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男女比率1対100の世界で男の俺がVはじめました。(ただしVのときの性別は女である。)  作者: おまめあずき×梅崎さくら
第三章 波乱…………
29/83

29 悔しさ

み じ か い です。

話の都合上、800文字という少なさになってしまいました。

申し訳ございません_:(´ཀ`」 ∠):


巫山戯(ふざけ)るな。

なんで、この子が、こんな目に合わないといけない??

おかしい。

この世界は、おかしい。


この子に、そんな事をした女の子達も、こんな事をしたかったわけじゃない。

ただ、ただ。


『自分を愛して欲しい』

『求めて欲しい』


そんな事を、願ってただけのはずだ。


こんな世界、無ければ。

男の数が、減少なんてしていなければ。

彼女たちが、汚らしいと、醜いと、世間からそんな風に思われる事すら、なかったはずだ。


こんな世界、なければ良いのに、なんて考えてしまう。


わかってる。

この怒りの行き場なんてないんだって。

しょうがないんだって。


けど、事実。

真人くんも、加害者の女性たちも。

普通の、俺たちにとっての普通の、男女比なんてほぼ一緒の、あの世界に、生まれていれば。

こんなに傷つくことは、なかった。

その事実に、沸々と腹の奥から怒りが込み上げる。


俺が、俺たちだけが知っている世界との、差。

その差を、俺はまだあまり実感していなかった。

なぜなら、身近にそんな差がなかったから。周りの人間ほぼ全てが、違う世界を知っていたから。

そんなギャップ、感じなかった。


でも。

こうして苦しんでいる人を目の当たりにすると、どうしても思ってしまう。

———『救いたい』。


そんな思い、現実的じゃない。

小説、アニメ、映画———そんなフィクションの中でしかありえない、できないこと。


だから、俺にできることは少ない。

ただ、Vとして。

咲久和(さくわ) (はな)』として、自分の思いを、考えを、発信する事だけ。

それすら、届くかどうかわからない。

それがあまりにも、悔しくて。


ただ、今は。

ぎゅっ、と、震える真人くんを正面から抱きしめる。

そして、上から自分と違う温もりが二つ。

しろ兄ちゃんと、くろ兄ちゃん。

そして、俺と雨。


———四人の兄妹は、それぞれの気持ちの中、ただ、泣いている真人を抱きしめた。

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