンク色の指輪。
精一杯のプロポーズ。
震える僕の手にそっと彼女が手を添えた。
桜色に上気した頬を染めて、大きく頷く。
「はい」
嬉し涙を堪えているその左手に、指輪が輝いていた。
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