27 涙
更新、遅くなってしまいました。
申し訳ございません。
『雨のクラスの男の子からの相談? いいぞ?』
『むしろ頼って。』
しろ兄ちゃん達ったら男前〜。
と、いうことで。
やってきました雨のクラスの男の子(一人しかいないらしい)のお家。
外見は普通の一軒家。
……と、思いきや、ところどころに監視カメラ&罠があるのがわかる。
てか、わかりやすすぎて心配。
バレてない? 大丈夫?
「んじゃ行くよ〜。」
遠慮なく雨はインターホンを鳴らす。
ここに来る道のりといい、慣れている感がめっちゃする。
……お兄ちゃんはちょっと複雑です。
———ピンポーン……
『はい、どちら様でしょうか?』
随分と若々しい声がする。
今回の相談者、畑山 真人君。
彼の家にいるのは、母親と二つ下の弟だけらしい。
雨曰く、兄弟揃ってワンコ系で可愛い感じの子だよ、とのことである。
そういうタイプの人と関わってこなかったからワクワクするな。
今までの人生、大概メンタル強くて熱血系で、可愛いのかの字もない人たちばっかと関わってきてたからなぁ。
……改めて考えると、俺って割と狭いコミュニティーで育ってきてるよなぁ……。
大体、地域の人たちが進学する小・中・高に上がっていったからなぁ。
狭い狭い。
「真人さんの高校の生徒会長の櫻岐雨です。」
『ああ、雨さん。
お待ちしていました。どうぞ。』
その言葉と共に門がぎぎぃ、と音を立てて開く。
「んじゃ、」
「「行くか。」」
兄ちゃん達の声がシンクロする。
さすがは双子。
シンクロした時って、なんでこんなに面白いんだろ?
俺は、笑いをどうにかして堪えながら歩いていった。
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「……………あの。」
「「「ん? どうかした?」」」
おずおずとそう言ったのは、真人くん。
雨が言っていた通り、純情ワンコ系な子だった。
全体的に色素が薄めで、白い肌に、ふわっふわのくせっ毛。そして、キャラメル色の髪の毛と同じ色の大きめな瞳。
これは、お姉様方に可愛がられるタイプの子だな、と思った。
俺? 無い無い。
にいちゃん達はすっごい人気だったけど、俺はなんか地味だからね。男女共に友達は多い方だったけど、ついぞ恋愛対象として見られたことはなかったなぁ。
「……いつもそんな感じなんですか?」
そんな感じ、とは?
真人くんの視線の先は………。
ああ、くろ兄ちゃん。
初っ端から下ネタかまそうとしたから全員で口を塞ぎ、暴れる手足を捕まえ……と、止めたところだ。
いや……初っ端から下ネタって…。
馬鹿なの?
はぁ、とため息を吐く。
「うん。こんな感じ〜。
こんなんでも、一応長男だよ?」
と、くろ兄ちゃんを指差す雨。
そんな雨の言葉に、ええ、と驚きを露わにする真人くん。
うん、そうだよね。とても長男には見えないよね。
「………そうなんだ、いつも………。」
ん? なんか他のところで放心してないか、これ?
「えぇ!? ちょ、どうしたの?」
ぶわりと、おっきな瞳が潤んだ真人くんに、雨が慌てた様子で声をかける。
「ぅう……ぅあああ……!」
ぼろぼろと、堰を切ったように泣き出した真人くん。
ぇえ?? 大丈夫!?
「真人くん!?」
「おい、大丈夫か?」
いつのまにか拘束からぬけだしたくろ兄ちゃんと、雨が声をかける。
「ぅあ、ぁああ…っひく…ぅ……だ……っひ…っうぅああ……!!」
何かを話そうとするも、言葉にならないのか、またすぐしゃくり上げてしまう。
そんな真人くんの背中を優しくさするしろ兄ちゃん。
そのせいか、真人くんの涙は、しばらく止まらなかった。
٩( 'ω' )و < 頑張れ真人君!!
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