16.抱えてきた想いは。
昨日、更新しようと思ったけど有馬記念見て満足して寝てましたw
頑張りますね_(:3 」∠)_
「ジャック、なにをふざけて――」
「オイラは真剣だ。本気でリコのことを想ってる」
「………………」
青年の言葉に、リコは思わず閉口する。
いつものような馬鹿げたそれなら、一笑に伏していただろう。しかし彼の声には軽々しさこそあれ、真摯な姿勢が感じられたのだ。その証拠に、先ほどまでよく知っていると思っていたジャックの表情は、いつになく真面目なものに変わっていたのだから。
リコはベッドに腰かけたまま、息を呑むことしかできなかった。
そんな彼女のもとに、彼はスープを運んでくる。
そして、近くにあった椅子に腰かけながら話しかけてきた。
「なぁ、リコ?」
「……なに?」
ジャックはリコの表情を確認しながら、言う。
「気持ちってのは、抱えてるだけじゃ駄目なんだよ」――と。
それはまるで、幼い子供を諭すかのように。
スープの入った皿を手渡しながら、朗らかな笑みを浮かべて。
「抱えているだけじゃ、駄目……?」
「あぁ、そうだ。いまだって、オイラが伝えるまで知らなかっただろ?」
困惑したような表情のリコ。
そんな彼女に、ジャックはそう告げた。そして、
「愛している、大好き、怒ってる、悲しんでいる。自分の気持ちってのは、しっかりと相手に伝えなきゃ駄目なんだ。黙っていても分かることはあるけど、前向きな気持ちまで呑み込んでしまうのは違う」
静かに、語って聞かせた。
その上でリコに対して、こう訊ねるのだ。
「なぁ、リコ。お前が『伝えたかった想い』ってのは、何なんだ?」――と。
それを耳にして、リコはハッとした表情になった。
己の気持ちは自身にしか分からない。それでもジャックは的確に、本人でさえ頑固になって見失っていたものを解きほぐしていく。
温かなスープを手にしながらリコは、声を震わせた。
「私、は――」
そして、ひとしずくの涙をその頬に伝わせる。
その姿を見たジャックは頷いて、またいつものような笑顔を浮かべるのだった。
◆
「……く!? ライルくん、これ以上は!!」
「不味いです、このままだと!!」
リンドさんとテーニャが、肩で息をしながらボクにそう告げる。
かれこれ、どれだけの時間が経っただろう。
劣勢なままの状況で踏ん張ってきたが、さすがに限界が近い。
リンドさんたちは苦しげな表情で、しかし構えた剣を下げることはなかった。
「く、でも……!」
――もう、限界なのか。
ボクたちの誰もが、心折れかけた時だった。
「え……?」
柔らかな光が周囲を包み込み、霊たちが後退をし始めたのは。
誰かの足音が聞こえてくる。
ボクたちはとっさに、その方向へと顔を向けた。すると、そこにいたのは――。
「リコさん、ジャックさん……!!」
「あはは! 悪い、少し遅くなった!!」
凛とした表情を浮かべたリコさん。
そして、どこか軽薄ささえ愛おしく思える笑みを浮かべたジャックさんだった。
「ライル、頼みがあるの」
「頼み……?」
そんな中、間髪を入れずに口を開いたのはリコさんだ。
彼女は真剣な声色で、真っすぐにこう口にする。
「いまから、霊たちを鎮める。だから、手伝ってほしい」――と。
覚悟の決まったそれに、ボクは迷いなく答えるのだった。
「分かりました! 任せてください!!」
力強く。そして、折れかけた気持ちを奮い立たせるようにして。
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