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男女比率1対100の世界で男の俺がVはじめました。(ただしVのときの性別は女である。)  作者: おまめあずき×梅崎さくら
第三章 波乱…………
47/83

47 雨のやらかし。


「………どうする?」

「…どうしようもないのでは……?」

俺たちは薫がいなくなったあとをぼんやり見ながら話す。

「確かに。」

薫がいなくなってしまうと、俺たちはどうすることもできないのでただぼーっと突っ立っていることしかできない。


「ぷっ、あははっ……!」

突然、どこからか笑い声が聞こえた。

「ん? 誰だ?」

そう問いかけると、俺たちが今いる玄関と少し距離が離れたリビングの方からひょっこりと一人の青年が顔を見せる。


「あははー。

 はじめましてー。凪でーす。」

こちらに向かって歩いてきながらこの世界の男性とは思えない、柔らかな声色で、その青年が言う。

どことなく棒読み気味なのが気になるが、女性がいればめちゃくちゃにこき下ろすこともあるらしいので、この世界の男性としてはとても珍しい部類に入るだろう。


「…はじめまして。櫻岐雨です。」

「留依だよ。よろしくね。」

向こうの世界にも彼―――凪はいたが、向こうの彼は引きこもりで一人暮らしだった。

薫は小学校からの幼馴染だし、そこまで仲が良かったわけでもなく、ただの友人という立場であったため家に行った回数は少ない。

そんな事情もあり、凪とはほぼ初対面。


すっと通った鼻、人懐っこそうに細められる瞳、猫のように悪戯なほほ笑みを浮かべる口元。

向こうの薫から話を聞いてはいたが、雑誌の表紙を飾れるほどのかなりの顔面偏差値だった。

………家の兄ちゃんには敵わないけど。


(※この兄妹は基本的に重度のブラコン、シスコンです。)


「よろしくね〜、留依さん、雨さん。……あれ? ……生徒会長?」

細められていた凪の目が、雨を見た途端大きく見開かれる。

「あれ、気がついた?

 ふふ、そうだよ。私は生徒会長の櫻岐雨です。

 そして、君のお姉さんの婚約者の妹でもある。親戚になるかもね?」

にまにまと楽しそうな笑みを浮かべて凪くんをイジる雨。

「は?」

ぽかんと、雨の理想通りであろう表情を浮かべる凪くんを見て、更に笑みを深める。


「そこらへんでやめとけよ? 雨。」

「はーい。ごめんなさい。」

今にもちえっと言いそうな表情になる雨。可愛いけどさ。でもダメなものはダメです。


「あー、あのー。

 とてもそうは見えませんけど…留依さんって男です?」

凪くんが気まずそうにこちらを見てくる。

あ。そういえば女装してる上に女声出してたわ。

「あ、はい。」

俺は、女性に聞こえるように高い声にしていたのをやめ、普段の声に戻る。

「ぶおっふぁwwwwwwwwww」

「雨!?」

「その格好でその声は…無いわーwwwあっははははっっwwあーっははっははwひーwwwwwwwwひーwwwwwww」

ちょ!?

笑い過ぎでない!?


「………っくくく…。」

「凪くんまで!?」

ここに味方はいないのか!?

「っくく、兄妹仲、いいんですね、あはは!」

「そうだよ! てか笑いすぎ二人共!」

「あははははは!! び、美少女にしか見えないのに、男、っあはは!!」

「ひー、お兄ちゃん、に、にあってるよ、あははは!!」


「二人共〜!!!」

「あはははっっ!」

「ははっ、ふふふふっ!!」

流石に笑い過ぎだろう。


「ふ た り と も ? 流石にやめてくれないか??」

「「ヒッ……ハイッ。」」

「ごめんなさいは?」

ニコニコと笑いながら二人に問いかける。

「「ゔ…ごめんなさい。」」

「よろしい。」


「この般若め。(ボソッ」

「あーめー??」

本当にこりてないのかこの子は。

小声で言ったって聞こえてるって。

「……(スイッ」

「目をそらさない!!」

全く…。


「…本当に仲がいいんですね。」

凪くんが、雨の方をちらっと横目で見ながら話しかけてくる。

「そうだね。特に雨は末っ子だから、ついつい甘やかしちゃうんだよ。」

「しろ兄ちゃんもくろ兄ちゃんも、あと晶さんも。うちのお兄ちゃんズ、やさしいから。」

雨のその言葉に、凪くんは目を見開く。

「は????

 え……お兄さん、何人居るんですか?」

「え、三人だけど。」

「はい?????」


あっ。

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