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3.リンドのパーティー。








 修繕師として仕事を開始して、初めて王都の外へと出る。

 しかもその場所というのが『ここから遠く離れた辺境の街だ』という話を聞いて、アーシャは思い切り眉をひそめた。本当に大丈夫なのか、という詰問に遭い、その解決案を必死に考える。そうしていると彼女から提示されたのは、こんな内容だった。



「リンドたちに頼みましょう」――と。



 曰く、王都で一番の冒険者である彼らなら安心できる、とのこと。

 それについてはボクも同感だったけど、アーシャを守る人がいなくなってしまう。そう反論しようとしたが、それより先に彼女は鼻先がくっつきそうな距離感でこう言った。



「こちらよりも、普段から無防備なライルの方が心配です! それに貴方、元冒険者というものの腕っぷしは並以下ではありませんか!!」

「うぐぅ……!」



 悲しいかな、それには反論できない。

 事実、ボクの冒険者としての能力は限りなく乏しかった。

 そんなわけだから追放されたのであって、しかし幸運にも今があるわけだけど。



「……そう、だね。うん、分かったよ」



 ここまで言われたら仕方なし。

 ボクはアーシャからの申し出を素直に受け入れることにした。

 彼女は腰に手を当ててスンとした表情を浮かべ、どこか自慢げである。




 そして――。










「ライルくん。紹介するよ、こちらは戦士のジャック」

「よろしくお願いします!」



 旅立ちの日、ボクはこうしてリンドさんパーティーの凄腕数名と挨拶を交わしていた。いまこうして紹介されたジャックさんで三人目。戦士というには、幾らか細身で小柄に思われた青年だ。だけど、背負っているのは身の丈よりも明らかに大きな戦斧。



「おう! 夜盗排除は、オイラに任せとけ!!」



 こちらの声に、ジャックは胸を叩きながらそう言った。

 これで残るは後方に控えている唯一の女性だけ。リンドさんも頷きながら、その人にこちらへくるよう促した。

 凛とした表情の彼女は、一つ息をついてから歩み出る。

 そして、リーダーに紹介されるより先に自ら名乗るのだった。



「アタシは、リコ。魔法使いよ」

「はい、よろしくお願いします!」

「ん……」



 やや無愛想に思える態度で、最後に顎を引くリコさん。

 長く綺麗な金の髪に、こちらを射竦めるような鋭い紫色の眼差しに息を呑む。決して敵意があるわけではないのだろうけど、どうにも緊張してしまった。

 ボクのそんな気持ちを察したのだろうか。

 リンドさんは小さく、申し訳なさそうに耳打ちをしてきた。



「すまないね、ライルくん。彼女はああいう性格なんだ」

「え、はい……。大丈夫です」



 ボクは彼の気遣いに、気にしてないという旨を添えて返す。

 するとリンドさんも安堵したのか、他のメンバーを再度集めて宣言した。




「それでは、これより国王陛下の依頼によりガーディスへと向かう!」




 彼の声に、全員の表情が引き締まる。

 そんな彼らに守られて、ボクの初遠征は始まるのだった。




 


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