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男女比率1対100の世界で男の俺がVはじめました。(ただしVのときの性別は女である。)  作者: おまめあずき×梅崎さくら
番外 【彼岸花】というVTuber
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67 魅せてあげるから見においで・【彼岸花】①

前回からの続きですが章を分けます。

そして、彼岸ちゃん配信回です。


「はい、皆さまこんひが〜! 今宵は【彼岸花】の歌枠配信にようこそ!」


〈こんひが〜〜〉

〈こんひが〜〜〉

〈婚費が〜〜〉

〈↑w〉

〈こんひが〜〜〉


「『こんひが』を結婚費用にしないでいただいて??」


〈草〉

〈こんひが〉

〈こんひが〉

〈こんひが〜〜〉

〈草〉


「今回は、同じアーティストさんの楽曲縛りをしていきたいと思いま〜す。」


〈うぇいぇい〉

〈88888888〉

〈キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!〉

〈(∩´∀`)∩ワーイ〉

〈誰だろー〉

〈まぁ決まってますね、彼岸ちゃんのアーティスト縛りといえば。〉


「はーい、皆さんしのぶの言う通り、あの人です!!」


〈よきかなよきかな〉

〈リクエストある〜?〉

〈聞きたーい〉

〈わかりやすくテンション上がってて草〉


「今回はリクエストなしにしていきたいと思います!

 ……すみません。流石にあの華ちゃんの配信の後、あんま歌っていない曲をリクエストされるのはつらいので。」


〈あっ〉

〈あっ(察し)〉

〈ヤバかったなぁ…〉

〈あからさまに人減ってるし〉


「歌う曲はセトリに書いてあります。セトリを出しますね〜〜、少々お待ちを。」

数秒後、画面にセトリが出てくる。


〈見事に彼岸ちゃんの好きな曲だ〜〉

〈彼岸ちゃんは暗い曲が多いよね〜〉

〈病み曲多ない?〉

〈大丈夫、コレが通常だ〉

〈あ!!!!あああああああああ〉

〈どした?風邪引いたか?〉

〈彼岸ちゃんがあの彼岸ちゃんが〉

〈??〉


「え、私がどうしたんです??」


〈ほんのり明るい曲を歌っている、だと.....〉

〈ラブソングだと??〉

〈後悔系ではなく?〉

〈ちょっとヤンデレな歌を歌うだと(・。・)〉

〈最後の曲!!!〉

RPロールプレイングじゃないの?〉


「ちょっとまって、びっくりするトコそこ!? 嘘でしょ!?」


〈草〉

〈まぁねw〉

〈ww〉

〈これが現実だ。〉


「色々あったの!!!

 というかしのぶたち、娘が彼氏とかできたら騒ぐ父親かなにかなの??」


〈例えww〉

〈ちょっと毒舌〉

〈でもキュート♡〉

〈その名も〜〉

〈彼岸花!!!!〉

〈息ぴったりかよ〉

〈草〉


「毒舌毒舌言わないでくだいまし、お父様?」


〈急なロールプレイング〉

〈でも事実〉

〈事実なんだよなぁ…〉

〈お父様はキツイww〉

〈こんにちは、お父様です〉

〈こんにちは、お母様です。〉

〈えー、じゃあ、こんにちは、お兄様です〉

〈こんにちは、義兄様です〉

〈うわあ裏山↑〉


「時間がもったいないので進めますわ。

 心してお聞きくださいな?」


〈ハイル!お嬢様!〉

〈ハイル!お嬢!〉

〈わたくしどもはお嬢様の奴隷です!〉

〈草〉

〈かしこまりましたわ彼岸花様っ♡(野太い声)〉

〈愉快だなぁしのぶの皆は〉


「ハイではまず一曲目行きます!」


〈最初は十八番か〉

〈おー〉

〈十八番〉

〈いつもの〉

〈実家のような安心感〉

〈実家……帰ってねえなあ…。〉

〈おい色んな意味で帰ってこい...〉


―――目を瞑る。


あんなの魅せられちゃったからなー。……なんか、いつもより全力になっちゃうかも?

いつもが全力じゃないわけじゃないんだけどなぁ…。

あれを見ちゃったら、なんか実力が引っ張り上げられたような気がする。

ま、やるからには最高のものにしたいしね。


―――目を開ける。


かかるのは、【彼岸花(わたし)】の十八番。


あの件があってから私は海月(クラゲ)にでもなりたかった

ふわふわと海を踊っている海月クラゲ

なんにも考えたくない

なんにも見たくないし聞きたくない

そんな願いを、ただただ抱えて生きていた。


どうせならさ、一緒にいきたかったよ、ねえ日向《親友》

どうせならさ、私が君の痛みを肩代わりしたかったな


もう過ぎたことだけどさ、ずっとずっと引きずってる私の後悔。

歌えば歌うほどに私にぴったりだなって。


でもね今はそんなに思わなくなったんだよ?

君ら(しのぶ)に会ってからだよ。…恥ずかしくて絶対そんなこといえないけどさ。 

もう進まなきゃいけないと思って。


もう進むんだ、

君らを楽しませるため()に。


―――


「1曲目でした〜!」


〈888888〉

〈彼岸ちゃんと言ったらこれ〉

〈でもいっつもより明るかった気がする〉


「心境の変化がありまして…。ちょっとだけ前を向こうって思えたんです」


〈よかったー〉

〈うれしい〉

〈子供の成長を感じる今日この頃〉


「私は子供じゃないです!! さっき父親って言ったのを根に持ってますよね?!」


〈ソンナコトナイヨ〉

〈でもよかった〉

〈どういうこと?〉

〈新参はわからないか〉

〈あの子が来てからだね、彼岸花ちゃん〉

〈良かった [亜衣咲句(アイザック)藍美(アイビー)]〉


藍美(アイビー)? 来てくれてたんだ」


〈来てたよ〜。 [亜衣咲句(アイザック)藍美(アイビー)]〉

〈珍しいわ〉

〈藍美まで来んのは珍しいな〉

〈ともかく立ち直っているんだね〜〉

〈先生!新参はついていけていません!〉

〈彼岸ちゃんはさ、男性尊重教育の被害者だよ〉

〈これ以上は察して〉

〈アッ…ハイッ〉


「しのぶの皆さん? 暗いお話はやめにして、次の曲行きましょう!!」


〈彼岸ちゃんいい子〉

〈彼岸ちゃん…〉

〈ひ゛がぢゃ゛ん゛……。・゜・(ノ∀`)・゜・。〉

〈でも次の曲も暗かったような...〉


「ぐぅっ……。そ、そんな事はいいんです!

 それでは、ミュージックスタート!!」


思い出すのは、あの日の出来事。


――『あの、あの、ひーちゃんは、ひー、ちゃん、は……』


あの日、奪われたあの子の存在。


――『いじめがあったという事実は、()()()()()。』


黙れ


――あの、こちらを逆に責めてくるような、何度言ったらわかるのだろうという、あの目。


私達を奪わないでよ


今の世界を見てみよっか?


ほら、変わってない


ある人は男のせいで腐っちゃった。壊れちゃった。


5年以上経ったのにこの世界はまだ狂ってる


こんな世界狂ってるけど私達はこの世界で見ないふりして踊ってんだ


ほら私だってさ、異常な世界の共犯者だ


なんにも変われていない自分を


笑ってしまえ 嗤ってしまえ 嘲笑ってしまえ







でも。


――『おーい。大丈夫ですか? 彼岸花さーん! 彼岸花さんってば!!』


少し信じても、良いのかな?

まだ少し怖いけれど、信じてみても――


――『ごめん、さようなら』







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