第33話 館の正門、突破されそう!
村の周囲には魔物を防ぐための土塁と空壕、そして木柵が設けられていた。だけど今回の魔物の群れによる襲撃では数の暴力の前にあまり用を成さなかったようだ。木柵は至る所で倒され、魔物の村への侵入を許していた。
村には何棟の家屋があったのかわからないけど、そのどれもが扉やドア、窓が破壊されて室内が荒らされている模様。
村の領主、ヘルベルト騎士爵の館は俺の実家と同じく小高い丘の上に築かれ、小城砦の趣を呈している。ここばかりは流石に空壕と強固な石垣が魔物の侵入を阻んでいた。
それでも館はすっかりゴブリンやコボルト、それにトロールに囲まれ、その数はざっと見て二千ほどか。更にはその中には極めて大型のゴブリンとコボルトが幾体か見られた。
群の討伐を怠っている間にゴブリンが増え、更に別の群が合流。群が拡大するにしたがって統率の必要によって群から上位種に進化する個体が出たという事だろう。そして上位種への進化個体も増え、別種の魔物までが合流して麾下に加わって目の前の惨状となっている。
という事は、ゴブリンかコボルト、トロールの中で、恐らく数の多いゴブリンキング、そのどれか一体がキングオブキングとして群れを統率しているはずだ。
俺が目に付く魔物を片っ端からマシンガンアームで細切れ肉にしながらヘルベルト騎士爵館へむかうと、果たして館を囲む幾多の魔物の中に2mを越える大型の個体が幾体か散見された。
"メル、ゴブリンとコボルトの進化体が10体に、更にデカイのが1体いる。俺、よくわからないんだけど、そういう事ってあるのか?"
"う〜ん、私も魔物の事はわからないかな?"
"知らないの?この世界の神族なんだろ?"
"神族だからって何でもかんでも知ってる訳じゃないの!まして魔物の生態なんて興味無いし"
メルのムッとした声色の念話が頭に響く。まぁ知らないのならしょうがない。とはいえ、俺はメルにはこの世界のガイド的な役割を期待していたのだけど(ウィスパー的な)。こいつ案外物知らずなんだよな。
"ホルスト、なんか失礼な事考えたでしょ?"
"ちょっとだけな"
と、そんな念話を交わしつつ、マシンガンアームの魔力弾で魔物を薙ぎ倒し、俺は館前に至った。
〜・〜・〜
ヘルベルト騎士爵の館は家臣団と村人達が襲撃する魔物の群に対して籠城して必死の抵抗をしていた。城ではない騎士爵の館ではあっても攻城兵器が無ければ城攻めは難しく、本来であれば二千体の魔物であってもこの館を落とすのは難しい。だけど、この戦いでは魔物側に機動力の高い生きた攻城兵器であるゴブリンキングやコボルトキングが5体もいるのだ。奴等が次々と投げつける石塊は石弾となって空壕の外からでも易々と館の屋根を破壊し、壁を撃ち抜き、板塀を貫いて館の防衛力を削って兵を殺傷していた。
石垣には多くの魔物が取り付き、館側は矢が尽きたのか石垣をよじ登って来る魔物に石や煉瓦を落とし、槍で突き落とす。しかし、それも魔物の数の前に石垣を越えられるのも時間の問題に思えた。
館の正門は固く閉ざされているが、一体のゴブリンキングが多くの魔物を使役して丸太で正門を突き破ろうとしていた。
有り体に言えば、このヘルベルト騎士爵館は落城寸前の様相を呈していたのだ。
ゴブリンキング共は館攻めに集中しているのか、未だに俺の存在にも、俺に配下の魔物が殺されている事にも気付いていないようだった。
「ラジャータ、マシンガンアーム解除、セイバー変形!」
俺は左腕と一体になっていたマシンガンアームを解除すると、15番目の平成ライダーの刀型武器に変形させ、騎士爵館の喫緊の危機にある正門へと加速した。
〜・〜・〜
「ゴアー!」
ドン!!
「ゴアー!」
ドン!!
ゴブリンキングが「ゴアー!」と叫ぶと、それを合図にしているのか100体ほどのゴブリン、コボルト、トロールが一本の太い丸太を館正門の鉄を鋲を数限り無く打ち込んだ頑丈そうな門扉にぶつけている。
門扉の周囲には石垣の上から射かけた矢によって殺された魔物の死骸が無数に転がっており、激烈な攻防戦である事が窺えた。
しかし、館側からの攻撃は散発的となり、妨害の少なくなった魔物側により正門は砕けようとしている。
俺はセイバーに魔力を込めて八相に構えると、気合いと共に魔物共に斬撃を放つ。
「セイヤァァァ!」
セイバーから放たれた斬撃は丸太に取り付く100体ほどの魔物を上下真っ二つに切り裂いた。
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それでは次話もお楽しみに!




