第二十七話 母さんとの再会
「まだ、まだよ! つぎは本気でいかせてもらう!」
恥ずかしい技から解放されたリナは立ち上がり、サリーを睨みつける。
「やめとけリナ! さっきの技は実力差がないとささらない。お前次も同じ結果になるぞ!」
「そうよ、まだあたしは本気じゃないわ。たしとシェイドは2人で1人。さらにシェイドも加われば、秒殺よ秒殺! それに、能力はいただいたわ。シェイド!」
肌の黒いリナがやってくる。シェイドだ。シェイドは瞬間にリナの背後にまわる。リナの高速移動をラーニングしたのか? チートすぎるだろ。
「お前、実戦なら死んでるぞ、もっと修行しないとシェイドには勝てんぞ」
シェイドはリナの頭をぽんぽんする。
「けど、子供達じゃなくて、あなたが先に攻撃してきたら危なかったかもね。ディスペル!」
子供達に解呪の光が降り注ぐ。子供達は起き上がる。
「マリー母様! 会いたかった!」
「マリー母様!」
子供達は僕に抱きついてくる。いかん、涙腺が緩む。1人1人頭を撫で撫でしてやる。その後子供達は僕の仲間の縄をほどく。
「なんだ? 全くなにが起こったのかわからなかったぞ!」
王子は立ち上がると、子供達を見渡す。
「超加速と、超自己回復、重力操作! マリーちゃんと同じのスキルコンボを子供達全員が使ってたわ……」
民明書房刊のサリーだ。けど、子供達どこでどうやってそのスキルを?
「マリー姉様、まずはお母様の所にいきましょう!」
リナに促されて、孤児院の中に入る。中は明るく綺麗に掃除されており、一番奥のかつてリナと話をした部屋に母さんはいた。ロッキングチェアに座っていて、目を瞑って動かない。ん、なんか頭にひっかかる。
「母さん!」
『マリーちゃん、久しぶりね! 残念な事に母さん動けないのよ、今、迷宮都市の隅々を探知してて、入ってきたアンデッドをみんなに指示して駆除してる所なのよ』
心に直接母さんの言葉が響く。念話だ。
『今、迷宮都市は外との扉を封鎖してるのだけど、何処かに死王の使い魔か部下が入り込んでて、至る所に骸骨城とのゲートを繋ぐのよ。
面倒くさい事に、繋がったゲートからはアンデッドがわらわら出てきて、迷宮騎士団、精霊騎士団、黒竜軍、迷宮都市の冒険者、あとうちの子たちが退治してくれてるわ。
けど、厄介な事に地下3階火山エリアに強力なドラゴンゾンビが送り込まれてて、マリーちゃんの仲間たちに討伐をお願いしてるところよ』
「なんで、子供達に僕達を襲わせたんだ?」
『マリーちゃんたちは、死王と戦うつもりだとおもうけど、うちの子たちに手も足もでないなら行っても死ぬだけよ! ここでアンデッドと戦うくらいなら問題無いけれど、プラチナアンデッドナイトは超加速並のスピードをもってるわ!』
「牛男は? 牛男とタコはどこにいるんだ?」
『だからぁ、ドラゴンゾンビと戦ってるわ』
「お母様、どうして、ここの子供達はこんなに強いのか?」
アナが疑問を口にする。僕も同意だ。多分、ちっちゃな子でさえ今の僕より遙かに強い。
『修行したのよ、迷宮都市の修行の間で』
「私もそこで修行させてくれ!」
アナが声を張る。
子供にいなされたのが悔しかったのだろうな。
「じゃあ、これからの予定として、修行の間に行く者と、ドラゴンゾンビを倒しに行く者で別れよう。そして合流して骸骨城に乗り込む!」
僕はみんなを見渡しながら言う。
『マリーちゃん! 修行の間はお金高いわよ! 一回で大金貨10枚かかるわよ!』
「えー、またお金か……精霊女王は守銭奴だな!」
『しょうがないと思うわ、精霊女王はここを治めていて、なにかと政治にはお金がかかるものよ』
なんで母さんが言い訳するんだ?
ここで、一旦別れる前にみんなで食事をする事にした。大人数なので今日はカレーにしよう!
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