第10話 俺は立つ!(2)
だから黒の宰相……。自分の欲望のために邪神……。魔王に取り込まれている韓黄は無言だが、その場に倒れたから。俺は直ぐに韓黄の身体に蹴りを連続で入れた。
「楼蘭と麗蘭は、早くこの場から逃げろ! 逃げるんだ!」と叫びながら韓黄に蹴りを入れ。
「うりゃぁ、ああああああっ!」、「わりゃぁああああああっ!」、「死ねぇえええっ! 死んでしまえぇえええっ! 韓黄ー!」
俺は倒れているのに、呻りすら漏らさない……。まあ、何もしゃべらない、口にもしない暗黒神の男……。この《《この参》》と言う名だったらしい国の宰相をしていた男……。王を殺し、今度は太后と皇女へと魔の手を伸ばし、殺害を企て、完全にこの国を則ることを計画している男へと物々しく、荒々しく叫び、蹴りを入れ続けているけれど。
「えぇ、でも、あなた様……」
「聖斗さまだけ、この場においては……」
しかし、この通りで、俺が二人へと逃げろと告げても。俺の背後に二人は震え、怯えながらたち、逃げようとはしないから。
俺はマジで困ったなと思うから。




