第43話 俺とパーティ組んでもいい事ないよ?
オークの群れを殲滅して喫緊の脅威は取り除いた。しかしまだ油断は出来ないと俺と狼獣人姉妹の冒険者は3人で夜が明けるまで見張りをした。
その間、2人の姉妹冒険者からは不躾にならない程度ではあったけど質問攻めに会い閉口した。更には2人からパーティを組んで欲しいと乞われた。
「ホルストさん、私達とパーティを組みましょうよ。ソロよりパーティで人数がいた方が負担が減って効率が良いし、受けられる依頼の幅も増えますよ」
確かに彼女達の言ってることは正しい。のだけど、俺には当て嵌まらないかな。
「それは実力とかランクが同じくらいでの話だ。パーティの中に突出した実力者がいると、パーティはその1人に頼りきりになる。それは健全なパーティとは言えないんじゃないか?」
俺がそう言うと微妙な表情となる2人。
「それに俺は実力的にもソロで問題無くやれているからパーティを組む必要を感じてないんだ」
ムッとして黙り込む2人。そして姉のウルマが口を開く。
「ホルストさん、いくら実力が有るからってちょっと慢心してるんじゃないですか?確かに私達の方がランクも実力も下かもしれないけど、実務経験は私達の方があるんですよ?あまり馬鹿にしないで下さい」
俺の言い方も悪かったのだろうけど、その言い方には随分と棘が含まれていた。彼女達のプライドを傷付けてしまったのは申し訳無かったが、俺がソロでいようが誰かとパーティを組もうが強要される筋合いは無いからな。
「言い方が悪かったのは済まなかった。俺のランクは下位金級だ」
「「!!」」
驚いたのか息を呑む2人。
「それにオーク20体に成す術ないのでは背中を預ける事は出来ない」
2人は俺を睨みつけると、プイッという感じで顔を背けて無言で離れて行った。さっき迄キャーキャー言っていたのは何だったの?といった変わり身の早さ。上げて下げて忙しい事だ。
可愛い狼獣人の女の子達と出来れば仲良くしたかったけど、こればかりは譲れない。第一、俺とパーティを組めば俺に放り回されてあの娘達は最悪命を落とす事になりかねない。
〜・〜・〜
夜が明け、この先の村から鍛治職人を伴った村の自警団が到着した。俺達を見捨て、いや、先行した2台の馬車は無事に村に着いたようで、俺達の乗った馬車が故障して立ち往生している旨も伝えてくれているようだった。
自警団3人と鍛治職人1人の一行は馬車の周囲に累々と重なる両断され、或いは焼け焦げたオークの死体に度肝を抜かれたよう。
「オークの群れを倒したのは誰なんだ?」
自警団のリーダー格である茶髪無精髭の青年が狼獣人姉妹に尋ねると、妹のウルメが無言で俺の方へ顎をしゃくった。自警団のリーダーはいきなりの塩対応に面喰らっていたが、腹を立てる事もなく俺に確認を求めた。
「ああ、俺がやった」
「ほ、本当か?」
「信じ難いのは無理もないけど本当だ。冒険者ランクは下位金級で「能力」持ちだ」
「金級の「能力」持ちだって!?ならあり得るか」
自警団のリーダーは取り敢えず納得すると、次いでオークの死体を譲ってくれないだろうかと俺に尋ねた。
本来なら偶発的に遭遇して討伐した魔物の死体の所有権は討伐した冒険者の物となる。なので、転がっているオークの死体は全部が俺の物であり、買い取るならまだしも、おそらくは「タダで」譲ってくれだろうから、これはかなり非常識な発言と言えた。
「図々しいのは百も承知だ。だけどあのオークの群れが街道沿いに居座っていたのでここ3ヶ月ほど流通が滞り、村人も家畜も襲われたんだ。代官に討伐を陳情しても暫し待てとしか言わないし、おまけに村がこんな事態だって言うのに臨時の徴税までしやがった。そのせいで外部から食料も買えなくなって村は今食糧不足なんだ。頼む。助けると思って譲ってくれないだろうか?」
オークの群れに襲われてそのまま居座らわれるは、臨時の徴税までされて現金もないは、正に泣きっ面に蜂状態か。それは気の毒だな。無精髭なのも頷ける。
「まぁ、こうして助けに来てくれてる事だし、討伐部位以外なら好きにしてくれて構わないよ」
「本当か!有難う。恩に着るよ。オークの討伐までしてくれて本当に助かった」
オークの討伐は襲ってきたから自己防衛のため逆襲したまでだ。でもそれで村の人達が助かったと言うのなら結果オーライかな。
自警団の1人はリーダーに指示でオークの死体を引き取るべく村から人手を集めるため、先に戻って行った。俺はフランツと自己紹介した自警団のリーダーとオークの死体を持ち帰る物と損傷が激しいため廃棄する物との仕分けをした。
ドワーフの鍛治職人は黙々と馬車の修理を続けた。その間2人の姉妹冒険者は周囲の警戒をしつつ俺と自警団の作業を見つめていた。
〜・〜・〜
「ねえ」
諸々の作業が一息つき、乗客を含めた皆でお茶を喫していると、冒険者姉妹のウルマが声をかけてきた。
「さっきはごめんなさい。いきなりよく知りもしないのにパーティ組もうはないわよね」
「俺も無神経な物言いで済まなかった」
「ううん、パーティは同じくらいの実力者同士で組んだ方がバランスがいいから。あなたが言った事は間違ってないわ。それに、」
「それに?」
「あなたと組んだら私達じゃ命が幾つあっても足りないし、お人好しのあなたと一緒にいたら骨折り損のくたびれ儲けになりそう」
「何気に酷い言われようだね」
「でも、そうでしょう?」
「否定はしない」
そう言うと俺達は顔を見合わせて笑い合った。妹のウルメはまだ怒っているみたいだっけど。
そうしているうちに馬車の修理が終わり、村からオークの死体を回収する荷馬車も到着した。俺達が乗合馬車の行き先であるコレト村に到着したのは昼過ぎになった。
いつも『アクションヒーロー』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。
それでは次話もお楽しみに!




