第六話 対空攻撃
「全軍突撃ーっ!」
団長の声が辺りに轟く。
「「オオオーーッ!」」
それに負けじと鬨の声があがる。
使い込まれて鈍く光る鉄の大盾に磨かれてギラギラ光る大きなランス、体の露出するところなく銀色の厚い板金を組み合わせた鎧を纏った重騎士たちが走り出す。全力疾走だ、多分普通の成人男子より速い!
化け物か、こいつら。何キロある鎧を纏ってこんな速さで走っているのだろうか?
滑空するドラゴンを遠目に全員馬車から降りて、団長を先頭に10人10列の陣形を組むと、『ドレス』のかけ声と共に、重騎士団が現れた。
ドラゴンに向かって全員ただ走る。
僕も負けじとついていく。やぺー、置いてかれそうだ。
どんどんドラゴンに近づいていく。僕達の前方では青い重騎士が、ドラゴンに何か叫んでいる。多分、王子だろう。それにしても思ってたよりでけぇなドラゴン!
「ところで、あいつにどうやって攻撃するの?」
団長の隣で、ふと疑問を口にする。
「地上に降りて来るのを待つ!」
「いつ降りてくるの?」
「わからん! いつか疲れたら水でも飲みに降りてくるだろう!」
うわ……
こいつら馬鹿だ……
空に対しての攻撃手段無いんじゃないのか?
「団長、あの飛んでるドラゴンの高さから落ちても大丈夫?」
「多分平気だが、やってみんとわからん!」
そうだな、多分、団長は超人化してるから墜落くらいは屁のかっぱだろう。
「じゃ、3.2.1で跳べ!」
「ああ、わかった?」
団長は小首を傾げる。
「3.2.1! グラビティ・ゼロ!」
団長の背中に触れてその体を重力を解放する。
「オワオワオオオーーッ!」
奇妙なかけ声と共に団長は、大空に飛び出した。成功だ。
遙かにドラゴンの上を飛び越え、ゆるやかな放物線を描き巨大な岩に激突しそれを砕いた。ん、大丈夫なのか?
お、すぐに立ち上がりこちらに走ってくる。思った通りだけど、頑強すぎるだろう。
「全員俺に続けーっ! マリー殿の前に順番で行け!」
団長が叫ぶ。まるででっかい甲虫のような団員たちが走りながら僕の前に並んでくる。
「僕がタッチしたら飛べ!」
「「了解!」」
走りながら重騎士たちをどんどん放つ。
なんかでっかいコメツキムシが飛んでるみたいだ。コメツキムシってひっくり返して置いたら『キッチン』と言って頭で床を叩いて飛ぶ虫だ。
それにしても誰1人毛ほども怯む事無く飛んでいく……
軍隊こえぇ!
ドラゴンがこちらに注意を向けるがもう遅い!
ほとんどは外れるが、数人の重騎士はドラゴンに命中する。
重騎士ミサイルのちょうどいい間合いで、走るのをやめ、どんどん放ってやる。
「俺も飛ばせ!」
僕に向かって青い鎧の王子も駆けてきた。
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