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異聞録:東京異譚  作者: 小礒岳人
人の章

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後編 序 2004年 夏

2004年8月8日―

その夜は暑く、風が少なかった―

―序―




―2004年8月8日(月) 夜11時35分過ぎ―


―千代田区永田町 プルスアウルトラ本部 作戦室―

挿絵(By みてみん)



真っ暗な室内にアラートの警報が鳴り響く。


尻餅をつく様に倒れ込んだドミニクの目前に、黒い衣服の男が佇む。


そのアラートの明滅する光に背後から照らされて、顔は解らない。


だが、眼の部分は反射光で異様なまでに紅く輝き、右手に持つ刀からは何かの雫が垂れている。


ゆっくりと歩みを進める目前の殺意を纏った男。


それに顔の腫れたドミニクはギリギリと奥歯を噛み締める。


ドミニク「おのれ…ッ! おのれぇぇぇぇっっ!! 私の…! 私の組織を!神の意志を司る私の組織の意志を! その神の意志を冒涜する貴様は! 悪魔以外の何者でも…!」


喚くその言葉を無視して、男は更にドミニクへと歩みを進める。


ドミニク「聴いているのか! 私の絶対な言葉を!!?」


全く意に介さず、右手の"閻魔"を大振りに振り上げた。

7月20日―

あの秋川での一件から三ヶ月経っていた―

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