表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/144

第79話 エミリーの学院生活①

始まった王都での私の学院生活。特に問題は起こらずに1か月が過ぎた。


マリーは剣術の稽古があって忙しく、私達が会って話が出来るのはクラスが違うので朝夕の食事や就寝前の1時間くらい。同室になったソフィア王女は王族にしては謙虚で優しく、思いやりのある方で、私が想像していた高慢で傲慢で差別意識ありありな上級貴族の令嬢感は全く無かった。


すぐに打ち解けた私達は互いの身の上を話し合った。なんでも、ソフィア王女の母親は現国王陛下の側室としては身分の低い方だそう。そのためソフィア王女は生まれてからずっと王族として認知されず、母方の実家で育ったという。


その後、ソフィア王女の扱いは一変する。13歳の元服の儀で王女が「能力」を授かったから。その「能力」はなんと「魔女」。


能力が授かると、一転してソフィア王女は王族として認知されたそう。道理で彼女は良い意味で王族らしくないと私は思ったものだった。


私の身の上話では必然的にホルストお兄さまの事を沢山話してしまった。するとソフィア王女は「そんなに格好良くてお強い方なら一度お会いしてみたいな」なんて言い出したものだから、私は自らの失敗を悟ったのだった。


入学して3ヶ月もすると、私とソフィアの仲は互いにソフィ、エミィと愛称で呼び合うくらい親密となった。


私達のクラスには上級貴族の子弟はいなくて、一番高い爵位で伯爵家の三男がいる程度。10ある1年生クラスの中でははっきり言ってみそっかすみたいなクラスと言えた。でも、クラス内で派閥争いや身分差別、いじめなどは無く、クラス委員長(伯爵家の三男・結構優秀)とソフィを中心にして上手く纏って、私などの下級貴族や平民の子弟にとって実に居心地の良いクラスになっている。


でも、と私は思う。そもそも寮では上級生と下級生が相部屋になる慣習がある。なのにソフィと私は一年生同士の相部屋だ。しかも同じクラスとか。部屋は原則として2年間一緒だから、ソフィと私は2年間相部屋という事となる。それについて不満なんて無い。寧ろ今ではマリーに次いで親友となったソフィと2年間相部屋で嬉しいくらいだ。


この謎を解く鍵は二つ。一つはソフィの身分。きっと王族となって間もないソフィを上級貴族の子弟から守るため下級貴族の子弟でクラスを固め、まとめとお守り役として文武両道で人柄にも問題が無い伯爵家の三男君が充てがわれたのだ。


もう一つは私の能力「看破」だろう。嘘や悪意を見破り真実を見抜くこの能力は既にホルストお兄さまで実証済み。私がソフィといれば、ソフィに仕掛けられる悪意や罠を見破る事が出来る。


そう、このクラスはまるでソフィを守るためのクラスであるかのようなんだ。


私はマリーと二人きりになった時にこの事を話してみた。マリーからはあっさり「そうよ」とい肯定されてしまった。


曰く、ソフィの母親は実家の身分が低くとも現国王陛下からはとても愛されているそうで、陛下はソフィを他の王族から守るため、敢えて王族とはせず、母方の実家で育てさせたのだという。だけど、ソフィが「魔女」の能力を授かってしまっため国王陛下もソフィを王族と認知せざるを得なかった。


「じゃあ、私がソフィと相部屋になったのも、あのクラス編成も国王陛下直々の指示でそうなったって事なの?」


「まぁ、はっきりと誰もそうだとは言わないでしょうけど」


なるほど。それにしても近衛騎士団にも出入りしただけあってマリーはなかなかの事情通だ。


「エミリーはこれで学院卒業してもソフィの側近間違いなしだね」


よほどの事が無い限りそうなるでしょう。


「でもソフィは王位継承順位はかなり低いけど、魔女だからこの先誰がどう利用しようとするかわからない。エミリーも気をつけてね?」


「…うん。わかった」


マリーにそう言われて気が引き締まる思いがした。今のところソフィは学生で、きっと影ながらも父である国王陛下に守られている。でも、その先は?マリーが言ったように「魔女」の能力持ちのソフィを利用しようとする者はいるだろうし、能力を恐れて暗殺しようとする者もいるかもしれない。そして、そのための障害、即ち私を排除する可能性だって…


これは思っていたよりも深刻な状況なのかもしれない。王都だ、学院だと浮かれている場合じゃないんだ。親友であるソフィを守るため、自分を守るため、とてもじゃないけど私の「看破」だけじゃ心許ないよ。どうにかしなくっちゃ。


マリーは剣聖で勇者パーティとも繋がりがある。でもマリーは剣聖ではあるけどまだ修行中の身。となると、やっぱり私が頼りに出来るのはホルストお兄さましかいない!


確かにホルストお兄さまはまだ王都に来てない。正直、今どこにいるかさえも私にはわからない。だけど、手紙を書いて王都の私とマリーに会いに来てくれると約束したんだ。


お兄さまは私との約束は絶対に破らない。やると言ったらやる男なんだ。それにお兄さまならきっと助けてくれる。根拠なんて無いけど、私はそう確信してる。


そうした訳で、私は、マリーもそうだけど、ホルストお兄さまからの手紙待ち。あぁ、もう!可愛い妹がこんなに困ってるんだからさっさと手紙を書いて寄こしなさいよね、お兄さまのバカ、ずっと待ってるんだから。


※ ホルストからの手紙を待つエミリー。しかし彼女は忘れている。王都に双子の兄が2人、近衛騎士団と常設第1騎士団にいる事を。尤も、思い出していたとしても頼るかどうかはわからないけれども。




いつも『アクションヒーロー』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話もお楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ