第九十六話「最終決戦2」
かなり残酷な描写が入ります。苦手な方はブラウザバックを推奨します。
竜斗はバグの目の前で静止する。
『一応聞いておくが、これをやめる気はあるか?』
そしてバグに念話で呼びかける。
『縺ェ繧薙?縺薙→?』
しかし返ってきたのはよく分からない声だけだった。
(何を言っているのかがよく分からないせいで話が通じているのかいないのか分からないな。)
(やっぱりやるしかないか。)
竜斗は諦めて黒いヘドロのようなものに体をつからせ、どんどん沈んでいった。
◇ ◇ ◇ ◇
気づくと竜斗は真っ黒な空間にいた。
「ここはどこだ?」
周りを見渡すと一つのテレビが流れ始めた。
その映像は竜斗にとって2度と思い出したくないものであった。
「......あぁ、本当にいやらしいな。人が一番嫌がることをわかってる。」
「まさか....自分の家族が死んだ場面を見させられるなんてな。」
その映像は過去の竜斗が家を出るところから始まった。
◇ ◇ ◇ ◇
「じゃあ、お母さん行ってくるよ。」
「気をつけて行きなさいよ?今日は始業式で久しぶりに学校に行くんだから。」
「そうだぞ、竜斗。事故に遭ったりするなよ?」
「わかってるよ。じゃあまた後で。」
そう言って竜斗は家を出た。
竜斗は一人っ子で父と母と竜斗の三人家族であった。
その日は中学二年生になった竜斗の始業式で親は二人とも家にいた。
竜斗はその日もいつも通り過ごせると思っていた。
その場面を目にするまでは。
竜斗は始業式の途中で教師に呼び出された。
沈んだ顔の教師を見ていやな予感がした。
教師からはこう言われた。
「こんなことを言うのもあれだが....両親が亡くなられた。焼死だ。学校には警察が来てお前を連れに来ている。」
頭が情報を受け付けなかった。
そこからはあっという間だった。
周辺のカメラの情報から一人の浮浪者による放火が原因であったことが分かった。
浮浪者は裁判にかけられ投獄された。
竜斗は犯人をみても怒りすら湧いてこなかった。残ったのは虚しさだけであった。
幸い祖父祖母に面倒を見てもらうことになり中学は無事に卒業できた。
高校に入学するとき、竜斗は一人暮らしをすることを決め、両親の記憶をできるだけ忘れるようにした。
そのあと健斗たちと出会ったりしたがこのことを誰かにうちあけたことはなかった。
◇ ◇ ◇ ◇
忘れようとしていた記憶が蘇り、竜斗は虚しい顔をした。
(嫌な精神攻撃だ。今までで一番キツいやつだな。)
(正直俺は親の死にダメージこそ受けたが立ち直れた。それよりもショックだったのが親の死がその程度のモノにしかならなかったことだ。)
(確かに精神がイカれてるって言われるかもな。俺にとって自分の命も他人の命も同じように軽い。自分のことも周りのことも大したものだと思えなかった。)
(....こういう映像を見て絶望し精神を吸収されるのか。)
(ただ残念ながら....このことについてはすでに過去の記憶と割り切っている。)
(つまり自分にとって少し嫌な記憶でしかない。)
「よし。」
竜斗は改めて声を出す。
「とりあえずここから出る方法を探そう。」
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