転移部屋へ
ウシオにマップを握らせて扉をくぐる、通路を歩くをしばらく繰り返すと重厚な鉄の扉につく。見覚えがある。転移部屋への扉だ。頑強そうなのは有事の時のためだろう。ウシオは扉を引く。
中は石造りの広間で、奥の方の床には無数の魔方陣が床に書いてある。前来た時は聖都への魔法陣だけが光っていたのだが、今回は全ての魔法陣が光っている。こんだけ沢山あるって事は様々な場所に繋がっているのだろう。興味が湧く。前回同様一体のパペットマンが部屋の入り口に佇んでいる。
「よう、お前、この前の奴か?」
「はい、その通りです。マリー様もお元気そうで何よりです。特に胸」
胸が元気ってどういう事じゃいってツッコみたくなるけど抑える。そんな事よりも聖都に帰る事の方が優先だ。
「転移装置を使いたいんだが、確か普段はお金がいるんだよな。幾らだ?」
前回はサービスで無料だった。
「マリー様、その前にカードの中の円を貨幣に換えた方がいいんじゃないですか? 円は外では使えませんよ? ちなみに転移には一律一万円いただいてます」
そっか、一万円で聖都に戻れるのか。ちなみに前回死王を倒した後に使った時にはここの魔法陣は聖都から少し離れた所にある目立たない祠に繋がっていた。聖都まですぐだ。
「良かったーっ。これくらいの金額ならみんな無事に帰れるわね」
サリーが大きな胸をなで下ろしている。僕とサリーは目を合わせるとハイタッチする。やった、やっと帰れる。
「じゃ、換金して一旦聖都に帰るか」
僕たちは円を硬貨に両替する。またここでも1割取られて少しムカつく。けど、やっぱカードは便利だな。今は硬貨をポケットに突っ込んでるんだけど、正直ずっしりして邪魔だ。スカートがずり落ちそうだ。
「え、そうですか? 承知いたしました。はい、そう伝えます」
なんかパペットマンが耳に手を当てて一人で喋っている。
「どうしたのか?」
「あと少々お待ち下さい」
パペットマンは明後日の方を向いてヘコヘコしている。携帯で商談してる営業マンみたいだな。目の前に相手がいなくてもついつい頭を下げてしまうのは僕も一緒だ。
「あ、お待たせしました。すいませんマリー様。只今運営から連絡がありまして、他の転移装置は一律一万円で問題ないんですが、聖都への装置に限りまして、使用料金が一人頭百万円に変更になりました」
「なんじゃそりゃ?」
僕は語気を荒げる。
「ふざけないでよ。さっきまで一万円って言ってたじゃないの!」
サリーは劇オコだ。そりゃそうだ。約30人の転移する金額は、約3000万円だ。下手したら家が買えるくらいの値段だ。無理だ。ただの学生である僕たちには逆立ちしても捻り出せない金額だ。
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