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男女比率1対100の世界で男の俺がVはじめました。(ただしVのときの性別は女である。)  作者: おまめあずき×梅崎さくら
第三章 波乱…………
28/83

28 トラウマ

遅くなってすいません……!


「ぅう゛、あ、すい、ません。

 思わず………。」

何分経ったか、時間の感覚がなくなってきたころ、真人くんは泣き止んだ。


「大丈夫だよ。真人くんは大丈夫?」

「だい、じょうぶです。ありがと、ございます。」

所々つっかえるところはあるものの、ちゃんと受け答えできている。ちゃんと落ち着いてきているようだった。


「目、腫れちゃったね。

 洗面台ってどこかな。」

しろ兄ちゃんが真人くんにそう声をかける。


「そういうと思ったから、用意してたよ。」

「雨、ナイス。」

いつのまにか居なくなっていた雨が、濡らした冷たいタオルを真人くんに渡している。


「あ、りがとうございます。」

「うん。

 真人くん、私が経緯を話して大丈夫?」

雨が真人くんを気遣いながらも、そう話しかける。

「大丈夫です。

 むしろ、お願い、します。」


  ###


「「「…………。」」」

話を聞き終えた俺たちは、思わず絶句した。

酷い。酷すぎる。


小学生。

教師達から強烈なアプローチを受け、同学年の女子が女子禁止区域(女子のアプローチが酷すぎるので設けられた区域)に侵入してきたことも日常茶飯事。いきなり家に来たこともあったらしい。


中学生。

小学校の頃より酷くなった。

教師からのアプローチや禁止区域への侵入も日常茶飯事。

何度も誘拐されかけ、実際に誘拐されたこともあった。幸い、早くに助け出されたので、そこまで酷いことはなかった。


そして、極め付けは高校生。

入学式から数日経ったある日、放課後、必要な書類のせいで遅くまで残っていた真人くんを待ち伏せし、組み伏せ、拘束し、明らかに異常な様子で迫ってきたらしい。

まず、この時点で執念がすごい。


その時もきちんと助け出されたのだが、この時の犯人はとくに執念深かったらしく、パトカーに乗るまで彼に暴言を吐き続けたらしい。

可愛さ余って憎さ百倍とは、このようなことを言うのだろう。


その後、犯人の供述としては、

「動機? アイツ(真人くん)は私が好きだったんだから。本当だよ?」

「何度も何度もこっちをチラチラ見てたんだよ?」

「気があるに決まってる!」

「合意の上だよ! 罪なわけないじゃん!」

「お前らが私たちの愛を引き裂いたんだ!」

などなど。


「……っふ…ぅぁ……っ!」

この事を聞いている時、怯えたように真人くんがガタガタ、と震えていた。

その反応が、この出来事が事実なのだと実感させた。


いや、ひっどいな。

酷い、と言う言葉だけでは言い表せないほどの不快感と苛立ちの憎しみ。行き場のないそれを、拳を握ることで発散する。


しょうがない、と。

こう言う世界だから仕方がない、と自分を納得させるには、あまりにも、あまりにも…………っ!


これは、真人くんが引きこもってしまっても、仕方がない。


……雨が言うには、こんなのが日常茶飯事なのがこの世界らしい。



…………………………………巫山戯(ふざけ)るな、と思ってしまった。



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