34 初心者……………だよね??
「――気を取り直して! 最初の目標! 拠点を作るぞーーーー!!」
〈作るぞーーー!!〉
〈最初に拠点は必要〉
〈とりあえずベッド作れ、ベッド〉
〈開始一分未満で死に戻りしたけどね〉
「っっ〜〜〜〜!! 死に戻りのことはいいから!」
「ニッコニコの笑顔で落下していくくろwwwwwアレは流石に笑っちゃうよwwwww」
「おいしろぉおおお!!」
〈仲いいね〉
〈( ´∀`)bグッ!〉
〈仲良しGOOD!〉
〈イイネ!!〉
〈おーい、拠点作らないとすぐに夜になるぞ [千羽瀬 千鶴]〉
「やべ。
夜になるとモンスターがうざったいからなぁ…。早く作らないと。」
「まず初期装備の時点ですぐ殺されちゃうけどね。」
このゲーム内では『夜』と『昼』などの設定があり、特に『夜』にはモンスターが出てくるので要注意なのである。
大体のプレイヤーは昼間のうちに材料をゲットし、ベッドを作成し、夜を明かす。
私達ももちろんそうするつもりだ。それじゃないとモンスターに殺されるからね。
「何すれば良い?」
〈拠点づくり〉
〈拠点〉
〈素材集め〉
〈素材集め⇒クラフト⇒拠点づくり〉
〈拠点とりあえず作って!!〉
〈探検〉
「見た感じ、拠点が一番多いね。」
「まず穴をほって仮拠点でも作るか。」
「まぁ、それが定番と言っちゃあ定番だよね。」
私、くろ兄ちゃんしろ兄ちゃんの順でそう話しながらサクサクと三人がかりで地下を掘り進め、数分後には何もない土で覆われた地下空間が出来上がった。
「っしゃー!」
〈効率良い〉
〈コンビネーションすごくて草〉
〈さすが兄妹〉
〈兄妹というだけでこんなにも行けるものなのか〉
〈皆さん安心してください、この兄妹がおかしいだけです。〉
「じゃあ、仮拠点もできたし、探索するぞー! まずは村を見つけないと、だな!」
「うん。って、くろ置いてかないで??」
てってけてってけとくろ兄ちゃんが私としろ兄ちゃんを置いて先にスタート地点である山を降りていってしまう。
私たちは慌ててクロ兄ちゃんの後を追った。
「あ、すまん。」
「まぁいいけどさ……。」
すぐ追いつける距離だったしね。
「うわ! 村だ! 運良いわ、俺!」
「え嘘でしょ」
しろ兄ちゃんがガチトーンで反応する。
初手で村は良い。まじでくろ兄ちゃんナイス。
村にはもちろん村人達がいる。
彼らはそこで生活しているため、畑やベッドなどが完備されている。そして、村人たちとは取引をして物々交換をすることもできるため、最初は結構重要である。
「ナイス。」
〈くろくん運良すぎ〉
〈なんでこんないい場所に行けるんだ???〉
〈大体の初心者⇒ん〜。森しかねえ。あ、やべえ、夜だ。帰り道わからん。氏んだ。
くろしろのはな⇒あ! 村だ! 勝つる!〉
〈ナンデ??〉
〈すご〉
「おー! 畑だ!」
「というかくろ、まずツルハシ作って木をとんないとだめでしょ…。」
「あ………。忘れてたわ。」
〈忘れちゃだめなのに忘れてたwwww〉
〈やば〉
〈この人達を見てると色々常識というものを忘れるww〉
〈順調www〉
〜数分後〜
「はい! ということで、夜になりました!」
「なんか、私の知ってるマイクラじゃなかった気がする。」
「それは言っちゃいけないんだよ、華。」
〈くろ君強運すぎ〉
〈なんかやばい〉
〈くろくんwwwwwwwww〉
〈この人達初心者ですか??〉
〈初心者……………だよね??〉
「紛れもなく初心者のはずなんだけどね。」
私は拠点の中を見る。
周りの壁は相変わらず土一色だけど、三つ、質素なベッドが置いてあったり、まず、光源である松明があったり。
初日にやっておいたほうが良さそうなことはあらかたできたんじゃないかな、と思っている。
マイクラはいいゲームなんだけど、何分難しい。
何が難しいって、初期スタート時点が必ず山の頂上だし、森で周りがあまり見えないし。足元も確認していないと、すぐ落ちる。
こういう系のゲームが苦手な人―――私とか私とか私とか―――にとってはまじでむずい。
というか、最初は難しい。
何も情報がなければ何すれば良いのかパニックになる。
というか、ちょっと向こうで一回やってみたときになった。
それからこのゲームには手を付けずに、ずーっと『Hunteing』ばっかりやってたからなぁ…。
「………すごいね〜。」
「寝るぞ! 明日は今日は断念したけど、立体的な家を作るんだからな!」
「はいはい……。」
楽しくこの兄弟の夜は更けていくのだった―――
次回は真人くん家にいたときのしろくろ視点です。
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