第四話 クラスの格差
お、追いついたっ!
「ちょっと待ったー! 何勝手に決めてんだよ。A組と総当たり戦なんて勝てる訳ないだろ。サリー以外全敗だよ。ぼくも含めて」
「おい、待てよ、マリー。俺もいるだろ」
アルスがなんか言ってる。
「アルス、確かにお前は強いけど、今回の戦いのルールでは局部を見せても負けっていうルールを採用してるかしら。お前は服を着たまま全力を出せるのかしら」
ベル先生は、ずれてない眼鏡をクイッとする。ベルは目が悪くない、いや無駄にいいはずだからアレは伊達だな。
「クッ。確かに俺の全力に耐えられる服は無い。あっ、俺にはサンドリバーアンブレイカブルレッドドラゴンパンツがある!」
「それは、ギル王子から貰ったものでしょ。お前は敵から貰った装備で戦う気かしら」
「クッ……」
アルスは言葉に詰まる。そんなパンツごときでグダグダ言うなよ。
「ちょっと待って。ベル、馬鹿なんじゃない。そんなルール加えたら、戦いじゃなくて脱がし合いになるじゃない」
サリーが立ち上がる。そうだな。全裸が負けならそうなりかねない。A組にはアナとかいるし。アナとか喜んで対戦相手を脱がしそうだ。
「しょうがないんじゃないかしら。脱いだら負け。それは人として当たり前かしら。それより、サリー、私は先生よ。ベル先生と呼びなさい。今度の戦いのルールはバーリートゥード。かみつき目潰し金的あり。けど全裸と相手を殺したら負け。それでA組相手に戦ってもらうわ。訓練は1週間。退学になりたくなかったら、死ぬ気でベルの修行に取り組むのかしら。勝負まで、ほかの授業は一切無いわ。アンタたちのようなクズ共はこうでもしない限り勉強しないでしょ」
どうやったら勉強するだけで強くなれるのかは分からんが。1つ疑問がある。なぜ、ベルはG組を戦わせるのだろうか? なんらかのメリットがあるのか? 報酬か?
「先生ーっ。質問があります。負けたら退学ですけど、勝ったらなんかあるんですか?」
真面目そうな眼鏡女子だ。まあ、そりゃそうだな。勝っても何もないんじゃやる気も起きないしな。
「そんなの聞くまでも無いかしら。勝ったらA組になれます。今のA組はB組になります」
「「「えええええーっ!」」」
これにはみんなどよめく。
A組に在籍したと言うだけで、卒業後の将来は安定する。大陸中どこに行っても引く手数多だ。役人になってもいいし、民間で働いてもいい。どこに行ったとしても幹部候補で高給取りが保証される。それだけ魔道学院のA組というのはステータスになる。
G組のまま卒業したとしても大した実績にはならず、その後もかなり努力しないといけないだろう。G組に集まっているのは、平民や家を継げないような貴族。魔法は使えるけどその才能が無い者ばかりだ。努力しても努力してもA組に上がれるのは夢のまた夢。逆にA組に在籍しているのは、アナたちのような化け物か、才能があってしかもそれを教育して貰えるような豊かな家の者。貴族や豪商などの一握りの子弟のみだ。
今までのその絶対に埋まる事が無い格差をひっくり返す事が出来るかもしれない。魔道学院に居る者で僕たち以外A組に上がる事を望まない者は居ない。まあ、もっとも僕はなんとなく流れで学院にいるだけだからな。
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