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第24話 名前で呼び合おう?…う、うん

「ねえ、」


と、勇者の問題が解決しつ内心ホッとしていた俺に不意に弓聖エルフ女から声をかけられた。


「何だ、弓聖?」


「ゾフィ」


「?」


俺が応えると不機嫌そうに弓聖エルフ女は名を名乗った。


「私の名前はゾフィ。弓聖じゃない」


これは名前で呼べって事だろうか?いや、面倒くさい。


「で、ゾフィさん。何だ?」


「さんはいらない、ゾフィでいい。私もあなたの事、ホルストと呼ぶ」


「まぁ、好きに呼んでくれ。それで、何だ?」


俺はよほど無礼でなければ呼ばれ方に拘りは無い。ゾフィは無表情から少し顔を綻ばせると、次いで詰問するような口調となった。


「ホルスの事ばかりじゃなくて、私にも、その、何かアドバイスしなさいよ」


しなさいよって、それが人に物を尋ねる態度ですか?と思ったけど言わない。エルフで貴族の娘ともなれば、これが標準なのかもしれないからね。


俺はゾフィに向き合うように掴んだままの勇者の手を解いて、さりげなく勇者から離れた。


「ゾフィのすべき事は他のメンバーや周囲の者達への関心を持って、パーティーが自分に何をしてくれるのかではなく、パーティに自分が何を出来るかを考えて行動すれば良いと思うぞ」


「自分がパーティのために何が出来るか、か…」


ゾフィはそう呟くと、一人思案顔となる。


「ホルスト、俺にも何か言ってくれ」


ええと、デリックだっけ?また面倒な、しかも呼び捨てとか。


「勇者が攻めとしたらデリックは守りだ。攻めと守りは別ではなく一体となってこそどちらもその真価を発揮する。だからデリックはパーティの要として勇者と表裏一体となって積極的にこのパーティを守ってくれ」


「そうか、わかった」


「それから、後になってから上から目線で物を言うのは改めた方ががいいぞ?」


ぷっ、と誰かが吹き出す声が聞こえる。


「…あぁ、そうしよう」


デリックはバツが悪そうに顔を背けた。


勇者、弓聖、盾聖と来たらおそらくこの人も黙っていないだろう。


「ホルスト様、私にも何かアドバイスを下さい」


やっぱり、聖女さん来ましたか。だが、


「あんたには特に無い」


「えっ?」


「前の3人に言ったアドバイスが上手く回り出せば、今まであったあんたへの負担は随分と軽くなるはずだ。そうなればあんたは本来の聖女としての役割に専念出来るようになるだろう」


俺は求められるままに聖女へのアドバイスを口にしたのだけど、当の聖女様は何やら不満げにジト目で俺を見ている。


「ホルスト様、アドバイスは有り難く承りました。ですが、私はあんたではありません。ちゃんと名乗ってますよね?私の名前はミシェル、ミシェル・メルマルクです!」


「あ〜、申し訳ない、ミシェルさん」


「さんはいりません。ミシェル!」


「済まない、ミシェル」


ゾフィから「うわぁ、謝らせちゃったよ」という呟きが聞こえて来た。


「宜しい。以後もちゃんと名前で呼んで下さいね?」


やたら押しが強いな。何気にこの聖女様が一番の強敵かもしれないな。しかし名前で呼べとか、友達でもないのに名前呼びはキツいな。そういえば、この世界に友達って少ないないな、俺。


すると、メルが俺の膝の上に乗って来ると、猫っぽくにゃあと鳴いた。


"ホルスト、名前で呼んでって頼んでるんだからちゃんと呼んであげたら?"


「そうだなぁ、まぁ、減るもんでもないしな」


思わず念話じゃなく、呟いてしまった。


「ねぇ、ホルストは猫と話せるの?ってそうじゃなくて、ちゃんとこれからも私達の事、名前で呼びなさいよ?」


「そうだぞ、ホルスト。ちゃんと俺の事はデリックと呼ぶんだぞ?」


何気にデリックの兄貴風を吹かすのがうざい。勇者も何か期待を込めた目で俺を見ているし。まぁ、しょうがない。このパーティでのマリーの居場所を確保するためだ。こいつらを名前呼びするくらいどうという事ない。


「わかったよ、クリス、ゾフィ、デリックにミシェル。これでいい?」


俺が全員の名を呼ぶと四人とも満足気に頷いた。


「でもデリックはその偉そうな物言いは直した方がいいな」


「う、うむ。しかし、そんなに偉そうか?」


「偉そうだな」

「偉そうね」

「偉そうです」


俺が悔し紛れに言った憎まれ口に、味方からまさかの同意が寄せられてぐぬぬとなるデリック。そんな彼の様子に図らずも昼時前の食堂は笑いに包まれた。




いつも『アクションヒーロー』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話もお楽しみに!


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