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男女比率1対100の世界で男の俺がVはじめました。(ただしVのときの性別は女である。)  作者: おまめあずき×梅崎さくら
番外 【彼岸花】というVTuber
69/83

69 魅せてあげるから見においで・【彼岸花】③


「…ふう」

アンインストールしたかのように感情を沈める。


〈8888(こわっ)〉

〈888888888888〉

〈8888(今日ちゃんと寝れるか?)〉

〈やばぁ……えぐうう……すごおぉぉ…〉

〈華ちゃんもやばいけど、彼岸ちゃんも大概やばいからね????〉

〈コロサナイデ〉


「〈コロサナイデ〉て、別に殺しませんよ!??!?!?!?(クソデカボイス☆)」


〈あかん…これ、耳ぶっ壊れる…〉

〈耳がコロされるぅw〉

〈耳がぁ…〉


「あ、あ、あ、

 ……の゛どが…

 ずみまぜん、ちょっとぎゅうけいざせてください」


〈痛み分けだなwww〉

〈ダイジョブ?〉

〈大丈夫!? [咲久和 華]〉

〈ばーか[亜衣咲句藍美]〉


――3分後


「はい皆さんお騒がせしました。」


〈水飲んだら結構治るよね〉

〈のど飴とかしゃ尚良い〉

〈あ、戻った〉

〈良かった〜〜〜〉

〈おかえり! [咲久和 華]〉


「では気を取り直して5曲目…。これで時間を取ったので一曲削らんといけないんですが…。

 どうしましょ…」


〈88〉

〈どの曲減らす??〉

〈全部好きだから悲しい〉


「よし、配信時間を伸ばそう。

 しのぶの皆さーんいいですか?」


〈wwww〉

〈ありがとう〉

〈いいよ〉

〈時間を伸ばそう(キリッ)www〉

〈いいよ〜〉

〈だから彼岸ちゃん好き(はあと〉


「うん、それにしても時間が惜しいので次々行きますよ〜〜!! 続けて二曲いっちゃいましょう!」


〈ええね〉

〈wwww〉

〈彼岸ちゃんその手の表現だけどんどん上手くなってない??〉

〈ダイジョブだろセトリはまだ明るい曲だぞ〉

〈まあそだねー〉


「連続二曲!!」


〈なんかこれまたとなく元気だな〉

〈ww〉

〈元気ハツラツ!〉

〈楽しそうw〉


「次の曲はね…もう喉作っておかないと。アー⤴アー⤴」


〈高い高い〉

〈高すぎて草〉

〈すげぇ、高音だ…w〉

〈声域広ッッ〉


「いきますね〜〜!」


最初は音階みたいな音。

全部同じ歌詞だけど、音の高低差がある。


社会に喧嘩を売るような、そんな歌詞。


本来なら白いはずの黒い少女、本来なら黒いはずの白い少女。

そんな二人の相反する少女が描かれたサムネは、常識に喧嘩を売っているのかもしれない。

冗談(ジョーク)なのに、笑えない


ボカロPさん二人がタッグを組んで作られた曲は、何処か面白い。

酷い言い方をすると、何処か狂っているような。


跳ねてて、楽しそうな喜劇

実際(ホント)は悲劇

でっこぼこ。

凸凹(でっこぼこ)


人を小馬鹿にしたような。

そんな上から目線の歌詞。

常識に、固定概念に囚われている私達に対する盛大な煽り文句。


ホントになっても面白可笑しく()きましょう?


あははははは


――

――――


深い深い底なし沼のような後悔

浅い浅い割れた氷のような日常


奪われた(思い出)

知りたくない

思い出し(忘れ)たくないのに


君との記憶は離れてくれない

くだらない現実は酷く無情で


キミは好きなのに僕は....


事あるごとに(大事なことを)思い出して(忘れていって)

僕は君をいつでも殺せるんだ

なのに殺せない

でもさ、あんた(記憶)、死んでんじゃない?


良いよ開放してあげよう

楽にしてあげよう

..ずるいね

()は止まれなかったんだ




ごめんね、(思い出)は戻らない


 ###


………。

上手(うま)すぎない…?」

冷や汗をかきながら、彼岸花の配信を見ている留依は、その歌にのめり込んでいた。


その歌に込められた感情に。

技工に。


なんというか、うん。

()のような、ウソの感情じゃない。

演じているわけじゃあない。


自分自身を歌に投影して歌うスタイル。

自分の記憶を呼び起こす、下手したら地雷を呼び起こすような歌い方。


それでも歌った後は、少し感情が残っているようで、気分が悪そうなのに。

それを、隠して。

楽しそうに。

「楽しい」という、感情だけを魅せて。


心をかけて、本気で、VTuberになっている。

そこまでの覚悟で、彼岸花は、彼女はそこにいる。


兄がいたから、馴染み深かったから。

そんな理由で始めたVTuber。


【彼岸花】というVTuberの、本気を。


魅せつけられたような気が、した。


「嗚呼…―――だなぁ…。」


その瞳に映るのは、憧れか。尊敬か。それとも、悔しさか。

…唯一、確かなことは。


今日

【彼岸花】と、【咲久和 華】という二人のVTuberが。

互いに互いを羨望し、互いの姿に魅せられ、引き込まれた。

互いに、××をした。


それだけだった。


 ###


「―――…はい! 二曲、続けて、いかがでしたでしょーか!!」


〈88888〉

〈888〉

〈88888…やっぱ彼岸ちゃんのうたいかたすっきゃわー〉

〈8888ブラァボォ!!〉


「次はセトリ最後の曲です。」


〈終わっちゃうのか〉

〈なんかあっという間だな〉

〈終わりかー〉

〈ん?()()()最後?〉


「はいじゃあどうぞ!!」

〈お、おうw〉

〈勢いがw〉

〈凄い何か取り繕うみたいにww〉

〈くぅ⤴さぁ⤵☆〉

〈この曲知らないんだよな〜〉

〈勉強不足だね〉


――

―――


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