トイレは僕たちの戦場
「え、あれって、ベル先生よね。可愛らしいゴスロリ服だけど。けど、なんでサリーさんに?」
エリーが呟く。そりゃそうだよな、いきなり黒ベルが魔法ぶっ放してきたら訳が分かんないよな。
「あれは、ベルの魔法で生み出された分身だ。分身だけど、本体並みに頭が悪く、しかも全くコントロールされてない。ようは凶暴な野良犬のようなものだ」
僕の説明に黒ベルが僕を睨む。いかん、悪意がまじったか?
「いやー、嘘嘘、ベルって本当に頭が良くて可愛いなー」
白々しいけど、オッケーだったみたいだ。黒ベルの視線がサリーに戻る。
「という訳で、あいつに悪意を持つと襲われる。ケリーみたいに裸にされるか、デブにされる。エリーあいつを刺激するなよ」
「訳が分からないけど、分かったわ」
僕の言葉にエリーは頷く。デブは可哀想だけど、エリーの裸はちょっと見てみたいと思った僕もいる。
「じゃ、あたしが何とかするわ。2人は下がってて」
サリーが僕たちを手で制しながら前に出る。なんか僕たちを守るムーブだけど、黒ベルはサリーにしか攻撃しないんじゃないの?
「はぁああああーっ!」
サリーが拳を腰だめに息を吐く。空手、空手なのか?
「シェイド、魔法の平行使用するわ、サポートよろしく。フルポテンシャル、アクセルマキシマム。それからのグラビティ・ゼロ!」
サリーはシェイドの力を借りて、シェイドはサリーの力を借りて、同時に2つの魔法を使う事が出来る。光って潜在能力を解放する魔法と最高の加速魔法の重ねがけだ。普通だったら、そんな無茶は体を破壊してしまうが、サリーは僕のオートヒールを習得済みだ。体が壊れたはなから回復出来る。そして、僕の十八番の重力コントロールだ。
正直、サリーには戦って勝てる気がしない。シェイドが触れた者の魔法やスキルをコピーして、2人とも使えるようになる。チートすぎる。けど、さっきさっくり死んだよね。
ピンクの残像をたなびかせながらサリーが動く。一瞬にしてその蹴りが黒ベルに刺さるが通り抜ける。そして、黒ベルはそのサリーの足を掴むとこっちにサリーを放り投げる。サリーはバク転でシュタッと華麗に着地する。なんだそれ、アクション漫画かよ。
「やっぱり、物理攻撃は無効ね。魔力を込めて蹴ったんだけど」
サリーはスッと僕とエリーの前に立つ。
ごぼぼぼぼぼぼっ!
トイレの個室から水を流す音がする。トイレの音を消すためにケリーが水を流してるんだと思うけど、緊張感皆無だな。
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下のマリーちゃんの表紙絵が私の作品の目印ですっ!(´▽`)ノ
ちなみにこのマリーちゃんはアルゴノートの迷宮脱出後です。
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