3.墓守の老夫婦。
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「お墓の修繕、ですか?」
「えぇ、そうです」
優しげな老夫婦にコーヒーを出しながら話を聞くと、ちょっとだけ風変わりな依頼が飛び出してきた。老爺――タイクさん曰く、彼らの生業は王都の外れにある墓の管理、いわゆる墓守というものらしい。
こちらが首を傾げると、話を引き継いだのは妻のケリィさんだった。
「この王都に住まわれているなら、この季節にご先祖様が帰ってこられる、というお話はご存知でしょう?」
「えぇ、そうですね」
彼女が口にしたのは、まさしくボクも先ほど考えていたこと。
しかし、こちらが頷くとケリィさんは少し悲しげな表情を浮かべるのだ。
「ですが、最近では冒険者の方々のお墓が増えたのもありまして。身寄りのない方々の墓の損傷などが、多くなっているのです。私たちと致しましては平等に鎮魂を祈りたいのですが、いかんせんこのような老体になってしまいまして……」
そして、そう語る。
要約すると、冒険者として命を落とした人々の墓が増えてきているため、それぞれの劣化が進んでいる。そのため各々の墓を修繕してほしい、とのことだった。
その話を聞いていると、たしかに由々しき問題であるようにも思われる。
ボク自身、一時的とはいえ冒険者稼業に身を置いていた経験がある。
そこで見聞きしたのは、天涯孤独の身となったがために冒険者にならざるを得なかった人が一定数存在している、ということだった。あるいは家族との縁を切られ、冒険者となって日銭を稼いでいる人にも会ったことがある。
そのような人々の死を悼むことも大切だ。
しかし、すべてを完璧に管理するとなると難しいのかもしれなかった。
「なるほど……。それで、ボクに依頼を、というわけですね?」
「えぇ、お恥ずかしながら……」
こちらが事情を呑み込み納得すると、タイクさんは恐縮したようにそう答える。ボクは少しだけ間を置いた後に、しかし無視できないと思い立った。
だから、
「分かりました。お任せください!」
快く彼らの依頼を引き受けることにする。
老夫婦は顔を見合わせて、安堵したように何度も頭を垂れていた。
これはしばらく、忙しくなるだろう。
そして、良い機会なので祖父の墓参りにも行こうか、と考えるのだった。
◆
――なお、これは余談なのだが。
「アーシャは今回、どうする?」
「申し訳ないですが、この暑さの中でお手伝いをする気力はありません」
「あ、はい……」
いつもなら首を突っ込みたがる公爵家令嬢も、暑さには勝てない様子だった。
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