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男女比率1対100の世界で男の俺がVはじめました。(ただしVのときの性別は女である。)  作者: おまめあずき×梅崎さくら
第三章 波乱…………
27/83

27 涙

更新、遅くなってしまいました。

申し訳ございません。


『雨のクラスの男の子からの相談? いいぞ?』

『むしろ頼って。』

しろ兄ちゃん達ったら男前〜。


と、いうことで。

やってきました雨のクラスの男の子(一人しかいないらしい)のお家。


外見は普通の一軒家。

……と、思いきや、ところどころに監視カメラ&罠があるのがわかる。

てか、わかりやすすぎて心配。

バレてない? 大丈夫?


「んじゃ行くよ〜。」

遠慮なく雨はインターホンを鳴らす。

ここに来る道のりといい、慣れている感がめっちゃする。

……お兄ちゃんはちょっと複雑です。


———ピンポーン……


『はい、どちら様でしょうか?』

随分と若々しい声がする。


今回の相談者、畑山(はたけやま) 真人(まひと)君。

彼の家にいるのは、母親と二つ下の弟だけらしい。

(いわ)く、兄弟揃ってワンコ系で可愛い感じの子だよ、とのことである。


そういうタイプの人と関わってこなかったからワクワクするな。

今までの人生、大概メンタル強くて熱血系で、可愛いのかの字もない人たちばっかと関わってきてたからなぁ。


……改めて考えると、俺って割と狭いコミュニティーで育ってきてるよなぁ……。

大体、地域の人たちが進学する小・中・高に上がっていったからなぁ。

狭い狭い。


「真人さんの高校の生徒会長の櫻岐(さくらぎ)雨です。」

『ああ、雨さん。

お待ちしていました。どうぞ。』

その言葉と共に門がぎぎぃ、と音を立てて開く。


「んじゃ、」

「「行くか。」」

兄ちゃん達の声がシンクロする。

さすがは双子。

シンクロした時って、なんでこんなに面白いんだろ?

俺は、笑いをどうにかして堪えながら歩いていった。


   ###


「……………あの。」

「「「ん? どうかした?」」」

おずおずとそう言ったのは、真人くん。

雨が言っていた通り、純情ワンコ系な子だった。


全体的に色素が薄めで、白い肌に、ふわっふわのくせっ毛。そして、キャラメル色の髪の毛と同じ色の大きめな瞳。

これは、お姉様方に可愛がられるタイプの子だな、と思った。


俺? 無い無い。

にいちゃん達はすっごい人気だったけど、俺はなんか地味だからね。男女共に友達は多い方だったけど、ついぞ恋愛対象として見られたことはなかったなぁ。


「……いつもそんな感じなんですか?」

そんな感じ、とは?

真人くんの視線の先は………。

ああ、くろ兄ちゃん。

初っ端から下ネタかまそうとしたから全員で口を塞ぎ、暴れる手足を捕まえ……と、止めたところだ。


いや……初っ端から下ネタって…。

馬鹿なの?

はぁ、とため息を吐く。


「うん。こんな感じ〜。

こんなんでも、一応長男だよ?」

と、くろ兄ちゃんを指差す雨。

そんな雨の言葉に、ええ、と驚きを露わにする真人くん。

うん、そうだよね。とても長男には見えないよね。


「………そうなんだ、いつも………。」

ん? なんか他のところで放心してないか、これ?

「えぇ!? ちょ、どうしたの?」

ぶわりと、おっきな瞳が潤んだ真人くんに、雨が慌てた様子で声をかける。


「ぅう……ぅあああ……!」

ぼろぼろと、堰を切ったように泣き出した真人くん。

ぇえ?? 大丈夫!?

「真人くん!?」

「おい、大丈夫か?」

いつのまにか拘束からぬけだしたくろ兄ちゃんと、雨が声をかける。


「ぅあ、ぁああ…っひく…ぅ……だ……っひ…っうぅああ……!!」

何かを話そうとするも、言葉にならないのか、またすぐしゃくり上げてしまう。

そんな真人くんの背中を優しくさするしろ兄ちゃん。

そのせいか、真人くんの涙は、しばらく止まらなかった。





٩( 'ω' )و  < 頑張れ真人君!!


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