1.なぜか気恥ずかしくて。
第10章開幕です(*‘ω‘ *)!
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――いったい、ボクはどうしたのだろう。
先日の一件以降、何度かアーシャに日頃の感謝を伝えようとしてみた。しかし、いざ口にしようとすると、喉に言葉が詰まって出てこないのだ。
理由は分からない。
もちろん、アーシャに感謝していないわけではない。
それどころか、いつも世話になってばかりだ。だから、この状況は正直よろしくない。だが、どうしたら良いのかも分からなかった。
「なぁ、聞いてるか? 師匠」
「……へ? あぁ、どうしたの。コルネ」
などと考え込んでいると、弟子のコルネの声を聞き逃していたらしい。
ボクは慌てて取り繕って訊き返した。すると彼は、少し呆れた様子で言う。
「……まーた、夜中まで依頼品の修繕してたんだろ? 少しは休めって」
「あ、あはは……心配してくれてありがとう、コルネ」
「心配というか、なんというかな……」
こちらの言葉にどこか気恥ずかしい表情を浮かべるコルネは、しばし腕を組んだ後にツンとそっぽを向いてしまうのだった。彼は彼なりに、ボクの心配をしてくれたらしい。
そう思っていると、次に声をかけてきたのはリーナだった。
「ライルさん、紅茶をどうぞ。心が休まりますよ?」
「あぁ、ありがとう。リーナ」
彼女はそう言うと、ボクの前のテーブルにカップを置く。
それに対して感謝を述べると、機巧少女は嬉しそうに微笑むのだった。
「あれぇ……?」
だけど、ボクの方はといえば。
むしろ自分のことが分からなくなって、首を傾げてしまった。いまの一連の会話の中でボクは、二人に自然と感謝を口にしていたのだから。
それを認識すると、さらに疑問が生まれてしまうのだった。
どうして、アーシャに限って感謝が伝えられないのだろうか。改めて確認するが、もちろん彼女のことを嫌いなわけでもなんでもないのだ。
思い返してみると、リンドさんやテーニャにだって感謝は伝えている。
しかし、ありがとう、という一言が彼女には向けられなかった。
「どういう、ことだ……?」
ひとまず紅茶を口にしながら、ボクは眉をひそめる。
そんなこちらの様子を見て、リーナとコルネは顔を見合わせて肩を竦めていた。
ボク自身が分からないのだから、二人に訊いても分からないだろう。もし相談するとしたら少し年上で、こういった機微に敏感な相手の方が良いかもしれない。
だとすると、いったい誰が良いだろうか。
そんなことを考えていると、ちょうど店に来客があった。
「いらっしゃいませ……あ、ジャックさん!」
「おう、ライル! 修繕を依頼しにきたぜ!」
挨拶をすると、そこに立っていたのはよく知る青年戦士。
ジャックさんはボクを認めると、悪戯っぽい笑みを浮かべてそう言った。そんな彼の顔を見て、ふとボクは先日の一件、その一連の流れを思い出す。
その上で、もしかしたらと思ってこう言うのだった。
「……あの、ジャックさん。少し相談しても、良いですか?」
「ん……?」
こちらの問いかけに、依頼書を記入する青年は首を傾げる。
しかし、意外にすんなりと頷いてくれたのだった。
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ついでに新作もよろしく。
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