13.青年の指摘する問題の根幹。
深夜の更新。
昼夜逆転の極みですね_(:3 」∠)_
――冒険者たちを弔う墓から、霊たちが溢れ出した。
タイクさんは大慌てでボクとジャックさんに、そう説明する。状況は考えられる限りで最悪の方向へと向かっていた。このまま放置すれば、霊たちは王都を埋め尽くして悪霊と化してしまうだろう。老爺の話にボクたちは顔を見合わせた。
「ジャックさん、今すぐリコさんに――」
「いいや、待てライル。お前はすぐに、リンドを連れてくるんだ」
「――え?」
ボクが声を上げようとすると、すぐに青年戦士はそれを遮る。
そして、こちらを落ち着けるような静かな声で指示を出すのだった。
「リコのことは、オイラに任せてほしい。リンドの家の場所は知ってるな?」
「え、でも……!」
「でも、じゃない。リコとの付き合いはオイラが一番長いんだ。信じろ」
「………………」
ジャックさんは小さく笑みを浮かべる。
悪戯っぽいそれには、どこか力強さが宿っていた。だから、
「…………はい!」
いまは、彼の言葉を信じよう。
ボクはそう考えて、リンドさんの家へと駆けだしたのだった。
◆
「まったく……。どいつもこいつも、世話がかかるな」
墓地とは真反対の方向へ走るライルを見送って。
ジャックは静かにそう呟き、もう一人――タイクの方を見た。どこか気まずい様子で立ち尽くす老爺に対して、青年はこう口にする。
「兄弟の存在、ってのは大きいんだ。……たぶん、アンタが思っているより、な」
「………………」
それは、非難にも取れる響きだった。
問題を認識しながらも、それから目を逸らし続けたタイクへ向けて。ジャックは大きなため息をつき、黙り込んだままの彼に対して続けた。
「結果的にだけど、アイツを傷付けたアンタのこと、オイラは許せない。アイツにとってのアニキ――リュードは、きっと誰よりも大切な存在だったろうからな」
ジャックは今回の事態を招いた原因が、タイクにあると指摘する。
彼の優柔不断さが問題を大きくし、リコの心に消えることのない傷を残したのだ、と。微笑むだけで何もせず、負担のすべてをリュードに押し付けていたのだ、と。
しかし同時に、こうも口にした。
「だけど、まぁ……馬鹿みたいな過干渉よりは、マシかもな」
「え……?」
その言葉に、初めてタイクは声を発する。
だがそれはジャックにとって、いまは余分なことだったらしい。
「とにかく、行くぞ。……アンタが向き合わなかった娘のとこにな」
青年はそう言ってから、リコの家の方へと向かって歩き出した。
剽軽に思える彼から出た鋭い言葉に圧倒されたタイクは、返事もなくそれに続く。ジャックは肩越しに老爺の表情を見て、また一つ大きなため息をつくのだった。
そして、一言こう口にする。
「親子ってのは、本当に色々だよな……」――と。
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