第87話 ゾフィの告白②
⭐︎ ゾフィ視点
いくらメルダリス様が大丈夫と言ってくださったところで、やはり私から男の人に告白するなんてハードルが高すぎた。ホルストとテーブル席に着いて更に気持ちがいっぱいいっぱい。
そんな時、ホルストと乾杯して口にした白ワイン。思わず一気飲みしてしまった。すると、酒精が頭に回ったのかフワッと気持ちが軽くなり、続けて手酌でもう一杯。
「ちょっ、どうしたんだ、ゾフィ?」
ホルストの私を心配する声が聞こえたので、彼の顔をガン見。その艶のある黒髪、目付きは鋭いけど白く凛々しく綺麗な顔付き。黒曜石のように黒い両の瞳。
(ふわぁ、ホルスト、やっぱりカッコいい)
でもこの人、あんな美人な女神の眷属を惚れさせて嫁にして。アイーシャもメリッサもぞっこんにさせて。そりゃあホルストはカッコいいから女の子にモテるのはわかるけど、なんかムカムカしてきた。それに私の事好きなくせに自分からは何もモーションかけてこない。
(メルダリス様には随分迫ったって言うじゃない!)
そう思うと腹が立って、その思いが口を突いた。
「これが飲まずにいられますかっての!」
そうなるともう止まらない。
「だいたいホルストは狡いのよ!私はね、もう本当にホルストの事が大好き!大好きなんだからね?生まれて108年、初めて心から好きになったのがあなたなの。2人で旅してあれだけ一緒にいたんだから、私の気持ちだってわかってるはずよねぇ?ずるい、ずるい、ずるぅい!」
「ちょっと、ゾフィ、落ち着けって」
店内に他のお客さんがいるせいか、ホルストが慌てて私を止めにかかった。それがまた腹立たしい。
私はホルストのグラスに手を伸ばし、その残っていたワインをぐっと仰ぐ。
「ぶっふう」
「いや、ぷっふうじゃなくって」
「うるさい!黙って聞きなさい!」
「…はい」
私は勢いでホルストを黙らせると、更に言いたい事を言い放つ。
「ねぇ、ホルストは私の事どう思ってるの?好きなの?大好きなの?どっちよ?」
「その択一って「どっち?」」
私はテーブルにずいっと乗り出して選択を迫る。
するとホルストはそれまでの困惑気味だった表情からキリッとした引き締めて私を見つめて口を開いた。
「どっちでもない。俺はゾフィが大大大好きだ」
「!!」
ホ、ホルスト、私の事が大大大好きだって。やった!やったー!
「じゃ、じゃあ私をホルストのこ「ダメだ」」
「え⁉︎」
ダメって、ホルスト、さっき私の事が大大大好きって言ったのに…
「ゾフィはそれ以上言っちゃダメだ。その先は俺から言わせて欲しい」
ハラハラする、ドキドキする。ホルスト、何を言うつもりなのだろう…
ごくり、
ホルストの黒い瞳が真っ直ぐに私の目を見据える。
「俺はゾフィの事が大大大好きだ。俺の恋人になってくれ」
来た!私がホルストから一番言って欲しかった言葉、遂に来たよ。
「はい。私をホルストの恋人にして下さい」
パチパチパチパチ
ヒュー!
やったな!
おめでとう!
すると突然お客さんといわず、店員さんといわず店内にいる人達から拍手と祝福の言葉が投げかけられた。
こちらはいっぱいいっぱいだったから周りが見えていなかったのだけど、知らず知らず私達は店内の注目を集めていた模様。
私は何事かと驚き、思わず周りを見回してしまった。でもホルストと目が合い優しい笑顔で頷かれると、私達が周りから祝福されているとわかった。
「ありがとう!ありがとう、みんな」
白ワインの酔いとホルストの恋人になれた嬉しさですっかり気分が高揚した私は、祝福してくれている店内のみんなに大きく手を振って応えた。
〜・〜・〜
⭐︎ ホルスト視点
「う〜ん、ホルストだいしゅき、むにゃむにゃ」
俺はすっかり酩酊したゾフィを背負ってレストランから宿へ夜道を歩いている。
あの後、ゾフィと俺はレストランの客達から酒を奢られ、ご機嫌なゾフィは注がれるまま飲んでしまい、結果、酔い潰れて現在に至る。
え?お前は大丈夫かって?まぁ、俺には10番目の昭和ライダーが持つ自動修復機能があるからアルコールも直ぐに分解されて、幾ら酒を飲もうがいいとこほろ酔いくらいにしかならない訳よ。
こうしてゾフィは俺の恋人となった訳だけど、その恋人さまは俺の背中で夢の中だから、恋人らしい事はまだまだお預けだな。
しかし、女神の眷属が新妻で、エルフの伯爵家令嬢が恋人って、正義のヒーローがそれでいいのかって気がしないでもない。何と言うか、この世界ではもっとハードでストイックな、たった一人で戦い続ける孤独なヒーロー人生を想定していたのだけど。でも、まぁ、これはこれでいいな、と思っている俺がいたりする。
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それでは次話もお楽しみに!




