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特技媚びる!の 底辺無能おっさんは1000年後の未来で自分の元奴隷に会うが……えっ?どういう事??  作者: バナナ男さん


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17 サンのギフトは?

「おいおい、俺の唯一の【ギフトスキル】知ってんだろう?だから今回も大丈夫大丈夫。」


【ギフトスキル】とは、元々自分が持っている才能、【神様のギフト】に備わっている特殊な力の事。


例えば【神様のギフト】の中で、剣の扱いに長ける<剣士>には、剣の威力を上げる《強剣》や、剣の範囲攻撃ができる《薙ぎ払い》などなど、その才能に相応しい必殺技があるのだが、それこそが【ギフトスキル】

それこそがこの世界の『力』を決定する、とても大事なモノなのだ。


しかし、実は【ギフトスキル】にはまだまだ分かっていない事が沢山あって、まず同じ 【神様のギフト】でも身につくスキルは全て同じではない。

これにはそれを取得するのに何か条件の様なモノがあるのでは?と言われているが、詳細は不明。

そのため、まずは持っている【神様のギフト】、次いで現在持っている【ギフトスキル】の数と質。

それで身分が低い者たちの価値が決まるというわけだ。


フッ……と俺が余裕の笑みを浮かべると、ラルフは「そうだったな。」と言って、頭をポリポリと掻いた。


俺の唯一といっていい役に立つ【ギフトスキル】

それが────【危険察知(微)】である!



【危険察知(微)】

自分の生命の危機をギリギリのタイミングで察知し、それを回避する事ができる行動を瞬時に頭の中で思いつく事ができる頭脳系スキル



随分情けない感じのスキルではあるが、俺がここまで生き延びる事ができたのはこのスキルのお陰。

ただし、あくまで(微)のせいなのか、発動するのが助かるギリギリのタイミング。

命からがら死ぬ気で逃げて、やっと助かったよ!という……正直もうちょっとどうにかならない?と文句を言いたくなる程度の能力である。


そっけなく手を振ったラルフに手を振り返し、さぁ、帰るか!とサンの方を向くと……何故かサンはムスッ!としている。


「どうした?疲れたのか?」


それとも身体が痛むのだろうか……。


心配になって聞いたのだが、サンは俺の首周りを丁寧に手で払い、ギルドの受付の方をジトッ……と睨みながら「別に……。」と言って頬を膨らました。


「????」


どうやら痛いわけではないみたいなので『お腹が減ったのかも』と考え、気にするのを止めると、サンはオズオズと俺の横にくっつく。


「……申し訳ありません……あのギルド職員とくっついているのが不快でした。」


「……あ〜……なるほど。」


確かに、みすぼらしい三十路おっさんの俺と、剥げたアラフォーくらいのおっさんが顔を近づけ合ってくっつく絵は、地獄絵と言っても過言ではない。

サンはそんな地獄絵を特等席で見て不快であったと……そう言っている!


「すまんすまん。二度としないから大丈夫だ。」


遠い目でそう誓うと、サンはパァ!と嬉しそうな雰囲気を滲ませ、安心した様だ。

その後は直ぐにいつもの薬屋に寄って、サンを外に待機させ薬をこっそりと買うと、ヒュード達のご飯の用意をするために、俺達は急いでハウスへと帰宅した。


◇◇◇

「おせぇんだよっ!!!早く酒!!飯!!」


お風呂を終えて、既に綺麗なオネェさんを呼んでいたヒュードは、いつも通り!

直ぐにイライラしながら怒鳴りだしたので、既に下ごしらえを終えている即座に出すだけのツマミをサンと共にテーブルに並べていく。

ここに入る前に外の井戸で水浴びをしたため、ちょっと寒かったが、忙しなく動き回っている内に暖かくなってきた。


「サンは肉料理を頼む。俺は野菜を洗って出すから。」


「うん、任せて。」


俺達は素晴らしいチームワークで仕事を終わらせていき、お祭り騒ぎするヒュード達を他所に、キッチンで一休み。

暖かいお茶を二つ入れて、一つをサンに渡してやった。


「よし、今のうちに明日の仕込みだ。その後はヒュード達が食い終わった皿を順番に下げてくぞ。その際は────……。」


「音を立てずに気配を殺す……でしょう?大丈夫です。」


サンはそう言い終わると、パッ!とじゃがいもが入っている樽を上に投げ、そのまま落ちてくるじゃがいも達に向かい、包丁を振る。

するとじゃがいもの皮は一瞬で剥けてしまい、それをサンは先に落下した樽を掴んで空中で全てキャッチ!

皮むきじゃがいもで一杯になった樽を静かに床に置いた。


「おぉ〜!!相変わらずお見事!!」


その鮮やかな動きに俺が拍手をすると、サンは照れた様に顔を赤くした後、パッパッパッ!と神の領域と言っても過言でない程のスピードと精度で他の野菜や肉、魚を捌いていく。


俺が夜中までかかるくらいの作業もサンにやらせれば5分も掛からない。

随分と楽になってしまった生活に多少戸惑いもあったが、今はこれ幸いとサンにやらせて、俺は高みの見物をする生活だ。


「本当に何の神様ギフトなんだろうな?

料理人……いや、洗濯人、お掃除人、解体名人……いや、頭脳系の可能性も……?」


ブツブツとつぶやきながら、サンの可能性について考える。


サンは最初から随分器用だとは思っていたのだが、それがどんどんと神がかりになっていき、更にそれが何かに特化しているというわけではなく、全てのモノに適応していることに気がついた。


料理、洗濯、掃除などの雑用は勿論の事、先ほど担当してもらった赤身肉の解体も、本来は非常に難しく時間が掛かる作業だ。

それをサンは、俺の十分の……いや、千分の一くらいのスピードで一瞬で終わらせてしまう程の実力があった。


解体に至っては、以前それに特化したギフト持ちのヤツを見た事があるが、サンの方がその上位互換であると断言できる。

それに……。


俺はこの間、素材を売るために寄った冒険者ギルドでたまたま当たってしまった嫌〜なヤツとの事を思い出し、顔を大きく顰めた。


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