第十五話 目玉焼き
まずは強火でフライパンを白煙が出るまで熱して、油を入れる。また白煙が出るまで熱して火を弱めフライパンの取っ手を持ち上げてベーコンを二枚入れる。こうすると手に油がかからない。ベーコンに焼き目がついたのを確認しベーコン裏返す。そして、火を強めフライパンの真ん中に余白を作り、玉子を割り入れる。これが片手で割るのがポイントだ! 出来る者感を演出できる。手で水を軽くひとすくい入れて、フライパンに蓋をして火を弱める。玉子を蒸し焼きにしてやるんだ。
「いーち! にーい! さーん!」
……
「ろくじゅう!」
蓋を開けると、丁度おっけ! 目玉焼き完成。タイマー欲しいな。食器に移し、黄身の所に軽く塩コショウをふる。目玉焼きは玉子のステーキだ! フライパンの温度、火加減。意外に難易度が高い。
「マリーやばいな! かわいすぎる!」
アナが後ろから抱きつく。調理中にしたらゲンコツだ! 僕は、飾り気のないワンピースの上から、ひよこちゃんのアップリケのついたピンクのエプロンをしている。モモさんのだ。
「マリーちゃん料理も出来るのねー、アナ、マリーちゃんはあたしのものよー!」
サリーも抱きついてくる。凶器が当たるので嬉しいけど止めてほしい……やばい、美少女サンドイッチアゲインだ。
「はいはい、邪魔だよ、冷めるから、めし食おうぜ」
2人を押しのけて料理を運ぶ。
ここは、モモさんの部屋。荷物は一室に押し込んだそうだ。そこは立ち入り禁止とのこと。後ろでは牛男とモモさんがテーブルで待ってる。モモさん、両手にナイフとフォークを持ってる。待ち遠しいのだろう。かわいい!
テーブルの上には、パンとサラダがもう用意してある。サラダは新鮮なので、塩とオリーブオイルとワインビネガーをかけてある。
ちなみに僕の収納の中には、様々な調味料が入ってる。いままでの人生で集めてきたものだ。それらは母さんから貰った経時劣化しない魔法の箱に入れている。包丁と砥石も収納に入れている。
そういえば、僕の収納を見てみんな驚いてた。まじまじ見せたのは初めてかも? 今後彼女たち以外の前では使わないよう釘を刺された。
「「いただきまーす!」」
みんなで手をあわせる。
「うおおおおおー! うまいぞー!!!」
アナが叫ぶ。口から光がでそうだ。
「なにこれ! おいしいわー!!!」
サリーは硬直してる。
「おいしい! いままで一番!!」
モモさんは粛々とたべる。
「……」
牛男は泣いている。
「私、生まれて始めてこんなに美味しいものを食べました……ご主人様ありがとうございます!」
牛男は涙を流しながら食べている。僕も嬉しいよ。ただの目玉焼きとパンとサラダでこんなに喜んで貰えて。
やばい! しあわせすぎる。料理っていいな、こんなに喜んでもらえるなんて、僕も涙が止まらなくなった。
3人娘が僕を見たあと顔を見合わせる。
「「「じゃんけん、ぽん!」」」
ぐー、ちょき、ちょきで勝ったのはアナだ。
アナは僕のとこに来て、僕を後ろからぎゅっとする。
「お前は泣き虫だな、牛男がわるいんだぞ!」
アナはやさしく、僕の頭をぽんぽんする。
「牛男。泣くな! これからずっと一生懸命うまいもん作ってやる。だから泣くな。僕も涙がとまなくなる!」
「ご主人様の命令でも無理です。私、しあわせ過ぎて、涙が止まりません!」
牛男は涙を流しながらゆっくり食べている。
僕も涙を流しながら目玉焼きを食べた。マリーは涙腺が緩すぎる。少ししょっぱいけど、最高においしかった。
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