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男女比率1対100の世界で男の俺がVはじめました。(ただしVのときの性別は女である。)  作者: おまめあずき×梅崎さくら
第五章 休暇とイベント
82/83

82 VTuber ツムグ Project! ―――第3週3日目担当ライバー【彼岸花】――― 中


「すごい! さすが華ちゃんの歌声でしたね!! いつもとは歌い方が少し違くて、似合っていましたね。今回の企画は自分がテーマだから、まあ違う歌い方となりますけど。今回は私と同じような歌い方なのかな。自分は他人ではなく、その物語を私自身の物語として変化させて歌うけど…」

「ふわわわっっ、そこまで解説してくださらなくても…!!」


〈88888888〉

〈888〉

〈888888〉

 ︙

〈今回華ちゃんいつもと歌い方違うよね…〉

〈華ちゃん敬語!〉

〈彼岸ちゃんオタクモード〉

〈ふわわかわいい〉

〈なんか分析やべぇ〉


「あれあれ〜、大人の華ちゃんが、こんなことで照れちゃうんだ〜?」

「そりゃぁ、誰でもあんな熱量で褒められたら照れま、照れるよ。

 ……ありがとう」

「……まけましたか」


〈煽るな煽るな〉

〈彼岸ちゃんww〉

〈お?お?〉

〈開き直ったな〉

〈おっっとこれはカウンターか??〉

〈負けちゃったなw〉

〈これは流石にね〉

〈オトナな対応〉


「私は4年前、親友に言われて、まあそれ以外にも事情はありましたけど初めてネットの世界に来て、ほら、ホラゲ実況ばっかしていた時代。泣き叫びながらマネに強制されてw

 …でも3年前に半年位休んでた時があったじゃないですか。」


〈なつい〉

〈それこそOurじゃなくて笑笑動画ね〜〉

〈笑笑なー〉

〈マネちゃんねw〉

〈最近裏方になっちゃったけど〉

〈それが本来の立ち位置なんだよなぁ…〉


「そこから立ち直ったのはこの曲のおかげ、と言えるくらいにお世話になった曲、ですね」

「思い入れ深い曲なんだね…」

「うん。………じゃあ、歌います。聞いてください、」


###


それはそれは私の心が深い深いところにいた頃の話。

明るい言葉が何も心に響かなくて、

むしろ居心地が悪くて、

何も聞きたくなくなって。


ただ、何も聞かないように自分に閉じこもっていたときの話。



‥‥‥前……け

‥‥‥‥灯火……前に



部屋に閉じこもって、学校も塾もすべて放置していて。

いらない、とすべて遠ざけて。

男性が優先さ(この世界)れている光景(の現状)に、目を背けたくなった。


どうにかしようともがいても、さらにその差は開いていくばかりで。

私がおかしいと、そう思われることが怖くて、すべて覆い隠した。


ただなにもない昼間、OurTube(あの子との思い出)の曲を流していたら出会った。


聞けば聞くほど何故か惹かれて、

明るい曲が響かない私にも少し、ほんの少しだけ共感できて

この曲を私で再現してみたんだ


その歌詞が、押し付けに聞こえなかったからだろうか。

生きていてほしいと、()()に懇願されているような気がしたからだろうか。


最高の味方……ただのやつれた自分

よく食べて……食べることを放棄して痩せた自分


今までの私ってこんなんだったっけ

私は「日向」に、「縺翫�縺医&縺セ」に顔向けできるだろうか。

私を待っている、そう言ってくれたみんな(しのぶ)に、又会えるのだろうか。


―――嗚呼、できないなぁ。

今のままでは、自分から味方もぬくもりも何も感じられない。

今の私じゃあ、日向のように、縺翫�縺医&縺セのように、人を救える人間じゃあない。


日向は心配しているのか

縺翫�縺医&縺セは悲しんでいるのか

…しのぶの、みんなは。


これから先は―――


###


「………。」

「お、おーい華ちゃん?」


〈8888〉

〈888888888888〉

〈8888〉

 ︙

〈凄い……流石すぎる…〉

〈ほっわ〉

〈すっごい〉

〈惹き込まれた〉


「おーい、華ちゃん!」

「……」

「は・な・ちゃ・ん!!」

「はっ……あ、ご、ごめんなさい!!

 思わず余韻に浸っていたというか…すみません。」


〈かわいい〉

〈私もほぼ心は放心状態…手だけで打ってるような感じ…〉

〈仲いい〉

〈わかる、浸っちゃう〉


「もー……次、華ちゃんなんだよ?」

「ごめんなさい、最近ぼーっと考えることとか…なんというか、『浸る』ことが多くて…」

「そういえば、ちょっと前にそんな話裏でしてたね。」


〈浸ること、ねぇ…〉

〈裏でも仲いい〉

〈うっっっっわ〉

〈てぇてぇ〉


「色々考え事して、行き詰まって曲聞いたりしてぼーっとして…っていうサイクルを繰り返すんだよねぇ…。

 それでも結局、考えは行き詰まったままっていう…」

「悪循環じゃん」

「どうにかしたいんですけどね〜……」


〈ぐるぐるしてそう…〉

〈考え事からの切り替え方が曲聞くことなのか〉

〈まじの悪循環〉

〈どうにかしないと駄目じゃん〉

〈どうにもできないって感じか…〉


「考え事の沼から出るには改善策を早く見つけるしか無いんだけど…見つからなくって。

 色々頑張ってるところです。」

「おぉ〜……手伝えることがあったら言ってね?」

「あ、それははい、もちろん!」


〈頑張れー〉

〈彼岸ちゃんと華ちゃんのこの距離感なんとなくイイんだよね〉

〈改善策かー・・・〉

〈踏み込まず、踏み込みすぎないって感じ〉

〈結局仲いいにつながるんかい〉


「さて、じゃあ、次の曲いこっか?」

「私ですね。…今度は、私がVTuberを始めた頃くらいの曲です。」


###


この曲は、(わたし)じゃなくて私のはなし。

誰にも気づかれない、わたしのはなし。


―――瞳を開ける。



この世界、値踏みなんてされることが当たり前。


介護かのように人を世話して、

所有物として悦に浸られて、

主に従って(降伏して)

捨てられて、

また他の主に従う


私がこうなっているのも正真正銘自業自得。

当たり前。


言葉の、善意のようなモノの裏なんて考えないようにしたくて、それでもやっぱり考えてしまって。

こう在って欲しい、なんて輝かしい、愚かな理想を殺して。


嫌だと考えても、自業自得の鎖が私を縛って、

生き方から逃げる勇気すらない。


吐き出したい言葉も、肺にのしかかる重たい空気も、何もかも忘れされたなら。

私はきっとこんな生き方から逃げれるのに。

そうしたらきっと豁サ縺ュ繧九�縺ォ


主と(使用人)は将来も生き方も何もかも違う。

勝手に妬んで、勝手に悔しがって、勝手に負けた気になって。

「ありがとうございます」

今日も吐き捨てるしか無い感謝の言葉を紡いでいる。


割れてしまった心を、今日も必死に隠して、直して。

誰にも見せないように。

わたしが私であるために。

なぜ私はいたいのかもわからない。

だから、見せないように、いつか治るように祈る。


いたいよ


いたいよ


豁サ縺ャ縺ョ縺ッ逞帙>繧�


###


「華ちゃん…この曲だって伝えられたときも思ったけど、ほんとに大丈夫…?? やっぱり華ちゃんの感情がこちらに伝わってくる歌い方が悪さしてると思うんですよ…。こんなの泣いちゃうよ…。本当に大丈夫、ねぇ…。」

「大丈夫大丈夫。大丈夫じゃなければ今この場にいないから……ね?」

「も゛う゛そ゛れ゛ふ゛ぉ゛ろ゛ー゛じ゛ゃ゛な゛い゛」

「えっ、彼岸ちゃん…!?!?」


〈88888888888888…〉

〈888〉

〈888888〉

 ︙

〈華ちゃん大丈夫??〉

〈本当に彼岸ちゃんに同意ィィィィ〉

〈はなぢゃん〉

〈はなちゃああああああああああああああああああああああああああん〉

〈フォローじゃないは草〉


「華ちゃんのばか……ばーか…。」

「ご、ごめんね?

 ……でも、彼岸ちゃんのほうがいつも深い闇見せてきてる気がするのは私だけ?」


〈彼岸ちゃんの語彙力ないなった〉

〈それはそうなんよ〉

〈彼岸ちゃんのほうが病んではいるんだよ…〉

〈普段しっかりしてる華ちゃんだからこそ心配するんだよ〉


「…許す…」

「やったぁ…?」


〈草〉

〈許しちゃうのね〉

〈かわいい〉

〈華ちゃん疑問形なのかわよw〉


「私はもう病んでる時期終わりだよ?

 …曲自体は暗いけど」

「え…???」


〈大丈夫??〉

〈信用できない〉

〈わかんない〉

〈いつ病むかわかんない…〉


「私の扱いどうなってるの!?」

「あはは…」


〈すぐ病む〉

〈病み盛りの毒舌っ娘〉

〈病み盛りwwww〉

〈目を話したらすぐいなくなりそう〉

〈歌枠のときだけこわい〉


「私がVを始めて!! 自分がポジティブに好きだなって思ったのがこの曲で、メドレーでたまたま見て!! そこからこのボカロpさんにドハマリしました!!」

「露骨な話題転換…」

「ドハマリしました!!」

「あ、うん…」


〈強引w〉

〈やぁばぁ…〉

〈強いな彼岸ちゃん〉

〈草〉


「それじゃ〜、行ってみよ〜〜!!!」


《今回参考にさせていただいた曲》

五曲目【彼岸花】☆Halyosy様 Blessing

六曲目【咲久和 華】☆Wotaku様 ジェヘナ


誤字脱字などがありましたら、遠慮なく誤字報告をお願いいたします。

また、感想なども遠慮なくお願いいたします。

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