10.聞こえた声が願うこと。
さて、どうなるか……。
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心温まる?異世界恋愛の話です!
「ふむ。そうですか、墓から声が……」
「そうなんです。それで、気になったんです」
少し悩んだがボクがありのままを報告すると、タイクさんたちは困ったような表情になる。そして互いに目配せをしてから、こう語るのだった。
「ライルさんが耳にした声が、どの類の霊かは分かりかねます。霊と一口に言っても、守護霊から悪霊とされるものまで様々です。ただ、確実に言えるのは――」
それは、どこか緊張感に満ちた声で。
「私たちの『死霊術師』としての力は、弱まってきているのです」――と。
◆
タイクさんが語ったのは、以前にも話したような内容だ。
最近は冒険者のような身寄りのない人の墓も増え、さらには墓参りに訪れる人も少なくなっている。そのような状況になると、霊たちも安らかには眠れなくなるそうだった。
中には善良な霊から、悪霊と呼ばれるものに堕ちる例もあり、それを抑え込んでいるのが『死霊術師』としての役割でもある。
「でも、そう考えると『あの声』は……」
対策を練るという墓守夫婦の言葉を受けて、ボクは改めて墓の修繕に取り掛かった。しかし頭の中にあるのは、やはり先ほど聞いた声のこと。
助けてほしい、という言葉には相当の重みがあるように思われた。
それに、あの墓はリコさんの――。
「リュードさん。もしかして、貴方なんですか……?」
そう考えていると、自然にボクの足は件の墓標の前に向かっていた。
声がしたのはこの辺りのはず。だとすれば、あるいはリュードさんが何かを伝えようとしているのかもしれない。
そうは思うが、しかしボクは『死霊術師』でも何でもない。
そんな人間の耳に届いた声が、果たして本当に正しいものだといえるのか。
『すまない。助けてほしいんだ』
「え……?」
その時だ。
今度は先ほどよりも鮮明に、そう声が聞こえたのは。
「リュードさん、ですか……?」
だが男性と思しきその声は、こちらの問いかけに応えず続けるのだ。
『頼む。リコを連れてきてくれ……!』――と。
その声にあったのは、後悔や懺悔のようにも思える。
だから、ボクは深入りだとか、そんな考えなんて二の次に駆け出していた。
「リコさんの家は、たしか……!」
以前に、タイクさんから聞いていた彼女の家。
そこへと向かって、真っすぐに……。
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