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第67話 異世界の食堂で洋食を、食べたい

「提督が意見を述べる機会を与えて下さったので、少々長くなるかと思いますがお聞き下さい」


俺はそう前置きして意見を述べるため席を立った。


「ナヴォーリを囲んでいる敵の陸上兵力は2個騎士団に雑多な歩兵が千人強と城塞都市であるナヴォーリを攻め落とすには少な過ぎる兵力と言えます。しかも工兵も帯同させておらず、攻城兵器も無い敵の現兵力ではナヴォーリの攻略はほぼ不可能と言って良いでしよう。しかし、敵はこれ以上の戦力は増やせず、かと言って海上封鎖が成功しているため引くに引けません」


一旦言葉を切る。俺はさっと一同を見渡してこの解釈に異論がないかを確かめ、更に続ける。


「と言って、ナヴォーリ側にも包囲する敵を撤退させる陸上兵力に欠けるので、双方共に決定打に欠ける膠着状態に陥っているとも言えます。常に軍隊とは金食い虫であり、敵のナヴォーリ市電撃占領作戦が失敗した以上、ツェルペン伯爵は早く撤収したいと思っているはずです。しかし、それを押し留めているのがジギスムンド艦隊による"海上封鎖"。ならばナヴォーリの沖合いに蟠踞するジギスムンド艦隊の海上封鎖を排除すれば早い話、この紛争はナヴォーリの勝利でお終いです」


すると一人の将官がテーブルをバンと叩いて立ち上がった。ええとこの人は確か艦隊参謀の一人だな。いかにも秀才といった感のある30代の男である。


「それが出来れば苦労は無い!提督はそんな事を聞くために貴公に意見を求めたのでは無い。もっとマシな事を言え!」


マシな事を言えとか、いきなり失礼な。状況を再確認してから打開点の説明を、と思ったのだけどな。軍隊では結論から言わなければならないんだっけか?俺も今は臨時特務大尉とかだからな。


あ〜、アイーシャもゾフィも親の仇を見るよな目でそいつを睨んでるよ。


「そうですか。ではこれ以上はやめておきます。皆さん、ご武運を」


俺もそいつの物言いには頭に来たので、そう言ってアイーシャとゾフィを促して食堂から退くべく立ち上がった。


「いや、待ってくれホルスト殿、貴公には何かこの状況を打開する案があるのだろう?あの男の無礼は謝る。どうか我等と戦ってくれないか?」


こちらは海兵隊のアッパズ総隊長。ガルメーラ艦隊旗艦に真っ先に斬り込んで白兵戦で指揮を執った勇将で、マンティコア出現の際も撤退戦の殿を務めた程の渋いムキムキなイケオジである。


何も戦わないとは言っていないのだけどな。


"ご武運をって言って部屋から出ようとしたらみんなそう思うでしょう、普通"


メルに普通を説かれるのも業腹だけど、まぁそうか。


「いえ、参謀殿のお立場も理解してます。こちらこそ失礼しました」


見ると俺にケチを付けた参謀は周りから宥められていた。そして何故かまだ俺を睨んでいる。俺が悪いのか?これ。提督に求められた意見を述べている最中に中断させられたのだから、あの参謀に非があるのだけど、まぁいい。


いや、もう面倒臭いから全部考えている案をぶちまけて、やるやらないの判断は任せよう。うん、そうしよう。


「続けてよろしいですか?」


俺がそう言ってモロアッチ提督を窺うと、無言で頷く。


「そう、海上封鎖するジギスムンド艦隊の排除についてでしたね?俺達義勇隊はこの戦いにおけるナヴォーリ市の切り札として市長の要請で参戦しています。なっ?」


俺は後ろに控えるアイーシャとゾフィに同意を促す。


「え?えぇ、勿論そうです」


「きゅ、弓聖、嘘つかない」


いきなり俺に同意を求められた二人は、一瞬きょどりながらも何とか俺の話に合わせてくれた。


「そして、今のようなお互い手詰まりな時こそちょっとしたパワーバランスの崩れでバタバタと総崩れになるものです」


「ふんっ。で、その切り札とやらは何が出来るんだ?」


これ、さっきの参謀ね。俺は特に気にせず、説明を続ける。


「ナヴォーリ市を包囲する敵戦力のうち、ナヴォーリ艦隊が対抗出来るのは海上戦力であるジギスムンド艦隊です。先程も申し上げたようにこの紛争はジギスムンド艦隊の海上封鎖を解けばナヴォーリ市の勝利で終わります。しかし、ジギスムンド艦隊はナヴォーリ艦隊に練度で劣るとはいえ数は多い。ナヴォーリ沖合いに広く展開するジギスムンド艦隊を数で劣るナヴォーリ艦隊が撃破するのは困難と言えましょう」


うむうむと頷くお歴々。


「そこで」と俺は自らが考えた作戦を説明。


……


「そんな事が可能なのか?」


沈黙から一転、騒つく偉い人達の中からアッパズ総隊長が俺に尋ねた。


「出来ない事は言いません。大言壮語もしません。現に俺達義勇隊は竜巻を起こし、奇跡の矢を放ち、マンティコアを倒しています」


俺の左右でアイーシャとゾフィが力強く頷いた。


その後、俺の案を叩き台に会議参加者達により侃侃諤諤の議論が交わされ、モロアッチ提督により作戦が決定されるに至るのだった。


〜・〜・〜


「で、私達はいつまでここにいればいいのでしょうか?」


「ホルスト、お腹すいたよ」


「くぅ、異世界の食堂にいるのだから洋食が食べたい」


"もう勝手に外出て何か作って食べましょうよ"



いつも『アクションヒーロー』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話もお楽しみに!


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