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幕間④ エミリーの学院生活 入寮編

そして入学式前の学生寮への入寮の日。私は約1年振りに幼馴染にして親友のマリーと再会した。


「マリー!」


「エミリー様!」


マリーは学生寮の玄関で私が来るのを待っていてくれていたようだった。私達はお互いを認めると、入寮する新入生達の間を掻い潜って駆け寄り抱き合った。


マリーは紅玉のような髪を七三に分けて後ろで三つ編みにした今までと同じ髪形だけど、少し背が伸びて王立学院で制服姿(紺の上衣、白いブラウスに赤いリボン、チェックのスカートとニーソのような靴下、茶色いショートブーツ)が良く似合っている。少し垢抜けて大人びて見える気がするんだけど、これが1年間の王都暮らしの成果なのだろうか?


「ん?どうかしましたか?」


「いえ、マリーが都会風に垢抜けて綺麗になったなぁって」


「そんな事ありませんよ」


「そうかなぁ?こっちで誰かいい(ひと)でも出来た?」


この質問は失敗だったようで、マリーは急に表情を険しくする。


「そんな(ひと)いません。ホルスト兄さまよりいい男なんている訳ありませんから」


と、抑揚の無い低い口調でそう言った。


1年前のあの日、「剣聖」の能力を授かり、一時的に気が狂ったようになったマリーは、その後、裏切って殺そうとしたお兄さまに許された。それ以来、マリーは以前にも増してお兄さまを慕うようになったのだけど、その程度が少し病的、なんだよねぇ。


お兄さまが私達に黙ったまま領地を去った直後など、マリーは誰とも話さなくなり、王都に出発するまでひたすら一人で剣を振り続けていたくらいだったし。


確かにホルスト兄さまは強くて、優しくって、頭が良く、凄く格好良いけど、流石に王都ともなればそれなりに素敵な殿方がいるんじゃないのかな?


そんな事を考えていると、マリーは私の内心を窺うように見据えた。


「私も半年近く王都にいて勇者や近衛騎士団の騎士、それに多くの貴族の方々と会わざるを得ませんでしたけど、みんなダメダメですよ。エミリー様もいずれわかると思います」


勇者に近衛騎士に貴族にって、凄いなぁ、マリー。でも、会わざるを得ませんでしたって…


「そんな有象無象共の事よりも、エミリー様、学生寮を案内しますよ。もう荷物は前もって搬入されてますから」


有象無象って…


「ありがとう、マリー。じゃあお願いしようかな」


「はい」


マリーはそう返事すると、早速私の旅行行李を一つ軽々と持ち、颯爽と新入生でごった返す寮内へと分入って行った。


「…」


その旅行行李を片手で軽々と持つ力強さと身のこなしは流石剣聖とも言えるもので、マリーはお兄さまとの約束を果たすべく努力し続けているようだった。


〜・〜・〜


寮内で学院生達は、マリーを見ると潮が引くようにマリーが進む先の道を開けていった。男子も女子もマリーを憧憬の眼差しで見ているのがわかる。


「こちらです」


そう言われて案内されたのは王立学院女子寮、その2階の角部屋。この女子寮は2人部屋が基本で、それは男子寮も同じ。


更に、この王立学院には全寮制で、上は王族から下は特待生の平民まで多くの学院生が在籍している。寮室は2人部屋で、寮生の組み合わせはランダムだという。だから新寮生は上級生と同室になるのだけど、それがどのような身分の学院生と同室になるのかはわからない。ランダムとは言いながらきっと偉い人達の思惑が働いているんだろうなぁ。


「私と同室の方はまだいらしていないのね」


「そうみたいですね。因みに私の部屋は何と隣です。いつでも気兼ね無く遊びにいらして下さいね」


「ありがとう、マリーもね。それから、私への敬語はこれからは辞めにしない?私達、あの領地から離れて同じ学院生になったんだからさ。名前も呼び捨てでさ」


マリーは少し考え込むと、意を決したように口を開いた。


「わかりまし、わかったわ、エミリー。うぅ、でも変な感じ」


「慣れよ、慣れ。これからも宜しくね、マリー」


「こちらこそ、エミリー」


こうして私とマリーはここ王立学院で本当の親友になった。


〜・〜・〜


そうしていると、私と同室となる学院生がやって来た。


何と上級生ではなく、同い年の同級生だ。彼女はとても綺麗で上品でいて、それでもふんわりとした雰囲気を纏った女の子。


金色の長い髪が白磁のような白い肌によく映えて、大きな二重の瞳は青玉のよう。薔薇の花のような唇にすっと伸びた鼻梁。私は思わず妖精さんかと思ってしまった。


そして、彼女をどこの上級貴族のお嬢様だろうかと思い、挨拶と自己紹介のため彼女が口を開くのを待っていると、少し焦ったようにわたわたとしながら声を発した。


「は、はじめまして、私はソフィ・アディア・ジギスムントと申します。これから宜しくお願いしますね?」


ジギスムントって、王族じゃん!


思わず顔を見合わせる私とマリー。驚愕する私達を尻目にソフィア王女は「ん?どうかしました?」といった感じで小首を傾げていた。


これが後に私が生涯側近として仕える事となるソフィ・アディア・ジギスムント第三王女との出会いとなった。


いつも『アクションヒーロー』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話もお楽しみに!


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