68　魅せてあげるから見においで・【彼岸花】②

「―――………。」

〈８８８８８８８８８８８８８８８８８８８８８８８８８８８８〉

〈8888888888888888888888888〉

〈８８８８〉

〈888888〉

〈8888888888888888888888888〉

フラッシュバックした映像を、振り払うように数度、瞬きする。

「…二曲目でした。」

〈８８８８〉

〈すごかった〉

〈い　つ　も　の〉

〈いつもよりなんか明るめ？〉

〈全体的にちょっと明るめになっている気もする〉

〈圧巻である〉

〈コレが彼岸ちゃんや( ・´ー・｀)どや〉

〈流石軍曹様！〉

「軍曹って、懐かしー呼び名……。もう彼岸ちゃんに侵食されてたですもんね…。」

〈しｗんｗしょｗくｗｗ〉

〈彼岸ちゃんが侵食……。〉

〈なんか絵面が可愛いな〉

〈↑？？？〉

「絵面とは？？」

〈く⤴さ⤵〉

〈草〉

〈なんだろうよくわからない〉

〈理解不能ｗｗ〉

〈草〉

「まー、よくわかりませんけどそれもいつものことなので流しましょうか〜」

〈どういうことだい〉

〈まぁしのぶはみんな変人ってことだ〉

〈変人…まぁ間違ってはいないけど〉

〈いつものことだねｗ〉

〈そうだねｗｗｗ〉

「はいでは次に三曲目にいきたいと思います！」

〈まーサクサク行かないと時間なくなるしね〉

〈３曲目…〉

〈暗いのか、明るいのか〉

〈曲はくらいな〉

〈HAHAHA…まぁ大丈夫だろ。…多分。〉

〈多分は草〉

「音楽かけますよ〜。」

〈はーい〉

〈はーい〉

〈はーい〉

――　「お願いね、まなちゃん。……あの子(日向)を…忘れないで」

「絶対忘れないですよ、おばさん。当たり前です」

――　「何もできなくてごめんなさい」

「先生、自分のことはあんまり責めないで」

自分から逃げ口を塞ぐ弱虫(自分)

ねえ逃げていい？　……やっぱだめだ

忘れたいな…おばさんを悲しませていいの？

……何年立った？

先生にそんな口聞いたくせに私は傷ついたままこの傷口は塞がらない

前を向くことも過去のことに反抗することもできないただの弱虫

一人でずっと泣いていた

私は弱いから。

無理をしていく

――　「大丈夫？天菜ちゃん、すごいクマだね」

「大丈夫！！」

貼り付けた笑顔とともに強がっていく

私の中にずっと巣を作っている「感情」(悲しみ)だけはなくなってくれないの

「ひかり」からにげたいずっと「やみ」でいいのにまだ「まえ」にいきたくない

それでも、「ひかり」に焦がれてしまう

私を、救ってくれる「ひかり」に。

――　〈彼岸ちゃーん♡〉

〈無理はしないでネ、オニイサンとの約束ダゾ？〉

〈うわあ〉

〈でも無理はしないでほしいかな〉

〈彼岸ちゃんが笑っているのが好きなんだよ〉

――優しさが伝う

「彼岸さん！」

「ひが」

「彼岸。」

―――じわじわと、じわじわと。

「大丈夫ですか？」

……うん(ううん)、大丈夫(大丈夫じゃない)。

嗚呼―――君の前でだけでも、弱音を吐けたなら

楽になれるかな？

この曲は、私と似ているようで、似てないね。

わたしは逃げないからね、親友《ひなた》？

―――

「３曲目でした～。

　いえーいぱちぱちぱち」

〈88888〉

〈イエーイパチパチパチが可愛い…ｗｗ〉

〈８８８８８８８８８〉

〈8888〉

「いえーいぱちぱちぱちが可愛い？　ありがとね〜〜」

〈ｗｗ〉

〈可愛いよ(*´ω｀*)　［咲久和 華］〉

〈ふぁ！？〉

「華ちゃん！？　え、可愛い？　ありがとう〜！」

〈華ちゃん出現した…ｗ〉

〈出現って、そんなポ●モンみたいにｗ〉

〈やっぱり彼岸ちゃんは歌うまいね〜　［咲久和 華］〉

「私より華ちゃんのほうが歌うまいよ！　いや本当に！」

〈ふたりともどっこどっこい〉

〈二人共上手杉〉

〈ふざけるな人外のやべーすげー奴らめ。くそう…うまいなぁ〉

〈ｗｗ〉

「ふざけるな人外のやべーすげー奴らめ…って、いや…。」

華（コメ）＆彼岸「「そこまででもないと思うな！？」」

〈息ぴったりで草〉

〈仲いいねぇ…〉

〈( ゜д゜)ハッ!上質な百合の気配〉

〈草〉

〈可愛い〉

「次はおまちかね？なコーナーに行きまーす！

やりたいことがあるので巻進行になっちゃうかも？？？？」

〈ひゅーひゅー〉

〈絶対巻き進行にできないよね彼岸ちゃんはさ、〉

〈優しいもん〉

「わたしをなんかばかにした？これでも英検三級です！」

〈張り合うとこ...ね？〉

〈三級ならなんで華ちゃんとのゲーム配信の英語が読めなかったのか〉

「リスニングが得意なんです！」

〈ほうほう（にやにや）〉

〈へー〉

〈ふーん？〉

「む～、道コンは８割５部以上取れてます！あ、五教科ですよ、総合。　まあ、小学生の時ですけどね。」

〈小学生の時かいｗ〉

〈道コンとは？？〉

〈可愛い〉

〈むーかわいい〉

〈道コンってなに〉

〈八割五分ｗｗ〉

〈小学生ｗｗ〉

「道コンは北海道学力コンクールの略ですよ。」

〈あー、そういう。〉

〈理解〉

〈北海「道」学力「コン」クールか。〉

〈略し方ｗｗ〉

〈あれ、順位とかつかなかったっけ。〉

〈まじで？〉

〈じゃあ彼岸ちゃん何位？？〉

「順位と一緒に名前も書かれちゃうので…個人情報知りたいんですか？？？？？」

〈さーせん〉

〈マジカすまん〉

〈そーりーそーりー〉

〈そうなのか…　［咲久和 華］〉

「あっ、華ちゃんはどうなんですか？　道コン、受けたことあります？」

〈あるよ、一回だけ！　［咲久和 華］〉

〈へっ〉

〈華ちゃん北海道出身！？〉

〈ウソでしょ〉

「一回だけかぁ…。北海道に住んでたことあるんだね〜」

〈あるよ！　　［咲久和 華］〉

〈北海道の人いいな〉

〈え、黒白もいたってこと？〉

〈へ？〉

「あー確かに黒さん、白さんがいたんですね」

〈うん、ちょっとなんか私は引っ張られていった感じかな　［咲久和 華］〉

〈サラッと新情報を出してくるｗｗ〉

〈ちょっと初耳なんですが〉

〈マジか〉

〈華ちゃんｗ〉

「てか脱線してますね。…もう歌いますよ？

　今回の配信は歌枠ですから。」

〈唐突ｗｗ〉

〈彼岸ちゃんらしいといえば彼岸ちゃんらしい〉

〈そういえばそうだった( ゜д゜)ハッ!〉

〈雑談楽しすぎて忘れてた〉

〈とうとつな歌いますよは草〉

「〈雑談楽しい〉…確かに雑談は楽しいですよね…。時がすぐに過ぎ去る…。」

〈もう無限に話し続けられそうだもん〉

〈永遠に話してそう〉

〈ときがすぐに過ぎ去るｗ〉

「あ、もうそれ企画にしてしまいましょうか。

　……なーんて馬鹿なこと言ってないで歌いますか。」

〈歌お〜〜〉

〈次なんだっけ？〉

〈明るい？　暗い？？〉

〈闇系とか暗めの曲を極めたボカロＰ縛りだし暗い気がする〉

〈次は…〉

「ヤンデレで歌おう！第6回！

　はい、読んで字のごとくのコーナーです。いってみよ〜！」

〈もう６回目か〉

〈彼岸ちゃん、君は話しているんだ〉

〈まあ、楽しみ〉

「言葉の綾ってもんです」

「はい！では４曲目すたーと！」

〈強引www〉

〈時間がね、チョット押してるんよ〉

〈だから焦ってんのよ〉

〈まあ、華ちゃんに見られているってこともあるんだけどね〉

〈コメントニキ彼岸ちゃんのこと完璧に理解しててこわい〉

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―――イントロが流れる

歌詞は、普通なんだ。

この曲は、歌詞は(・)ちょっと怪しいけど普通。

文章で見るだけならば、わからないだろう。

この曲の持つ狂気じみた執着が。

MVがない分、歌枠で歌うのは難しい。

表現するのは難しい。

だだ、心なしねっとりしているような。

絡みついてくるメロディを。

私の表現できるすべてを持って、表現してやる。

そんな気持ちで、息を吸う。

―――わたしね、キミが好き。

だから、だから、こっちむいて？

わたしの方を見て？

わたしを、好きになって？

ねえ...わたしを選んで？

もう、私しか見ないで。

ねね、ハグしよ？　ぎゅうってさ。

あは、

だからさ、いったじゃんかあれ(私以外)を見ないで？

あんなの。いらないでしょ？　ね？

みるひつようないでしょ？

わたしが君のことを愛するんだからさ！

…すき？

とびら、あけちゃった。

なんで？ねえなんで？僕がいるじゃん

わたしの前にずっといてよ。

すき

そんなこと言ったって、いみないよ。

汚いね。

あれ

一生逃げられない箱で僕が君を守る

喋んない私のヒカリ。

わたしもかな。

……まぶしいや。

――

―――

『…君が好き』