第十一話 身繕い
「それで、ハゲ! 何しに来たんだ?」
僕はアンブロシアを投げるのを止める。もう飽きた。
「おいっ、もうしばらくで始まるから準備させに来たんだよ」
僕はハゲに連れられて、まずは、お風呂に連れて行かれる。牛男とベルには、見張りをしてもらっている。メイドさん二人に服を脱がされる。ロザリオは危険だから取らないように言う。
「ご立派ですね! しっかり稼げますね!」
褒められるが、あいにく稼ぐ気はない!男の時にいってほしいセリフだ。
髪と体をしっかり隅々まで洗われる。王様気分だ。人に体を洗われるのに、おかしな事に慣れてきてる自分がいる。浴槽につかり、上がって、体を拭いて貰い、新しい下着と服を着させられる。下着は、白で清楚なレース付き、服は白いドレスだ。少し地味なウェディングドレスみたいだな。
大きな鏡があるメイクルームで、ドライヤーみたいな魔道具で髪を乾かされ、メイクされる。もともと綺麗だった顔がメリハリが更に出て、正直やばい! 鏡の中には、まさに傾国傾城! 沈魚落雁羞花閉月! 言葉で言いあらわせない位の美少女がいる。
「………」
僕は我ながら、しばらく息をのみ、みとれてしまう。
「おきれいですわ! 今まで見た中で1番!」
「ありがとう、お姉さんの腕がいいんだよ! 住所教えて! それと、あいつもよろしく」
メイキャッパーのお姉さんの住所を紙に書いて貰い、ベルもメイクして貰う。小金貨1枚渡す。
「おい、時間だぞ!」
ハゲが呼びに来て、僕たちは細い薄暗い通路を通る。
「付き添いはここで見てな」
通路の先から光が漏れてて、僕だけ部屋に入る。そこは鉄格子に囲まれたステージで、中央に丸いベッドがある。後ろで、ハゲが鉄格子を閉めて鍵をかける。ステージに上がった僕にスポットライトが当たり照らされる。
「………」
辺りが静寂に包まれる。
皆息をのむ。客席には百人位いるのではないだろうか、皆、目を隠したマスクをしている。
「オオーッ!」
「可愛いーっ!」
「最高だー!」
客席から、感嘆の声が漏れる。
ベッドには、デブが座っている。スーツだ。
「レディースアンドジェントルメン! 今日の獲物は、今までで最高だー! 今日この場に居合わせた者はなんてラッキーなんでしょう!」
ステージの前でアナウンサーが興奮している。
「まちくたびれたぞ! さあ、ショーの始まりだ!」
デブはネクタイを投げ捨てると、僕ににじり寄って来る!
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