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男女比率1対100の世界で男の俺がVはじめました。(ただしVのときの性別は女である。)  作者: おまめあずき×梅崎さくら
第四章 【咲久和 華】というVTuber
66/83

66 二人の被害者

前半??視点、後半彼岸ちゃん視点です。


「……ッ……なん、なの。」


悔しそうに、女は唇を噛みしめる。


「何なの、何なのよ…。ッ!」


ぎゅうっと、手を強く握りしめる。


「何なの、何なの、何なの、何なの…本当に、何なのよッ!!」


自分に言い聞かせるかのように、叫ぶ。


その声量は大きく、近所迷惑になりそうだったが、女はもうそんなことなんて気にしていられなかった。


「邪魔なの、邪魔なのよ。」


彼女がみるのは、白と黒で統一された祭壇。


「邪魔なはずなの。」


()()が配信を始めてから今まで、女が集めてきたグッツ類を集めた祭壇。


「邪魔なのに、何で、何で……。」


女の頬は、上気していた。


圧倒された。


不覚にも、感動してしまった。


感動、させられてしまった。


「何でそんなキラキラしてるのよ、なんで私の視界にはいってくるの? なんで、なんで、なんで―――??」


「邪魔、邪魔なの。」


そのはずなんだ。

あの女は、【咲久和 華】は邪魔なんだ。


じゃま、するな―――。


女は、憎々しげに顔を歪めた。


 ###


「………。」

私は、配信が終わってもしばらく無言で、動けなかった。


「はな、ちゃん。」

すごい。

今回の配信は、その、一言に尽きる。

本当に、凄い。


どうしよう。

不覚にも、私は圧倒されてしまっていた。

華ちゃんのその、技量に。

そしてなによりも、魅せられてしまっていた。

彼女のパフォーマンスに。その身に宿る、圧倒的な熱量に。


まるで、熱に浮かされるように。

心地よい、疲労感にも似たそれに、ぼうっと酔いしれる。


「…って、いやいやいや!」

何やってんだ私は!

ぼうっとしてる場合じゃないだろう!

「これから配信なのに!」

そう。

私はこの後、歌配信を予定している。


「……あのクオリティの後に始めるの、勇気いるなぁ…」

華ちゃんめ。

すごかったし、全力を尽くしてるのも伝わってきたけれど、そこだけは恨むよ?

あんな完璧なパフォーマンスの後で私の配信なんて見ようとする人いるかなぁ……?

平常時よりも絶対に減るとは思う。

すごかったもん。


それにしても、始める時間が遅くないか…って?

……華ちゃんの記念配信みたかったんだもん。

後単純に私が夜型だってだけだよ。


「配信準備しないと。」

誰にともなく呟いて、私は配信の準備を始めた。



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