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第53話 暗殺者

俺はメリッサと別れると、態とらしく港の人通りの無い倉庫街へと足を向ける。倉庫街には魔道具の灯りが僅かにあるだけで、殆ど暗闇と言って良かった。


(そろそろいいかな)


そして俺は後をつけて来る連中に声をかける。


「俺に用があるんだろう?とっとと姿を現せよ」


すると暗闇の中に5人の人影が現れ、更にそいつらを5番目の平成ライダーの暗視能力で見てみると、黒いフード付きのマントに片手剣を手にした屈強そうな男達である事がわかった。


そいつらは俺と話し合う気は無いようで、既に抜かれていた片手剣を構え殺し合いに打って出てきた。


そうした訳で名乗など無く、早速容赦無く俺に斬りかかって来る。


こいつらの攻撃は連携が取れていて、斬撃は俺に反撃を許さず、ラジャータを出す余裕も無い程に間断が無い。


俺はちょっと気は進まないのだけど、「アクションヒーロー」の、ある能力を使う事にした。そのため取り敢えずこの襲撃者どもから距離を開けなければならない。


連携の取れた襲撃者どもは周りを囲んでいるため平面の移動は出来ないし、出来ても直ぐに間を詰めて来るだろう。では距離を取れる方向はというと、


「スカイジャンプ!」


8番目の昭和ライダーの能力、重力低減装置で上空へ飛び上がる。そして襲撃者どもを視界に収めると、俺は両腕を伸ばして開いた掌を襲撃者どもに向けた。


「スパイダーネット!」


俺の両方の掌から蜘蛛の糸が放たれると放射状に広がり、俺を見失って辺りに散開しようとしていた襲撃者どもに覆い被さって全員を文字通り一網打尽にした。


これは蜘蛛の能力を持つアメコミヒーローの能力だ。それはアメリカのヒーローじゃないのかとお嘆きの諸兄、案ずる事なかれ。確かにスパイダーの男はアメリカのヒーローだけど、日本版が存在するのだ。


日本語版じゃなく、日本の歴とした映画会社が合法的に制作した日本の役者が演じる日本版。それは巨大ロボットとか登場し、後の戦隊ヒーローに多大な影響を与えた作品だから、興味のある方は是非観て欲しい。主題歌もなかなかいい感じなんだぜ!


おっと、戦闘中に脱線してしまった。


ではスパイダーネットに絡め取られた襲撃者どもの(つら)を拝むとしようか。



俺は重量低減装置を解いて地上に降りると、魔法で光球を浮かべて辺りを照らした。


強い粘着力のある強靭なスパイダーネットに絡まれて地面に貼り付けられているのは5人の男達だ。(いずれ)も鍛えられた身体つきで、一糸乱れぬ行動は金目当ての盗賊などではなく、かといって得物から暗殺者とか殺し屋といった類いでもなさそうだ。冒険者には腕利きもいようが、連携の取れた対人戦闘は不得手のはず。となれば、そうした訓練を受けている軍人とか傭兵なんかが妥当な線かな。


俺は光球の光をバックにスパイダーネットで動きの取れない男どもを見下しながら尋問を始める。


「さて、俺様の暗殺に無様にも失敗した間抜けどもに幾つかの質問をする。答えるか否かは任せるが、答えなかった場合は一人ずつ電撃で惨たらしく殺して行く。そんな事は出来る筈ないなどとは思わない事だ」


無言で俺を睨み付ける男ども。俺は構わず続ける。


「俺を襲った目的は何だ?」


無論誰も答えない。なので宣言通りに俺は5人の内、右端に位置する男を9番目の昭和ライダーの能力、エレキハンドで派手な火花を散らして感電させて気絶させた。


スパイダーネットで身動きの取れない男どもはバチバチという電撃の派手な音と閃光を発する火花で感電し、「ガガガッ」という気持ちの悪い悲鳴を上げて気絶した仲間を死んだものと思うだろう。


「誰も答えないからこいつは死んだ(うそ)。もう一度尋ねる。俺を襲った目的は何だ?」


すると、リーダーらしき男が焦ったように喋り出す。


「お前が海賊船を沈め、多くの海賊達を殺したことに対する報復だ」


なるほど。となると、こいつらは海賊という事になるけど、どうだろう?もっとならず者感がありそうなものだけど。


「二つ目の質問だ。お前らは何で、俺の殺害を命じたのは誰だ?」


また黙りか?最初は右だったから今度は左といくか。俺は左の男に電撃を食らわせて意識を刈ると、そいつの頭髪は逆立ってブスブスと白い煙を上げた。口から白い粉は吹かなかったが。


「「「!!」」」


この行為に他の3人が声無き悲鳴を上げる。


「答えないからこうなる。さて、次は誰から行くか?」


「ま、待て。待ってくれ。言う、何でも言うから!」


先程答えたリーダーらしき男がまた焦ったように喋り出した。焦るくらいなら最初から喋りゃいいのにね。まぁ、これで俺の本気度はわかってもらえたかな。


「俺達は海賊で、お前を殺すよう命じたのは俺達のボスだ」


はぁ。俺も舐められたもんだぜ。そんな見え見えの嘘を信じろと?


「はい、嘘!」


ビリビリビリビリ


「グワァォォォ!」


俺は容赦無くリーダーらしき男の右隣りの男に電撃を加え、意識を奪った。


5人の内、3人が立て続けに殺された(気絶させただけ)事で、意識のあるリーダーらしき男じゃない方が恐怖からか口を開いた。


「隊長、黙っていても隠していても、もう無駄です。こいつは俺達を殺す事に何の躊躇も無いんです。隊長が言わないなら俺が言います。俺達はガルメーラ王国海軍の海兵隊だ。あんたの殺害を命じたのはガルメーラ海軍がナヴォーリに派遣した工作部隊の長、マードック三等海佐だ」


やっぱり軍人だったか。しかも隣国の海軍とな?


「お前達、これが侵略行為だという事はわかっているのか?」


俺の問いに2人とも押し黙ったけど、答えなかったら殺されると思ったのか、リーダーらしき男が答える。


「我々は軍人だ。祖国から命令されたらそれに従わなければならない」


まぁ、そうだよね。すまじきものは宮仕え、そこは辛いところだな。しかし、だ。


「海賊を装って隣国に侵略をしかけるのがまともな軍人のやる事か?お前らも昨日の連中も名誉ある戦死じゃなく、こうして賊として名前も名誉も無く殺されるんだぞ?」


「ぐぅっ」


俺の煽りに怒りと屈辱で顔を歪ませるリーダーらしき男じゃない方の男。リーダーらしき男はムッと押し黙り、俺を睨んでいる。


「では最後の質問だ。お前達ガルメーラ王国の目的はなんだ?」


「「…」」


俺は左手に雷を纏わせてこれ見よがしに指を屈伸させながら近づけてやる。


「俺達みたいな現場の者が上の考えなどわかる訳が無い。俺達はナヴォーリのさる要人を捉えよと命じられているだけだ」


このナヴォーリに来て2日目の俺にナヴォーリの要人など知りようがない。だけど、昨日の海賊襲撃が何を目的としたのか?海賊がガルメーラ海軍と知ったからには積荷や乗船客を拐って奴隷に売り飛ばすのが目的ではないだろう。


とするならば、グランデプロフィット号をピンポイントで2隻の海賊船で襲ったのはおそらくその要人を狙ってのことだ。


そして、昨日のグランデプロフィット号に乗っていたナヴォーリ市の要人といえば、ナルディア教団の巫女アイリーンとナヴォーリ市長の娘メリッサだ。


「お前達、市長の娘を狙っているな?」


バチッバチッと火花が爆ぜる左手でリーダーらしき男の右肩を掴み感電!


「ぐあっ」


短い悲鳴と共に意識を失うリーダーらしき男。残った男には上官も殺されたと思っただろう。


「そ、そうだ、市長の娘を拐って人質にし、市長を脅迫してナヴォーリ海軍を潰すためだ」


上官という枷が外れたためか、機密漏洩という軍人としての禁忌を犯したからか、最後に残った男は言うだけ言うと、息が荒くなり瞳孔も開いている。


「目的を知らないとか言っていたよな?」


男は絶望的な表情となる。


「俺は嘘を吐かれるのは嫌いだな。だから俺に嘘を吐いた奴は必ず殺す事にしている(嘘)」


俺は思い切り悪者っぽい口調と声色で電流纏う左手を目の前でワキワキさせてやった。


「ぜ、全部喋っただろう。約束が違う」


いや、俺は喋らなきゃ殺すって言ったのであって、喋ったから助けるなんて一言も言っていないだよね、これが。


「仲間の元へ行くがいい。死ねぇ!」


バリバリバリ


「うわぁぁ」


やたら乗りの良い悲鳴を上げて最後の男も気絶した。


"そもそもあのメリッサって娘が狙われていたのね。だとしたら不味くない?"


タイミングを図った様にメルが念話で話しかけて来た。


「そうだな。乗りかかった船だ。助けに行かなきゃな」


俺はメリッサの現在位置を探るため、右手にリレーのバトン程の銀色の筒を召喚すると、空に向けて右腕を伸ばし、筒内の追跡用飛翔体を発射する。


「ホルストホッパー!」


追跡用飛翔体はロケットの様に白煙を引いて上空へと打ち出され、今頃は上空でプロペラを出しての飛行に移行しているだろう。


これは3番目の昭和ライダーの能力「ホッパー」だ。以前にこのホッパーを試した時に、「ホッパー」と言うだけでは作動せず、恥ずかしかったけど自分の名前を冠すると作動するようになった。俺の魔力をエネルギーとし、俺の思念波によってコントロール可能。目標探索では自律モードで行動し、情報を俺に送ってくる。他にも機能はあるのだけど、それらは追々という事で。


俺は電撃で意識を刈り取った襲撃者どもを再度スパイダーネットを掛けて逃亡阻止を図り、メルと共にメリッサの救出に向かった。

いつも『アクションヒーロー』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話もお楽しみに!


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