第十話 お尻
「2番、私?」
モモさんがきょとんとしてる。何を言われたのか解らないって顔だ。
「1番、僕?」
僕は僕のくじを見直す。1番だ! 心の中でついガッツポーズしてしまう。
と言うことは、僕がモモさんのお尻に直にキスをする!
「マリー、モモ! くじを見せろ!」
アナがその端正な顔で微笑みながら言う。僕たちは言われるままにくじを差しだし、アナとベルが目視確認する。
「ほう、そうか。マリー早くモモのお尻をなめ回せ!」
アナが天使の微笑みで悪魔のような事を言う。なんか罰ゲームがバージョンアップしてるし。まじで心の底から嬉しそうだ。
「えっ!」
モモさんが僕の方を向く。みるみる真っ赤になっていく。
「おい、アナ! キスするだけだろ!」
僕は一応突っ込む。僕も顔が上気してくる。キスでもヤバい。
僕とモモさんは見つめ合う。大きな目、彫りが浅めな端正な顔。シルクのような艶やかで黒色の髪。化粧してないのに、まるで妖精みたいだ。やばい、綺麗過ぎる。
この美少女に……
「早くするのかしら!」
ベルが急かす。あ、また芋食ってやがる。
「え、はずかしい……」
モモさんは、真っ赤になって。小刻みに震えている。やっべ、クソ可愛い。
「承知しました。私は後ろ向いてます」
牛男は後ろを向く。
僕の頭の中はパニックだ、何だ何が起こってるのか?
「おい、モモ、早くお尻を出すんだ。早くしないと、私が出すぞ!」
アナが僕の前に来る。
「おいっ、アナ、ベル、エルフってそんなに脱ぐのが好きなのか?」
僕はここしばらくで感じていた素朴な疑問を口にする。もしかしてエルフって裸族なのか?
ベルがノータイムで答えてくれる。
「エルフって下着つけない人多いかしら。ブラ不要な人多いし、ショーツも穿かない人も多いわ、森のなかで何処でも好きな時に素早く用を足せるから」
「何処でも好きな時にって、犬じゃあるまいし、文化的な生活をして下さい。見目麗しい人多いのですから」
モモさんがまくし立てる。珍しく長文だ。
「私は、基本的にトイレでしか用はたさんぞ!」
アナがのたまう。当たり前だ。
「基本的じゃなくて、エブリタイムでトイレでお願いします」
ついつい、突っ込む。もう嫌だ。この不毛な会話。
「僕が振ったのが悪いが、トイレ系の話終了」
「そうだな、さっさと続けよう選手交代だ。マリー、とっとと私のお尻にキスするのだ」
アナが、やさしくゆっくりと僕に言う。意識してるのか、多分無意識だけど上手い挑発だ。上手い駆け引きだ。
押してお尻だせお尻だせって言ってもモモさんは渋るだろうけど、引いてお前はだめだな代わりにやってやるよ的な空気をプライドの高いモモさんにぶつけると……
「私がやるわ! 女の子同士だしっ!」
モモさんは立ち上がると僕の横に立ち後ろを向く。和服の裾をたくし上げる。白いショーツにくるまれたお尻が現れる。僕の心臓の鼓動が痛いくらいに早くなる。
モモさんは左手でショーツをお尻に食い込ませる。白く滑らかでしみ一つない綺麗すぎるお尻が露わになる。僕の目は、釘付けだ。
「……はやくしてよ……はずかしぃ……」
モモさんが消え入るような声で呟く。
僕は立ち上がりしゃがむ。今、僕の前には美少女のお尻がある。アナありがとう僕はこの光景を二度と忘れない。
やばい、綺麗すぎる。頭に血が上ったのか、僕はいつも通り失神寸前だ。
意識を振り絞り、僕はモモさんのお尻に顔を近づける。
「アナ! ギルティ!!」
機械的な声が響きわたる。
「アイアイアイアイアーッ!!」
アナの叫びが辺りを包みこむ。
見ると、立ち上がったウサギのぬいぐるみが目から光線を出して、アナがそれを浴びてのたうちまわってる。
あぶねー、あと少しで僕も同じ目に……
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