第3話 ヒーローアクション同好会
俺は転生者である。名前はホルスト・ヴィンター。前世での名前を神崎拓人といい、都内にある大学に通う大学生だった。
俺は子供の頃からテレビや映画で見るヒーローが大好きで、毎週日曜日の朝は正にヒーロータイム。大興奮で見ていた。
そんな俺の夢は、もちろん正義のヒーローになる事だった。そのため俺は夢の実現へ向けて前世での人生の大半を費やしてきたと言っていい。
ヒーローといえば正義の心、正義を実現するための強さ、そしてアクション。俺は小学生になると両親に頼み込み、勉強もしっかりやるという条件付きで近所の空手道場に通わせて貰った。空手を習うのみならず、徐々に筋トレやランニングもしてヒーローへの道を突き進み、付いた渾名が「ライダータクト」。友達は揶揄い半分で付けたのだろうけど、俺は結構気に入っていた。
小学校を卒業して中学に進学すると、その中学校には空手部が無かった。俺は違う武道を始めるのもいいかなと、中学では柔道部に入部した。日曜日には空手の道場に通い、かつての両親との約束もあって中学時代は文武に成果を残し、高校は県下でも偏差値が高い県立高校に進学する事が出来た。
高校に進学すると、その高校には空手部があり、俺は再び本格的に空手を始める事となった。2号ライダーは空手と柔道の達人だ。
そんな感じで始まった高校時代も部活と勉強漬けの3年間になった。といって女っ気が全く無かった訳じゃない。美男美女だった両親の間に生まれた俺は、弟や妹と共にその遺伝子を色濃く受け継いで、自分で言うのもナンだけど長身に黒髪、白皙のイケメンだった。そして鍛え上げた肉体に成績優秀な頭脳。女の子から何度か告白されて付き合ったりもした。
しかし、何故かいつも彼女になった女の子には浮気されて別れてしまっていた。当時の俺は女の子から告白してきたのだからと慢心していたように思う。部活や男友達との付き合いを優先していたんだ。
今にして思う事は、どちらから好きになろうと、彼女が出来たら彼女を第一に考えなければならないという事。女の子には兎に角マメにならないと冷められたり、浮気されてしまうのだという事を傷心と共に学習した。
そんな経験をしつつも、高校3年になって俺はインターハイの個人戦(組手)で優勝した。この成果で様々な私立大学から声がかかったけど、申し訳無く思いながらも全てお断りさせて貰った。何故かと言えば、俺にはどうしても入りたい大学があったのだ。
それは東京都の多摩地区にある国立大学で、俺の偏差値ではB判定。家からも通い易く、何よりもその大学には「ヒーローアクション同好会」があったのだ。
部活を引退してからのラストスパートが功を奏し、無事俺はその大学へ入学する事ができた。嬉しかったな。
入学式を終えると、俺は数多の新入部員勧誘を捌き、一路「ヒーローアクション同好会」のブースを目指した。
「ヒーローアクション同好会」のブースは直ぐにわかった。何故かって、変身ヒーローのコスプレした先輩方が立札を高々と掲げていたから。
そこにはv3が、ストロンガーが、ウィザードが、コスプレとはいえ等身大のヒーローがいた。ヒーローと直接会い見えるなんて小学6年生の時に東京ドームでレッドタイガーと握手して以来だった。
ここには志を同じくする人達がいる。そう思うと、この時ばかりは熱い思いがこみ上げて来て、嗚咽と共に俺の両目からは大量の心の汗が溢れ出したのだ。
因みに、このエピソードはその後、「ヒーローアクション同好」では新歓の際に先輩や同期が新入生の前で俺をイジる鉄板のネタとなってしまった。俺が死んだ今はこのネタ、一体どんな風に伝えられているのだろうか?
念願のヒーローアクション同好会に入会した俺は、日頃の筋トレと走り込みで鍛えた肉体と身体能力、幼い頃から磨いた空手と柔道の技、持ち前のヒーロー魂と正に心技体揃った即戦力。新入生ながら早くも各地で行われるイベント、お祭り、コミケなどで活躍した。もっとも、1、2年は怪人や戦闘員の役が専らだったが。
初めてヒーローのコスチュームを着たのは、4年生が引退した2年の秋だった。この同好会は何気に歴史が古く、イベント出演で資金も潤沢だったためヒーローのコスチュームを多く保有していた。古いものだと怪傑ライオン丸、コンドルーマン、レインボーマンなんてのもあり、倉庫内はさながら我が国の等身大ヒーローの歴史を見るようだった。
先輩に「どれでも好きなの着ていいよ」と言われ、俺が選んだヒーローは「仮面ライダーX」。仮面ライダーは平成も令和も好きだけど、俺がより心惹かれるのは昭和のライダーだ。中でも俺が好きなのは仮面ライダーXだった。
一見色彩的にグレーで、他のライダーより地味であるものの、軍服っぽくメタリック且つメカニカルな外見とライドルという形状変化する棒状の万能武器を使うアクションが俺の心を掴んで離さない。
とあるイベントで俺が主役となったXライダーショウはクオリティ的に自信はあったものの、流石に昭和ライダーを知らない小さなお友達には受けなかった。だけどその親の親世代の大先輩方(つまり孫を連れてきたお爺ちゃん)には好評を得た。
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それでは次話もお楽しみに!




