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第32話 ヘルベルト騎士爵領

その依頼はラース辺境伯領に隣接する寄子貴族・ヘルベルト騎士爵からのものだった。その領地は山深い山麓にあり、その領内にある村近くの山林にゴブリンが棲み着いたのでその討伐を、というもの。


ゴブリンは単体では成人男性であれば特に脅威となる魔物ではない。良く知られているようにゴブリンは緑色や灰色の皮膚をした体格の良い子供くらいの人型の魔物だ。その力は体格の見た目以上に強く、鋭い犬歯はあるけれど、まぁ、ヒト族の平均的な成人男性がゴブリンと1対1で戦えば負ける事はまず無いだろう(※個人の感想です)。


しかし、ゴブリンの恐ろしいところは、知能が比較的高く、常に集団で行動し、残忍で執拗、そして繁殖力があり、その集団が増えるといずれ強力に進化した個体が出現するという事だ。


この集団から出現する最も強力に進化した個体をゴブリンキングと呼んだりもする。


〜・〜・〜

村の近くにゴブリンの巣が出来るという事態は村にとって喫緊の脅威だ。ヒト族の常識が通用しない知能の高い魔物は盗賊などと違って話の通じる相手ではない。そのまま放置しておけば家畜が襲われるばかりか、奴等の繁殖のため女性が狙われ、遂には増えたゴブリンにより村ごと滅ぼされてしまう。


だからゴブリンの営巣が確認されたなら、まだ数が少ないうちに速攻で殲滅するのがこの世界の常識だ。その場合、村の男衆で間に合えば良いのだが、男手が足りないかったり、既に繁殖してゴブリンが多かったりと村人の手に余る場合などは領主や代官に要請して騎士団若しくは領軍、はたまた冒険者にゴブリンを討伐して貰う。そんなお役所仕事を経ていたら間に合わない!という場合は村から直接冒険者ギルドにゴブリン討伐依頼を出したりもするようだ。


とはいえ、どこの世界でもお役所仕事は予算だ装備だ人員だと時間かかり、騎士団や領軍が出動するとなると後手に回ってしまう。また、領主も魔物討伐で麾下の戦力が減る事を嫌う傾向があるため結果的に現在では依頼料さえ払えば怪我しようが死のうが自己責任の冒険者に依頼する事が多くなっていた。


しかし、こうしたゴブリン討伐依頼はえてして報酬が少なく、冒険者パーティも諸経費を考えたら収支はトントン、若しくは負傷者が出た場合は赤字となってしまう。しかも、そこそこランクが上の冒険者がゴブリン相手にもし怪我をしたともなれば恥となるため、そうしたゴブリン討伐依頼はそのままだと嫌厭されて受け手が現れなかった。


そのため冒険者ギルドでは問題を起こしたパーティへ懲罰的に依頼を引き受けさせたり、ランクアップの条件としてランクアップを狙うパーティに引き受けさせたりと、あの手この手を使ってゴブリン討伐依頼の消化を図っている。


また、そうした現状を考慮して国や領主も嫌厭されるゴブリン討伐依頼のため冒険者ギルドに補助金を出すなどして報酬の底上げを図り、最近では引き受け手の無いゴブリン討伐依頼は減少傾向にあったらしい。


そうした最近のゴブリン討伐依頼事情ではあったけど、その村にとって不幸だったのは何故かこの2〜3年はギルドから冒険者に払われる補助金がカットされて依頼を受けるパーティが現れず、且つ積極的にランクアップを狙うパーティや懲罰的に依頼を引き受けさせられるパーティがいなかった。


そのため、この村、というかヘルベルト騎士爵が冒険者ギルドにゴブリン討伐を依頼してから随分と時間が経過してしまっていた。


〜・〜・〜

俺とメルが焦げ付いたこのゴブリン討伐依頼を出したヘルベルト村に着いた時、事態は悪化の一途を辿っていた。村にはゴブリンとコボルトが満ち溢れ、村人は誰一人としていなかったのだ。


これは既に全滅か?一瞬そう思ったのだけど、村の奥にある領主であるヘルベルト騎士爵の館の方からはこの世界の戦争音楽が盛んに聞こえて来ていた。どうやら領主が領民である村人達を館に収容して籠城しているようだった。


この村の領主は俺の実家と同じく騎士爵だけど、実家のヴィンター家よりも領地の規模が小さく、領内に治める村は一つだけ。しかも、やはり実家と同じく隣の帝国との緩衝地帯ともなっているエルフ領の樹海に接する袋小路のような立地だ。


今回の依頼は冒険者ギルドの都合や領地の立地など、領主や村人達にとっても最悪な巡り合わせとなってしまった。しかも、ゴブリンだけじゃなくコボルトも一緒になっているという事は、この2種族の魔物を束ねるより強力、且つ知能が高い魔物がいる可能性が高い。


「しかし、不幸中の幸いは領主一族や村人達が全滅する前だった事だな」


俺が村の惨状を眺めつつ呟くと、メルからの念話が伝わって来た。


"そんな悠長な事言ってる場合?"


「いやごもっとも。それじゃあ、早速手近なところから手を着けますかね」


俺はラジャータを召喚して左手に持つ。


「マシンガンアーム!」


すると、左手に持つラジャータは黒く変色して俺の左腕と一体化し、その先端を筒状に変化させた。その形状は正にマシンガン。口径は5.5mm。これは4番目の昭和ライダーの武器だ。


「よし、撃ち方始め」


こちらの存在に気付き、棍棒やら奪ったり拾ったりした鎌、鍬や剣を振りかざして襲いかかってくるゴブリンにコボルト。俺は躊躇する事無く左腕のマシンガンアームから魔力弾を連射して奴等を薙ぎ払った。


ダダダダダダッと小気味良く連続する発砲音にギエー、グワーと魔物共の断末魔の悲鳴が重なる。


俺がマシンガンアームから発射する魔力弾は実際の5.5mm弾よりも破壊力が高い。一気に30体ほどのゴブリンやコボルトを撃ち殺して骸の山を築くと、途中途中で目についた魔物を撃ち殺しつつ、俺は領主と村人達が立て篭もるヘルベルト騎士爵の館へと急いだ。


いつも『アクションヒーロー』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話もお楽しみに!


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