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 教室転移


「はい、では皆さん席に着いて下さい。ウシオ君は席が無いので、後ろに立ってて下さい。ウシオがウシロ。駄洒落じゃないですからねー」


 ベルが手をパンパンしながら下らない事言いつつ、教壇に台を出して立つ。まあ、一応今日はベルが先生で授業中だから従っとくか。僕は収納から予備のスカートを出そうとするが、当然使えなく、破れたスカートを拾って腰に巻く。まあ、腰の留め具が外れてるだけだから握っときゃなんとかなるか。それに誰か裁縫道具くらいは持ってるだろ。

 ウシオはベルをガン睨みしながら教室の後ろの壁にもたれかかる。やからみてー。事ある毎にここにウシオは中等部の校舎からやって来るからクラスメイトたちみんなは顔を知っている。


「では、皆さんに今の状況を説明します。さっき一発芸とか言って暴走したマリーが、魔法の収納の入り口を一瞬大きくして、この教室をその中に入れてしまいました。そして、魔力が弱い者はそれにあてられて気を失ったみたいですね」


「おいおい、なんだそれ。戻れるだろな」


 誰かの文句をベルは手で制する。


「多分、マリーのお母様が察知しているので戻る方法は有ると思います」


 教室の張り詰めた空気が少し弛緩する。


「けど、皆さん。クラス転移ですよ。クラス転移。ラノベの王道。中二の夢。学校占拠と双璧を成す学園ロマンですよ。この状況にならなかったら、ここを占拠して辺りの全てを敵にまわして戦って強くなって貰おうと考えてたんですけど、その手間が省けました」


 おいおい、本気かよ。けど、ベルは有言実行だ。危なかったあと少しで間違いなく犯罪者予備軍になる所だったのでは?


「これから皆さんは仲間たちと協力してこの窮地を脱出してもらい、さらにお互いを高め合いながらA組と戦って貰います」


 ん、ただ僕の収納に教室が入ってるだけなのに、何で窮地なんだ? 


「おい、ベル」


「ベル先生です」


「チッ、ベル先生。ここがどこか知ってるな」


「まあ、だいたい予想はついてます。マリーも薄々気付いてるでしょ」


 僕は目を瞑る。


『母さん! 母さん!』


 心の中で母さんに呼びかける。僕1人ではなく、クラスメイトも巻き込んでるから、不本意ながら母さんに助けを求めるか……


『はい、はーい。マリーちゃん。ダメー! 面白そうだからダメー! ガチャン。ツー、ツー……』


 母さんは一方的に言うと、最後に固定電話が切れる音が。

 なんか古いネタだな。寿司だったら腹壊すわ。ん、けど、電話のネタ? 間違いない。母さんは僕が元居た世界に確実に行っている。もしかして母さんも転生者なのか? 問い質したいとこだけど、今はその前に。


『母さん! 母さん! デブ! ババァ! ホルスタイン! うしちち!』


「やんのか! コラー! こんクソガキがっ!」


 僕の目の前に現れる半透明の巨乳ミセス。うん、母さんの幻体だ。


「マリーちゃんのお母様!」


 ベルは即座に頭を下げる。


「マリーちゃんのお母さん!」


 サリーは驚いてその牛乳瓶底眼鏡をずり下げて見る。母さんは口に手を当ててしまったって感じの顔をする。わざとらしい昭和なリアクションだな。韓流スターか? 無駄に整形みたいにスタイルいいし。


「あ、やっちゃった。ゴメンなさい。じゃさようなら」


 フッと消え去る母さん。チョロい。チョロ過ぎるな。母さんが即座に顕現出来たと言う事はもう答えは出たようなものだ。


『今回は母さんは、もう何も言わないし何もしません。マリーちゃんのバーカ!』


 子供か。言葉の空気が昭和だ。今度令和の洗練された煽りを見せてやるか。


 


 読んでいただきありがとうございます。


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