71 魅せてあげるから見においで・【彼岸花】⑤
一日遅れを許してください。(一日ではない、一週間と一日遅れ)
誠に申し訳ございませんでした…。
「………ん! …これにしよう
always smileさん、コメントありがとうございます。今回は貴方のコメントに載っている―――にしたいと思います。」
〈けっこうむずかしいよ?〉
〈英語も入ってるしね〉
〈彼岸ちゃん大丈夫?英語読める?〉
〈彼岸ならいける [亜衣咲句藍美]〉
〈アイザックの信頼が…〉
〈英語読める???〉
「しのぶの皆様?? なんで私が英語を読めない前提なのかな???
読めるよ! 何なら英検持ってるよ!」
〈うそでしょ〉
〈ならなんでゲームの時読めなかったん??〉
〈それな〉
〈なんで読めなかったの???〉
「……あの時はちょっと調子が悪かったんですぅ~」
〈おいおいかわいいな〉
〈可愛い〉
〈Higanbana is cute.〉
「このままならさっきまでセトリにあった曲を歌うつもりだったのに、みんながいじっってくるお・か・げで歌えないじゃないですか!」
〈恨みがこもってそう〉
〈ちょっと八つ当たり気味でかわいいね〉
〈かわいい〉
「てことで、リクエストの楽曲いきます! Music start!」
〈ミュージックの滑舌良w〉
〈ミュージックwwwww〉
〈Musicw〉
〈滑舌〉
〈ネイティブ??〉
――
―――
わくわくするようなイントロ
サムネは一切動かない精巧な人形
ちょっと影のある9人が時々失敗しながらも明るいリズムで歌っていく
一人一人の暗さも明るさも全部声に乗せる
――恋に恋する一途な女の子
――本当の自分を隠しているドジっ子な女の子
――君を考え、愛する女の子
――理想の贈り物を待っている女の子
――貴方を待っている素直な女の子
――貴方に素敵な呪い《まじない》をかける女の子
――君のためにメイクをしてきていた女の子
――君を私に変えた女の子
――矛盾を抱えた、本当は「君」が大好きだった女の子
大好きな曲。
…………君のために歌うよ
――
―――
「ハイということで!いかがでしたでしょうか!
私的にはね、キャラがかわいすぎるという感じでしたけれども!」
〈そんな君もかわいいよ〉
〈よかった〉
〈昇天しまぁす〉
〈あ…高校生の時に死んだばあちゃんが…〉
〈まて〉
「ちょっと待って、なんか死にかけてる人いますけど!? なんで!?死なないで!?」
〈生きる〉
〈生還した〉
〈これだけで10年は生きれる〉
「よし、生還したね?
じゃあ、予定してたあの曲を歌っていきましょうか♪」
〈まぁじ??〉
〈よしキタコレ〉
〈推しが幸せそうで何よりです〉
〈可愛い〉
「じゃあ、かけるね〜」
〈((o(´∀`)o))ワクワク〉
〈楽しみ☆〉
〈恋愛曲♡〉
―――好き。
今までは、しのぶの皆に向けていた感情。
今は、少しキミに向けたくなっちゃったよ。
ちょっとだけ許してね、しのぶの皆。
まだ配信見てるかな?
素直に言葉にして伝えるのは難しいけれど、歌でなら伝えられると思ったから。
この曲と、もう一つ。
贈らせてください。
私に光をくれたキミへ。
楽しそうで、可愛くて…あってみたら面白いかなって思ってDMを送って。
コラボすることになって、情けないところを見せちゃったけど。
楽しくて、本当に嬉しくて。
未だに乗り越えられてはいないけど、キミがいたから少し軽くなった気もして。
次の機会、次の機会にって後回しにしちゃって、なかなか言えなかった。
だから今歌いたい。
好きだよ。
大好き。
私の恩人で、私の友達。
勝手に思っているだけだけど、私は本当に大好き。
面と向かってはむず痒くて。
多分伝えられないけど。
歌に込めてなら伝えられる気がして。
ああ、止まらない。
笑顔も、言葉も、全部が好き。
いつも可愛くて笑顔な友達。
ありがとう。大好き。
恥ずかしすぎて言えないけど
行動で示すからね
「好き」って言いたいけどまっててね。
「―――……はい! ということでいかがでしたでしょうか!」
〈88888〉
〈88888〉
〈888888888888〉
〈88888888〉
「おお、かつて見ないくらいの拍手の大洪水が…!」
〈…〉
〈うわ、うわ、本気出してきたよこの人〉
〈これは純度100%ですわ〉
〈やばない?〉
〈好きです。結婚しましょう。〉
「しのぶの皆なんか壊れてない?」
〈ひどぉ〉
〈正常だよ〉
〈これが正常ですよ???〉
〈元からおかしいからね〉
「そっか、元からおかしいのか。ならいっか。」
〈良くないよ!?〉
〈草〉
〈良くない良くない〉
〈全然良くない〉
「あっはは。ということでね、時間が余りました。1曲分。」
〈うっそだろ〉
〈あ、ほんとだ〉
〈ということは?((o(´∀`)o))ワクワク〉
〈お?〉
「私が今歌いたい曲歌います! 一曲だけ!」
〈きた〉
〈こういうの時々あるよね彼岸ちゃんって〉
〈リクエストじゃないの?〉
〈なんだろ〉
「はい、では今度こそイントロクイズです!
なんの曲でしょう!」
〈おおー!〉
〈イントロクイズキタ〉
〈よしまかせろり〉
〈草〉
ついさっき聞いたばかりのメロディが聞こえる。
「ふふ」
気恥ずかしさから思わず漏れ出た笑い声は、視聴者に届いてしまっただろうか?
〈ちょっとまて〉
〈えええええ??〉
〈嘘だろてぇてぇ〉
〈ちょ、まって笑ってる、笑ってやがるこの小悪魔〉
〈おま〉
〈これは自惚れていい案件? [咲久和 華]〉
〈いいぞ〉
〈これ絶対華ちゃんが歌ってたからでしょ〉
コメント欄の急加速。
今日だけで何度見たかもうわからない現象を横目で追いつつ、私は曲に声を乗せる。
華ちゃんのクオリティには届かないけど、精一杯の愛を込めて。
私は気がついていなかったけど、丁度この曲が始まった頃に。
148万人で停滞していたチャンネル登録者数が150万人に差し掛かっていた。
〈150万行きそう!?〉
〈え、まっじ??〉
〈まってここでそれはアツい〉
〈うわ、歌詞ぃ…此処で来るの好きだわ〉
〈すっきゃわー〉
〈頑張れ! [咲久和 華]〉
私をここに連れてきてくれた親友。
支えてきてくれた学友、家族。
しのぶのみんな。
ここまで一緒に頑張ってきたVTuberの仲間たち。
そして――華ちゃん。
皆に、感謝と、愛を。
私がここにいられるのは、君たちのおかげだから。
最初は、日向に連れてこられて。
なんとなく、で。
どんどん真剣になっていくうち、怖くなって。
一時期、逃げ出してしまいたくなった時期もあった。
それでも何度も何度も呼びかけてくれたのは、君たちで。
引っ張り出してくれたのは、君たちで。
百万人に行ったときなんてほんとに夢みたいで。
数日間ふわふわしてたところを友達に引き戻されたりもしたなぁ…。
懐かしくて、思い出すたび心があったかくなるような素敵な思い出の数々。
こんな日々を辿れたんだって。
自慢したいな。
「これからもみんなでいよーね!!!大好き!」
〈うっっっっっっっっわ〉
〈大好き〉
〈私も大好き [亜衣咲句藍美]〉
〈大好きでーす!!〉
〈大好きだよ〜!! [咲久和 華]〉
「あははっ!」
あったかい居場所。
ずっと居続けられるように、頑張らないとね。
――
―――
「ふふ、丁度終わりの時間ですね!
最後に〜〜〜?」
〈告知でしょ〉
〈もう終わりかぁ〜〜〜〉
〈長いようで短い〉
〈はっっや〉
「はい、皆様お察しのことかと思いますが、告知です!
この度、私彼岸花。」
〈ドキドキ〉
〈((o(´∀`)o))ワクワク〉
〈なんだろ〉
〈えぇー〉
「とある、3つの大型企画に参加させていただきます!!
…あ、詳細は不明ですよ〜〜」
〈詳細は不明なんかい〉
〈ええー!(棒) [咲久和 華]〉
〈ちょ、www〉
〈お待ちなされ〉
〈棒読みw〉
「あれ、コメント欄に…まぁ良いでしょう。うん。
さっき本人がネタばらししていったので言いますが、1つ目は華ちゃんの大型企画です!」
〈なんかあったっけ〉
〈これから告知するんじゃね〉
〈未告知の企画に…〉
〈ああー〉
〈ひがはなてぇてぇか…〉
「もう一つはほんっっとうにシークレットということで!
楽しみにお待ち下さい皆様!」
〈((o(´∀`)o))ワクワク〉
〈楽しみ〉
〈うわ、どこだろ〉
〈シークレット枠とか〉
〈この時期色んなとこで企画やってるからなぁ〉
「はい、ということで! 大した告知にもならない告知も終わりましたので、配信を終わりまーす!」
〈大した告知にもならない告知www〉
〈はいはーい〉
〈ばいばい〉
〈おつひが〉
「皆様、おつひが〜〜!」
〈おつひが〉
〈お疲れ様でしたぁ〉
〈ばいばーい〉
〈おつひが〉
〈おつひが [咲久和 華]〉
――この配信は終了いたしました――




