第六話 ギルドへ
「それで、あれは誰がしたのかしら?」
僕とベルと何故か牛男もサリーの前に正座させられている。サリーはとてつもなく怒っている。顔が真っ赤だ!
あの後、アンブロシアを全部とってトイレに流し、アンブロシアのついたシーツとかは洗って干して、ベルと僕の服も洗濯している。その途中での正座命令で、ベルは服を着てるけど、僕は下着姿だ。いつも露出度が何故か高い僕だった。
「あのう……」
ベルがおずおずと口を開く。
「ごめんなさい……ベルが吸って、ベルが出しました……」
サリーの顔が今度はみるみる青くなる。
主語をつけろ! 主語を! それでは、う○こみたいなものを、どうにかして、僕からベルが吸い出したみたいではないか!
「あなたたち、そういう趣味のそういう関係だったの……」
サリーが目を伏せてたどたどしく呟く。
「違う違う、話をきいてくれ!」
「そうよ! あれは食べ物なのよ!」
僕にベルがかぶせる。
「あれが……食べ物……」
サリーがさらにショックを受けている。ノー! 僕の品性が疑われる!
そのあと、しっかり説明して、なんとか誤解は解けた。
「捨ててきなさい!! そんな汚いものをまき散らす生き物! うちでは飼えません!!」
それでもサリーの怒りは解けなかった。
まあ、当然だと思うが……
アナ、モモさんのとこで引き取ってくれないか打診するが、一緒に来たサリーの説明で誰もしりごんで首を縦には振らない。
「しょうが無いわねー。ベル。今度うちのなかで無許可で魔法を使ったら出ていってもらうからねー」
なんとかサリーが折れてくれた。
ところで、なんで、ベルのために僕は尽力したのだろう。とっとと追い出せばよかった……
掃除をしたあと、僕たちはギルトに向かった。
「ごー! ごー! レッツゴー!!」
僕はノリノリで掛け声をかける。今日は今からギルドで依頼を受ける予定だ。正直、最近はしょうもない事ばかりしてきた気がする。
今日の僕の装備はワンピース! 普段着だ! だってお金使いすぎたんだもん!!
ギルドで、牛男とベルも登録することににする。
まず僕がギルドに入る。冒険者たちの視線が刺さる。やけに今日は人が多い、何でだろう。
「……カンチョー好きなおっぱい性女……」
誰かが呟く。ひどい言われようだ……
袋を被った牛男、ベル、アナ、サリー、モモさんの順番でギルドの建物に入って来た。ギルド内の冒険者たちは目を逸らしている。
スキンヘッドの男が、アナたちの所に来る。首には銀色の認識標がかかってる。
「勘弁してくだせぇー。獲物すこしは残してくだせぇー」
昨日やり過ぎたのだろう。近隣の討伐依頼を撲滅したのかこいつら……
「アナさん達、ほどほどにしてくださいね。皆さん困ってますわ」
僕は、イメージアップのためもっと女の子っぽく振る舞う事にする。
冒険者新規登録のブースに行く。そこではモミが不機嫌そうに座っていた。
「おはようございます! モミさん!」
僕は笑顔で話しかける。
「チッ!」
モミは舌打ちして、僕から目を逸らす。
「どうしたのですか? 不機嫌なようですけど?」
「オメーのせいで、減給されたんだよ。フツーに喋れ、フツーに! より腹が立つだろ!」
そう言うと紙を2枚差し出す。
「その、でかいでぶと、小さいでぶの登録に来たんだろ」
オイオイ、まじ、やからかよ!
まずは、牛男から。
「私の名は牛男、文字は勉強中だから、すまないがよろしくたのむ。先日はお世話になった。お加減はいかがかな?」
おお、プチディスられても牛男は紳士。
「あ、恰幅が良くなられたけど、昨日酔った私の面倒を見ていただいた方ですね、承知いたしました。書類は私が記入いたしますので、質問にお答え下さい」
モミは笑顔で書類を書いて、木の認証票と水晶球を持ってくる。
「おい、モミ、もっと強い水晶球ねーのか、それぶっ壊れるぞ」
おっと地に戻ってる、いかんいかん!
「分かったわよ!」
モミはでっかいスイカみたいなやつを持ってくる。
「行け牛男!」
「かしこまりました、ご主人様」
牛男が水晶球に触れるとまばゆいばかりの白い光に包まれる。あ、煙出てる。
「ステータスは……」
モミの、顔から血の気が引く。
「化け物! スピードなし以外はあり得ない数値、力は見たことも無い数値! クラスはグラディエーター!」
ここで、袋を取ってみる。
「ミノタウロス!!」
辺りは騒然とする。逃げ出す者もいる。
「大丈夫だ! 彼の安全性は私が保障する!」
アナの一声で、場は収まった。
つぎはベル。球が凄まじく緑に光り、煙を出す。
「うわ! 魔力とマナが異常値! クラスはアークメイジ!」
以外に頼りない奴等だな。水晶球ぶっ壊れんし。
「アナ戦神降臨99%で行け!」
「マリー。わかった!」
金色の光に包まれたアナのトライ。球は金色に光るが、まだ煙止まりだ。
「全ステータス異常値! クラスはデミゴッド!
マリー! 何なのこいつら、人外しか居ないじゃない!」
「何言ってる! まだまだだな」
僕はロザリオを外すと、球に触れる。
めくるめく白い閃光を放つと、粉々に砕け散った。
「よっしゃ! シャアー!」
僕はガッツポーズを決める。
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