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第18話 弓聖エルフ泣かせちゃった

練兵場は静寂に包まれたまま。俺は声も無く呆然とこちらを見ている勇者に声をかけた。


「おい、勇者。見ていたか?今のを」


「あ、あぁ」


「どう思った?」


「いや、お前強いんだなと思っ「馬鹿か?お前は」」


この勇者、大丈夫なのか、本当に。


「剣術を習っていたとは言え、能力を授かっただけの13歳の女の子だ。あんな単純な手に引っかかってあのざまなんだぞ?」


俺の詰問に、「え?」とか「いや、その」しか言わない勇者。すると盾の大男が口を開いた。


「おい、その辺にしてやれ。剣聖が現れて漸くパーティメンバーが揃ったんだ。クリスも浮かれていたのは否めん」


何かいきなり上から目線で偉そうにほざき出したけど。何なんだ、こいつは。


「お前、誰だよ?何が「その辺にしてやれ」だ。今まで何もしていないくせに、偉そうな事言うな!」


「何だと!」


俺はこの際だからこいつらについて思うところを全部言ってやる事にした。


「何だ!じゃない。お前はマリーを連れ去ろうとする勇者を見て、しかもその理由に心当たりが有りながら止める事もしなかった。どうして奴を止めなかった?」


「それはこのパーティに剣聖が必要だったからだ」


「必要ならば犯罪を犯しても良いというのか?あの勇者がやろうとした事は明らかに犯罪だ。お前はそれが犯罪だと認識していたという事になるな?」


盾の大男は気不味そうに黙った。この場合、沈黙は肯定と見做されるの。


「勇者がやろうとした事が犯罪であるとお前はわかっていた。だけど、パーティに剣聖が必要だからと、止める事も嗜める事もせず黙っていた。そして、俺が勇者にその件を追求すると他人事のように訳知り顔で仲裁に入るフリをする。お前はとんでもない卑怯者の偽善者だ!」


「貴様!言わせておけば!」


盾の大男はそう怒鳴ると腰の剣に手を掛ける。


「おい、一体誰の前で剣を抜こうとしているんだ?よく周りを見てみろ」


盾の大男ははっとしたように周りを見ると自分が誰の前で何をしようとしたのか理解したようだった。ジードと違ってここで思い止まるあたり流石は盾聖というといったところか。


「お前はパーティの最年長者だろう?本来ならパーティの要として盾役になるだけじゃなく、お前が勇者を教育し、パーティを導かなくてはならない。それがお前の立ち位置だ。そこを理解しろ!わかったか?」


「う、うむ」


盾の大男は不承不承といった感じで頷いた。一応、俺の話を理解出来る頭はあるようだ。


「それから、その弓のエルフ女!」


「わ、私?」


エルフ女は急に自分に事件に回って来たからか、驚いた反応を見せる。


「お前は自分の役割を全く理解していない。このパーティの誰がどうなろうが気にしてもいないのが丸わかりだ」


弓聖エルフ女は一瞬だけ目を見張ったものの、すぐに「フンっ」と鼻を鳴らし、何とも人を小馬鹿にした顔になった。


「当たり前でしょ?だって私は弓聖で、しかも是非にと請われてこのパーティに入ったんだから。私が請負ったのは魔王と戦って倒す事。それ以外の雑事は他の誰かがすべき事なんじゃなくて?私は私の役割をするだけよ」


それはある意味正しいが、


「なるほど。それがお前のスタンスなんだな?」


「そうよ。何かおかしいかしら?」


「いや、やるべき事がわかっているのはいい事だ。だけど今のお前じゃそれも無理だな」


弓聖エルフ女は柳眉を逆立て、表情を険しくする。


「それってどういう意味かしら?」


「今のお前じゃ魔王を倒すなんて夢のまた夢って意味だが?」


「弓を友とするエルフの貴族たる私が弓聖になったのよ?あなた、自分が何を言っているのかわかっているの?」


弓聖エルフ女は俺の煽りに激昂するでもなく、何か不思議な生き物をみるかのような表情で俺を見る。


「自分の事しか考えていない者に集団で連携した戦いは出来ない。足を引っ張りパーティの全滅を招く。それはお前達のパーティの性格を考えれば国の存亡にも関わる事だ。悪い事は言わない。自分の事だけやっていりゃいいって考えでいるなら多くの者を不幸にするだけだから止めておけ」


弓聖エルフ女はこうまで他人にこき下ろされた事が無いのか、言い返す事もせずに俺を射殺さんばかりに睨む。


「何ならお前の弓よりそのひと睨みの方が余程の威力が有りそうだぞ?」


「うっ、うぅぅぅ、ひぐっ」


俺がダメ押しの一言を言い放つと、弓聖エルフ女は何と泣き出してしまった。いや、泣くか?それくらいで…


聖女は泣き出した弓聖エルフ女を抱き締めて背中をさすると、やはり俺に非難めいた視線を向けた。


「あなた、いくら何でも言い過ぎじゃないですか?」


聖女のその優等生めいたセリフに俺は内心げんなりとなった。


こいつら、勇者パーティってものを欠片も理解していない。こんなパーティにマリーが入らなければならないのかと思うと、俺はマリーが不憫に思えてならなかった。





いつも『アクションヒーロー』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話もお楽しみに!


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