33 くろ兄ちゃんのワガママのせい
「皆様!」
「「「こんにちは。白黒の華です!」」」
〈いぇーーーーーーーーーーーーーーーい〉
〈(≧∇≦)/〉
〈こんにちは〉
〈キッタァァァアアアアアアアアアアアア!!!!!!!〉
〈こんにちは〉
「まず、リスナーの皆様。急な配信時間の変更、申し訳ございませんッ!」
私はつい癖で頭を下げ、ゴスッ、と机に額をしたたかにぶつけた。
痛……。こんな初歩的なミスをやらかすとは……恥ずかしい……。
〈だいじょーぶ〉
〈大丈夫ですぅ!〉
〈待ってました!〉
〈\(^o^)/〉
「ほんとにね、くろのわがままのせいででごめんね。」
しろ兄ちゃんが呆れた声色でそう言う。
〈わがまま……。〉
〈カワ(・∀・)イイ!!〉
〈だいじょーぶ、だいじょーぶ〉
〈黒くん・・・・(≧∇≦)b〉
「ちょっとくろ、ちゃんと反省してる?」
最初の挨拶の後、何も言わなくなったくろ兄ちゃんにしろ兄ちゃんが声をかける。
「ごめんなさい。反省してます(´・ω・`)」
〈かわ…〉
〈じゅるり(^q^)〉
〈あ、しょんぼりしてる…〉
〈かわわわわ…〉
「ありがとうね。ほんとに。」
「……じゃあ、気を取り直してやっていくか!」
しろ兄ちゃんがせっかく真面目にお礼をしたあとに、雰囲気をぶち壊すようにしてそう言うくろ兄ちゃん。
あー、これは後で絶対怒られますね。
〈やっていこう〉
〈ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ〉
〈ごーごー〉
〈うぃ〜〉
「くろ、今は流石に時間が惜しいから怒らないけど、後で、覚えておいてね??」
「…ハイ……。」
〈wwww〉
〈かわいい〉
〈しろくん…〉
〈腐の気配 [楽模 ふわり]〉
〈ふ、ふわりぃぃぃいい!?〉
「あ、こんにちはふわりさん。腐はありません。」
すぐ出てきて腐に結びつけようとする腐話裏さんに一応釘を差し、『AnotherKraft〜黒き龍の旅路〜』を起動する。
この『AnotherKraft〜黒き龍の旅路〜』は、いわゆるサンドボックスゲームだ。
サンドボックスゲームとは、サンドボックスのように何をするもプレイヤーの自由なゲームである。
建築やサバイバルなど、人によって遊び方は様々。
企業のVはサーバー、通称鯖と呼ばれるものを作り、複数人でプレイしているようだ。
このゲームは前の世界とおんなじ仕様みたいで、良かったよ。
「鯖の詮索はするなよ〜。」
まぁ、くろ兄ちゃんがこう言っているが、雨いわく「どうせどっかのバカが入ろうとしてくるから、毎配信ごと……いや、一時間ごとでもいいから鯖は変えたほうがいいかもね。」だ、そうだ。
確かに、唯一(いや、二人いるから、違うのか?)の男性VTuberと同じ鯖に入りたいという人は出そうである。
おr…私たちは、暗記済みのコードで鯖に入る。そして、ロードが終わると、画面には四角で構成された世界が広がる。草、木、動物…。全てが見事に四角である。
ここにきて、やっと俺たちは配信にPCの画面を乗せる。
「よし! やってくぞ〜!」
〈イエーイ〉
〈オー〉
〈\(^o^)/〉
〈楽しそうでよかった(*^^*) [千羽瀬 千鶴]〉
「おー! 千鶴!」
コメント欄にいる、千鶴さんに嬉しそうにくろ兄ちゃんが話す―――と。
画面に設けられているチャット欄に、とある文字が浮かぶ。
〈Toya〉は高所から落下した。
「えええええええ。」
「まって………まだ始まって1分すらたってないんだけど??」
〈おぅ…〉
〈はやっ〉
〈(゜∀゜)〉
〈早いって、くろくん〉
〈1分すらたってないwwww [千羽瀬 千鶴]〉
「しょうがねぇだろぉ! コメント欄に千鶴がいたんだから!!」
〈草〉
〈腹筋割れるwwwww〉
〈くっそ笑う〉
〈草〉
〈\(^o^)/〉
次回に続く!!
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